今週のハイライトはやはり仏大統領選挙だろう。日本の一部の経済専門家は「親欧州・新自由主義的政策を掲げた中道マクロン氏の選出は世界経済や市場にとり朗報」だと高く評価していた。EU分裂、保護主義傾斜のリスクは後退したというのだが、果たして本当だろうか。

詳しくは今週木曜日の産経新聞コラムをご覧いただきたいが、筆者の見立てはそれほど甘くない。理由は簡単、今回ルペン候補が決選投票に残っただけでなく、総得票の三分の一以上を獲得したことを過小評価すべきではないと考えるからだ。

今年1月21日、欧州各国の極右、右派ポピュリスト政党党首らがドイツ西部コブレンツに集まった。出席したのはドイツのための選択肢(AfD)、オランダ自由党、オーストリア自由党、フランス国民戦線、イタリア北部同盟の党首などだ。

彼らの主張には、①EU内の移動の自由を保証したシェンゲン協定の廃止、②不法移民の取り締まり強化と本国への送還、③ユーロ通貨の廃止と各国間経済格差の是正、④EU解体と各国の国家主権の回復など共通点も多いが、個々の政治活動となると各国で大きく異なる。

少なくとも、今回のマクロン候補の勝利で欧州の民族主義・大衆迎合主義の拡大に歯止めがかかったと判断するのは早すぎるような気がする。少なくとも、6月の仏議会選挙の結果を見なければ何とも言えない。各国国民の民族主義が異常なほど強靭な欧州政治を過小評価すべきではない。

〇欧州・ロシア
先週末の仏大統領選決戦投票では下馬評通り、マクロン候補が勝利したが、問題はこれからだ。同氏の長所も短所も「政治未経験のアウトサイダー」に限りなく近いこと。若輩の彼がどうやって仏議会選挙を仕切るのか。失敗すれば、ルペン候補は息を吹き返し、5年後を目指すだろう。既存二大政党への不信感は想像以上に深い。

〇東アジア・大洋州
この地域では今、北朝鮮問題ばかりが注目されているが、ここはもう少し巨視的に見る必要があるだろう。2016年以来、米中露三大国間のパワーゲームは新たな段階に入ったようだ。その直接の契機はトランプ政権誕生だが、本質は自己主張する中国の台頭であることは間違いない。
筆者の見立てでは、朝鮮戦争休戦から64年経って、ようやく北朝鮮の「終わりの始まり」が始まり、そこに一種の「力の真空」が生まれつつあるように思える。この「真空」を埋めるべく、米中露は新たなゲームを既に始めており、これから5~10年間に米中露、特に米中で朝鮮半島の奪い合いが始まるだろう。

〇中東・アフリカ ○南北アメリカ
トランプ氏が初外遊に出かける。まずはサウジとイスラエル、その後はバチカン、ブラッセルでNATO首脳会議、イタリアでG7首脳会議に参加する。なぜ、と言われると困るが、オバマ外交をundoすると考えれば良く判るだろう。サプライズがないことを祈るしかない。

〇インド亜大陸
特記事項なし。今週はこのくらいにしておこう。

8日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
8日 中国4月貿易統計発表
8日 ロシア極東ウラジオストクと北朝鮮北東部の羅先経済特区を結ぶ定期航路開設
8-10日 国連経済社会理事会(ECOSOC)本会期(ニューヨーク)
8-12日 国連人間居住計画第26回審議会(ナイロビ)
8-12日 国際原子力機関(IAEA)理事会(ウィーン)
8-12日 国際人権理事会(ワーキンググループ会合)(ジュネーブ)
8-17日 国際人権理事会(ワーキンググループ会合)(ジュネーブ)
9日 韓国大統領選挙(韓国)
9日 メキシコ4月CPI発表
9-10日 外務省と「秋田犬ツーリズム」の共催で駐日外交団の秋田県北部の視察を実施
9-13日 欧州音楽祭ユーロビジョン(キエフ)
9-18日 APEC第2回高級実務者会合(SOM2)、関連シンポジウム(ベトナム・ハノイ)
10日 中国4月消費者物価指数(CPI)発表(国家統計局)
10日 4月米財政収支(財務省)
10日 ブラジル4月拡大消費者物価指数(IPCA)発表
10日 バハマ下院議員選挙(バハマ)
10-11日 WTO一般理事会(スイス・ジュネーブ)
10-11日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
10-11日 国際サッカー連盟(FIFA)総会(バーレーン・マナマ)
10-17日 第69回世界気象機関(WMO)執行理事会(ジュネーブ)
10-12日 世界経済フォーラムASEAN会議(カンボジア・プノンペン)
11日 EU外相理事会(ルクセンブルク)
11日 黒海経済協力機構経済相会合(トルコ・イスタンブール)
11日 ブラジル3月月間小売調査発表
11-13日 G7財務相会合(イタリア・バーリ)
11-12日 第105回国連世界観光機関(UNWTO)執行理事会(マドリード)
11-15日 APECデジタル世代の人材育成に関するハイレベル政策対話、関連シンポジウム(ハノイ)
12日 米国4月消費者物価指数(CPI)、小売売上高統計発表(労働省)
12日 インド3月鉱工業生産指数発表
12日 香港第1四半期マクロ経済統計発表
12日 メキシコ3月鉱工業生産指数発表
12-13日 法王がポルトガル・ファティマを巡礼
14日 F1スペインGP決勝(モントメロ)
14-15日 ロシア・プーチン大統領が中国を訪問、首脳会談
14-15日 シルクロード経済圏構想「一帯一路」の国際首脳会議(北京)
14-19日 インド・モディ首相が中国、モンゴル、韓国を訪問
14-28日 大相撲夏場所初日(東京・両国国技館)

<5月15-21日>
15日 EU外相理事会(ルクセンブルク)
15日 中国4月固定資産投資、社会消費品小売総額発表
15-18日 欧州議会本会議(ストラスブール)
16-17日 トルコ・エルドアン大統領が米国を訪問、首脳会談
16日 EU一般問題理事会(ブリュッセル)
16日 ファルコン9(インマルサット5 F4)の打ち上げ(ケープカナベラル空軍基地)
17日 ロシア第1四半期GDP(速報値)発表
18日 ソユーズST-B(通信衛星SES-15)の打ち上げ(仏領ギアナ基地)
18日か19日 ロシア1~4月鉱工業生産指数発表
18-19日 EU外相理事会(ルクセンブルク)
18-19日 G20労働相・環境相会合(ドイツ・バート・ノイエンアール)
18-19日 APEC財務高級実務者会合(SFOM)、関連シンポジウム(ベトナム・ニンビン)
18-20日 アルゼンチンのマウリシオ・マクリ大統領が訪日
19日 イラン大統領選挙(イラン)
19-20日 G20保健相会合(ベルリン)
19-21日 APEC貿易相会合(MRT)(ハノイ)
21日 黒海経済協力機構外相会合(イスタンブール)

(宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)

2017年5月 9日(火) | [ ]

今週日本はゴールデンウィークでお休み。しかし、主要省庁の閣僚、副大臣、政務官や国会議員は外遊で忙しいはずだ。それにしても、朝鮮半島で何が起きてもおかしくないと報じられている昨今、そんなに長く国を空けても良いのだろうか。ちょっと気になるところだ。恐らく彼らは、「今は何も起きない」と達観しているのだろう。さすがだ。

北朝鮮問題に関する筆者の見通しは簡単。短期的には楽観的だが、中長期的には悲観的である。現在米国が対北朝鮮先制攻撃を仕掛ける可能性は低い。だが、それをあまりはっきり言ってしまえば、対中国、対北朝鮮の抑止効果は大幅に相殺される。やはり、米国が何をするかは最後まで曖昧にしておくのが最も賢いやり方だろう。

一方、中長期的には気が滅入る。北朝鮮が核兵器開発を断念する可能性は殆どないし、中国には北を説得するだけの力も度胸もない。このまま北朝鮮が核弾頭を乗せたICBMの実戦配備に向け進めば進むほど、米国が北朝鮮に対し先制攻撃を行う可能性は高まる。問題は東アジアではなく、米本土の安全保障に関わるからだ。

その時、日中韓は最悪の場合、第二次朝鮮戦争を覚悟する必要がある。その時初めて、北朝鮮が土壇場で核開発を断念する可能性が出てくるからだ。しかし、現状ではそれも不可能。米中間には朝鮮半島の将来に関する最低限のコンセンサスすらないからだ。そのコンセンサスには日韓だけでなく、露も協議を求めてくるだろう。

朝鮮戦争休戦から64年。この古くて新しいクライシスが、若い三代目のリーダーの出現により、再始動する恐れが出てきた。これから朝鮮半島を米中露が獲り合う新たなゲームが始まる。日本は韓国とともに、このゲームに関与し、勝者として生き残らなければならない。されば、外遊するのも良いが、他にもっと考えることがあるだろう。

〇欧州・ロシア
今週末には仏大統領選の決戦投票がある。マクロン候補勝利が予測されているが、ルペン女史も反EUの姿勢を軟化させている。でも、まさかの結果となる可能性は低いだろう。一方、若輩のマクロンにフランスを今の惨状から救う力があるとも思えない。既存二大政党への不満が解消しない限り、フランス内政の混乱は続くだろう。
2日にドイツ首相がロシアを訪問する。メルケルはロシア語に堪能、プーチンもドイツ語が喋れるはずだ。主要国の中でもこれだけ突っ込んだ話ができそうな首脳同士は他にないだろうが、一体何を話すのか。ルペンがいてメルケルがいない(分裂含みの)EUはプーチンにとって夢であるはずなのだが・・・。

〇東アジア・大洋州
30日のCBSのFace The Nationとのインタビューでトランプ氏が中国について述べた部分が面白い。「中国が為替操作をやっていたのは明白」だが、「北朝鮮は貿易問題よりも重要」であり、「中国は究極的ではないにせよ、かなりの力を持っており、北朝鮮問題の解決に中国が助けになるなら、貿易問題で妥協も厭わない」と述べた。
何と単純な男なのだろう。このような大統領を相手に、中国の国家主席を含む各国の百戦錬磨の政治家たちは一体何を感じ取るのか。トランプ氏のような大統領でもビクともしない米国に対し、プーチンがいなければ恐らく二流国になり下がっていたかもしれないロシアと、そのどちらでもない習近平の中国がどう対応するのか興味深い。

〇中東・アフリカ
3日にロシア・トルコ首脳会談がソチで開かれる。同日、ワシントンでは米・パレスチナ首脳会談が開かれる。偶然の一致だろうが、このコントラストは興味深い。一時悪化したトルコとロシアの関係は最近改善しているという。この民主的選挙で選ばれた二人の独裁者がシリア問題で何を話すのだろうか。
一方、パレスチナ問題については何も期待していない。トランプ氏は米国が長年支持してきたユダヤ・パレスチナの「二国家論」について、「当事者が合意すれば、どちらでも良い」と突き放している。しかも、トランプ氏は娘婿をパレスチナ問題の仲介役にするつもりらしい。クシュナー氏には失礼だが、彼にそのような大役は無理である。

〇南北アメリカ
29日はトランプ氏の大統領就任100日目だったが、30日にトランプ氏はペンシルベニア州で開かれた集会に出席、恒例のホワイトハウス記者との夕食会を欠席した。トランプ政権が相変わらず「選挙・キャンペーン」を重視していることを象徴する出来事だ。トランプ氏は、歴代政権と比べても、「選挙・キャンペーン」モードのバージョン1.0と「統治」モードのバージョン2.0の混在が著しく顕著だが、これで本当に良いのか。
外交面ではシリアや北朝鮮など国際危機に対応する中、NSC(国家安全保障会議)は着実に2.0に移行しつつあるように見える。これに対し、内政面では「選挙」モード1.0のまま、イスラム系諸国からの入国制限やオバマケア代替法案などで失敗が続いている。彼が「選挙」モードを放棄し、バージョン2.0に移行することはないのだろう。

〇インド亜大陸
特記事項なし。今週はこのくらいにしておこう。

27日-5月3日 岸田外務大臣がアメリカ、トルクメニスタン、オーストリアを訪問
27日-5月7日 薗浦外務副大臣が中南米(ブラジル、パラグアイ、アルゼンチン、コロンビア、コスタリカ、ニカラグア)を訪問
30日-5月1日 ドイツ・メルケル首相がサウジアラビアとUAEを訪問
30日-5月1日 トルコ・エルドアン大統領がインドを訪問
1日 3月の米個人所得・消費(商務省)
1日 「中央アジア+日本」第6回外相会合出席(トルクメニスタン)
1-6日 岸外務副大臣がカンボジアとパキスタンを訪問
1-6日 武井外務大臣政務官がモロッコ、ナイジェリア、ジブチを訪問
1-12日 国際人権理事会(ワーキンググループ会合)(ジュネーブ)
1-26日 国連総会第5委員会(ニューヨーク)
1-6月2日 第69回国連国際法委員会(ジュネーブ)
2日 ドイツ・ロシア首脳会談(ロシア)
2日 EU3月失業率発表(EU統計局)
2-3日 米国連邦公開市場委員会(FOMC)
2-4日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
2-5日 第48回包括的核実験禁止条約機関準備委員会(CTBTO)(ウィーン)
2-5日 ブラジル流通業者専門見本市「Feira APAS 2017」(ジェトロがジャパンブースを設置)(サンパウロ)
2-12日 2020年核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議第1回準備委員会(ウィーン)
2-12日 第18回東アジア地域包括的経済連携(RCEP)交渉会合(フィリピン)
3日 ユーロ圏第1四半期GDP速報値の発表(EU統計局)
3日 ブラジル3月鉱工業生産指数発表
3日 ロシア・トルコ首脳会談(ロシア・ソチ)
3日 米・パレスチナ首脳会談(ワシントン)
4日 米・東南アジア諸国連合(ASEAN)外相会合(ワシントン)
4日 米豪首脳会談(ニューヨーク)
4日 米国3月貿易統計発表(商務省)
4日 アルジェリア国民議会選挙(アルジェリア)
4-7日 アジア開発銀行(ADB)第50回年次総会(日本・横浜)
5日 米国4月雇用統計発表(労働省)
5日か10日 ロシア4月CPI発表
5日 GSLV MK2ロケットの打ち上げ(インド・サティシュ・ダワン宇宙センター)
5日 アリアン5(アリアンスペース社)の打ち上げ(仏領ギアナ基地)
6日 ニウエ議員選挙 (ニウエ)
7日 フランス大統領選(決選投票)(フランス)
7-9日 ファム・ビン・ミン ベトナム社会主義共和国副首相兼外務大臣が訪日

<5月8-14日>
8日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
8日 中国4月貿易統計発表
8-10日 国連経済社会理事会(ECOSOC)本会期(ニューヨーク)
8-10日 国連人間居住計画の審議会(ナイロビ)
8-12日 国際原子力機関(IAEA)理事会(ウィーン)
8-12日 国際人権理事会(ワーキンググループ会合)(ジュネーブ)
8-17日 国際人権理事会(ワーキンググループ会合)(ジュネーブ)
9日 韓国大統領選挙(韓国)
9日 メキシコ4月CPI発表
9-10日 外務省と「秋田犬ツーリズム」の共催で駐日外交団の秋田県北部の視察を実施
9-13日 欧州音楽祭ユーロビジョン(キエフ)
9-18日 APEC第2回高級実務者会合(SOM2)、関連シンポジウム(ベトナム・ハノイ)
10日 中国4月CPI発表
10日 ブラジル4月拡大消費者物価指数(IPCA)発表
10日 バハマ下院議員選挙(バハマ)
10-11日 WTO一般理事会(スイス・ジュネーブ)
10-11日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
10-12日 世界経済フォーラムASEAN会議(カンボジア・プノンペン)
11日 EU外相理事会(ブリュッセル)
11日 黒海経済協力機構経済相会合(トルコ・イスタンブール)
11日 ブラジル3月月間小売り調査発表
11-13日 G7財務相会合(イタリア・バーリ)
11-15日 APECデジタル世代の人材育成に関するハイレベル政策対話、関連シンポジウム(ハノイ)
12日 米国4月消費者物価指数(CPI)、小売売上高統計発表
12日 インド3月鉱工業生産指数発表
12日 香港第1四半期マクロ経済統計発表
12日 メキシコ3月鉱工業生産指数発表
14-15日 ロシアのプーチン大統領が中国を訪問
14-15日 「一帯一路」構想に関する国際協力ハイレベルフォーラム(北京)
14-19日 インド・モディ首相が中国、モンゴル、韓国を訪問

(宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)

2017年5月 8日(月) | [ ]

先週末の日曜日にフランス大統領選挙の投票があった。結果は、ある程度予測されていたこととはいえ、既存二大政党の敗北と二人のアウトサイダー候補の決選投票進出が決まったということ。気の早い連中は、5月7日の第二回投票でのマクロン候補の勝利をもう予測し始めている。

ルペンとメラションの一騎打ちとなれば反EU候補同士の決選投票となっていた。そんな最悪の事態だけは回避できたと安堵している人も多いというが、問題はそれに止まらない。既存政党の不甲斐なさは目を覆うばかり。39歳のマクロンが大統領になってもフランスの政治社会状況が改善するとは思えない。問題はポスト・マクロンだ。

以前から気になっていたことがある。ルペン候補が「極右」と呼ばれるのに対し、極端な左派のはずのメラション候補はなぜ「極左」ではなく、「急進左派」と呼ばれるのだろう。フランス語で使い分けているのか、それとも日本メディアに別の理由があるのか。英語の記事でもメラションをfar-leftと紹介する記事があった。それなら「極左」だろう。

アジアではやはり北朝鮮問題が焦点だ。25日は朝鮮人民軍創建日だから、今度こそ核実験かICBM発射があるのでは、と囁かれている。最悪の事態は北朝鮮が暴発し、トランプ氏が第二次朝鮮戦争を始めることだろうが、その可能性は低いだろう。むしろ気になるのは、北朝鮮の核実験やICBM発射があった場合の米国の対応だ。

下手な米国の軍事行動は全面戦争の引き金を引く可能性がある。されば、米国は「無為無策ではないが、戦争には絶対に至らない」ような強制力を伴う行動を適切にとれるのか。この対応はデリケートで決して容易ではない。強すぎても弱すぎても、米国は誤ったシグナルを北朝鮮に送ることになるからだ。何事もなければ良いのだが。

〇欧州・ロシア
既に触れた通り、23日の仏大統領選挙で極右候補と中道系独立候補が決選投票に進んだ。これでフランスのEU離脱は遠のき、独仏の枢軸も当面維持されるとの見通しが大勢となりつつある。しかし、これで欧州の政治危機が一段落し、各国で中道志向が強まると見るのは時期尚早ではなかろうか。

〇東アジア・大洋州
25日に東京で日米韓の六者会合首席代表会合が開催される。最近の北朝鮮情勢や日米韓の連携について議論する予定だが、このタイミングは絶妙だ。しかし、今更六者会合なのか。六者会合は中国抜きの北朝鮮問題協議を封ずるという、北京にとって最も有利な会議だ。これに戻っても展望は開けないだろう。

〇中東・アフリカ
25-26日、イラン国防相がロシアを訪問する。26-27日にモスクワで国際安全保障フォーラムが開催されるのでこれにも参加するのだろう。このフォーラム、2012年が最初で今回が6回目。「国際テロとの戦い」「欧州・アジア太平洋地域の安全保障」などが議論されるというが、日本からは誰が参加するのだろう。

〇南北アメリカ
25日、イヴァンカ・トランプ大統領補佐官がドイツを訪問する。W20サミットという女性リーダーの集まりに参加するのだそうだ。オランダ女王、IMF専務理事、カナダ外相、ドイツ家庭担当大臣等も参加する。あれだけネポティズムだと厳しく批判されたが、メラニア夫人の代役をやっていると思えば、それはそれで良いのかもしれない。

〇インド亜大陸
特記事項なし。今週はこのくらいにしておこう。

4月21-24日 アブダッラー・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン アラブ首長国連邦外務・国際協力大臣が訪日
24日 2025年万博の大阪誘致に向け、大阪府知事らが事務局に立候補届け出(パリ)
24日 モゲリーニEU外相がロシアを訪問
24日か25日 ロシア3月雇用統計発表
24-25日 スペイン・ラホイ首相がブラジルを訪問
24-25日 米・ペンス副大統領がハワイ州を訪問
24-27日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
24-28日 国連人権理事会(ジュネーヴ)
24-28日 第156回国際連合食糧農業機関(FAO)理事会(ローマ)
24-5月12日 国際民間航空機関 第211回 Committee Phase(モントリオール)
25日 EU一般問題理事会(ルクセンブルク)
25日 香港3月貿易統計発表(香港)
25日 イヴァンカ米大統領補佐官がドイツを訪問(ベルリン)
25日 朝鮮人民軍創建85周年
25日 北朝鮮の核問題をめぐる日米韓の六者会合首席代表会合(東京)
25日 中国・ニュージーランド二国間のFTA格上げに向けて交渉開始(ウェリントン)
25-26日 EU環境相理事会非公式会合(バレッタ)
25-26日 イラン国防相がロシアを訪問
26日 トランプ米大統領が税制改革案を公表
26日 豪・第1四半期消費者物価指数の発表
26日 メキシコ2月小売・卸売販売指数発表
26日 欧州安全保障協力機構(OSCE)のザニエル事務総長がロシア訪問
26-27日 欧州議会本会議(ブリュッセル)
26-27日 国連欧州経済委員会(ジュネーヴ)
26-27日 日銀金融政策決定会合
26-27日 第6回モスクワ国際安全保障フォーラム
26-27日 EU防衛相理事会非公式会合(バレッタ)
26-29日 第30回ASEAN首脳会議(フィリピン・マニラ)
27日 欧州中央銀行(ECB)政策理事会(フランクフルト)
27日 米アルゼンチン首脳会談(ワシントン・ホワイトハウス)
27日 アフガニスタン・ガーニ大統領がインドを訪問
27日 メキシコ3月貿易統計発表
27日 経済・物価情勢の展望リポート公表(日銀)
27-5/5日 安倍首相がロシア、イギリス、北欧4カ国を訪問
27-28日 安倍首相がロシアを訪問し、首脳会談(ロシア・モスクワ)
28日 北朝鮮の非核化に関する国連安保理閣僚級会合(ニューヨーク)
28日 ブラジル3月全国家計サンプル調査発表
28日 米国第1四半期GDP(速報値)発表
28日 イギリス1~3月期GDP(速報値)発表
28日 ロシア中央銀行理事会
28-29日 EU外相理事会非公式会合(バレッタ)
28-29日 安倍首相がイギリスを訪問し首脳会談(ロンドン)
28-29日 ローマ法王がエジプトを訪問
29日 EU首脳会議でイギリス離脱交渉指針を採択(ブリュッセル)
30日 ジャパン・ハウス サンパウロの開館(ブラジル・サンパウロ)
30日 自動車F1ロシアGP決勝(ロシア・ソチ)


<5月>
5月1日 3月の米個人所得・消費(商務省)
1-12日 国際人権理事会(ジュネーヴ)
1-26日 国連総会第5委員会(ニューヨーク)
1-6月2日 第69回国連国際法委員会(ジュネーヴ)
2日 ドイツ・メルケル首相がロシア訪問
2-3日 米国連邦公開市場委員会(FOMC)
2-4日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
2-5日 第48回包括的核実験禁止条約機関準備委員会(ウィーン)
2日- 2020年核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議第1回準備委員会
3日 ユーロ圏第1四半期GDP速報値(EU統計局)
3日 ブラジル3月鉱工業生産指数発表
4日 米国3月貿易統計発表
4日 アルジェリア国民議会選挙(アルジェリア)
4-7日 アジア開発銀行(ADB)第50回年次総会(日本・横浜)
5日 米国4月雇用統計発表
5日 GSLV MK2ロケットの打ち上げ(インド・サティシュ・ダワン宇宙センター)
5日か10日 ロシア4月CPI発表
6日 ニウエ議員選挙 (ニウエ)

(宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)

2017年4月27日(木) | [ ]

先週は世界の関心が北朝鮮に集中したのでは、と感じた人も多いだろう。確かに、米国は空母打撃群を朝鮮半島に派遣し、漸く強制力を伴う外交を始めた。中国は米国からの強い要請を受け、これまで以上に北朝鮮への働きかけを行った。北朝鮮は「核実験」でも「ICBM」でもない中距離ミサイル発射を試み、見事に失敗した。

これが出来レースだとは思わないが、結果は「お見事」と言う外ない、というのが筆者の見立てだ。北朝鮮は米中の圧力に屈しない姿勢を示しつつ、ちゃっかり北京に恩を売った。これで中国は米国に「北朝鮮に核実験とICBM発射を断念させた」と言えるだろう。米国だってカールビンソン派遣の目的を一応達成したではないか。

北朝鮮問題のポイントは二つある。第一は、予測不能な金正恩が合理的な戦略判断を続けられるか否かであり、第二は、北朝鮮の核弾頭付きICBM実戦配備が近づいたら、米国は今のように対北朝鮮攻撃を躊躇しなくなるというジレンマがあること、要するに今後北朝鮮の核問題は「時間との戦い」となることだ。

今回4月末までこのまま北朝鮮による核実験やICBM発射がなければ、このラウンドは終了。逆にどちらかでもあれば、中国は面子を失い、米国の対中圧力が倍増するだろう。しかし、それはそれだけの話。筆者にとって先週のハイライトは北朝鮮などではなく、16日に行われたトルコの国民投票の結果だ。

理由は簡単、エルドアン大統領が「プーチン化」し、ケマル・アタテュルク以来一貫して世俗主義共和国を志向してきたトルコが遂に「帝国化」のプロセスを開始したと考えるからだ。このことは、短期的に、シリアをめぐる問題を更に複雑化させ、中長期的には、NATO南方の結束が綻び始め、トルコのEU加盟も絶望的となるだろう。

ユーラシア大陸における現状変更志向のリビジョニスト帝国は四つになった。ロシア、イラン、中国に次いで、遂にトルコもその仲間に加わったということだ。トルコのような大国が欧米との協力路線を放棄し、ロシアやイランと共にリビジョニスト勢力の一角を占めるようなれば、中東地域の安定は増々遠のくのではないか。

北朝鮮が核弾頭を小型化しICBMを完成するのは、それ自体大事件ではあるが、所詮は想定内の問題である。これに対して、トルコの帝国化はユーラシア中東方面の地政学的な大変化だ。国際政治ゲームに新たな手強く予測不能なプレーヤーが参加してきた。これでユーラシアの不安定化は進む。筆者の懸念はここにある。

〇欧州・ロシア
20-21日にG7議長国のイタリア首相が米国とカナダを訪問する。G7にロシアを加える案を本気で考えているのだろうか。ロシアに対し一定の効果があることは否定しないが、冷戦終了後一時G8にして、何か成果はあったのか。なし崩し的に対露経済制裁を解除するなら、それこそロシアの思う壺ではないか。
23日から5月7日までフランスの大統領選挙第一回目が行われる。EUから英国が離脱してもEUは機能し続けるだろうが、仏が離脱し、独仏の枢軸が崩れれば、EUは有名無実となる恐れがある。欧米でのフランス大統領選挙に対する関心は異常に高い。第二回目の決選投票まで目が離せない。

〇東アジア・大洋州
17日から28日まで米韓空軍による共同訓練が実施される。この間に北朝鮮が何らかの行動を起こす可能性が取り沙汰されている。17日から米副大統領が訪日し、その後、インドネシア、豪州を歴訪する。23日には中国初の国産空母が就航するというが本当に使えるのか。

〇中東・アフリカ
イランの大統領選挙が近づいてきた。16日から大統領候補者を決めるイスラム法学者の会合が開かれる。現職のローハニ大統領は再選を目指すというが、果たしてどうなるだろうか。18日からは米国防長官がサウジアラビア、エジプト、イスラエル、カタル、ジブチを訪問する。

〇南北アメリカ
今最も気になるのはトランプ氏の政策判断の基準だ。トランプにはイデオロギーもドクトリンもない。良く言えば柔軟だが、悪く言えば朝令暮改で一貫性がない。手法は衝動的、感覚的、選択的であって、それ以上でも、以下でもない。要するに、トランプは今後も選挙モードと統治モードの間を行ったり来たりするのだ。
幸い、NSCは選挙モードのトランプ1.0から統治モードの2.0に移行しつつある。マクマスター補佐官以下チームとして纏まりつつあるようだ。バノンの離脱が象徴的である。しかし、バージョン1.0の象徴であるバノンはホワイトハウスから去らない。それは三年後の再選を考えるトランプ自身が選挙モードを止めるつもりがないからだ。

〇インド亜大陸
特記事項なし。今週はこのくらいにしておこう。

4月12-17日 アンヘル・グリア経済協力開発機構(OECD)事務総長が訪日
17日 黒田日銀総裁が第92回信託大会であいさつ(経団連会館)
17日 中国1~3月期の中国国内総生産(GDP)発表(午前11時頃)
17日 中国1~3月期の消費者物価指数(CPI)、固定資産投資、社会消費品小売総額など発表
17日 ヨーロッパはイースターマンデーで祝日
17日 ボストン・マラソン(米マサチューセッツ州ボストン)
17日か18日 ロシア第1四半期鉱工業生産指数発表
17-21日 ネパール・バンダリ大統領がインドを訪問
18-19日 米・ペンス副大統領が訪日、安倍首相との会談
18日 麻生副首相兼財務大臣と米・ペンス副大統領が日米経済対話の初会合(日本)
18日 安倍首相と米・ロス商務長官が通商交渉と為替問題を会談(日本)
18日 文部科学省の全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)(日本)
18日 国際通貨基金(IMF)が世界経済見通し(WEO)で記者会見(ワシントン)
18-20日 ルクセンブルク・ベッテル首相がカナダを訪問
18-21日 スウェーデン・ヴィクトリア皇太子が訪日
18-25日 JENESYS2016(対日理解促進交流プログラム)第8陣が来日(日本)
19日 金融システムリポート(日銀、16時)
19日 3月の訪日外国人数発表(日本政府観光局、16時)
19日 アトラスV(オービタル社商用補給機)打ち上げ(米・ケープカナベラル空軍基地)
19-21日 国際連合経済社会理事会実質会期 (ニューヨーク)
19-28日 上海モーターショーが開幕(一般公開は21日から)
19-5月3日 第201回ユネスコ執行委員会 (パリ)
20日 米伊首脳会談(ワシントン)
20日 米・ペンス副大統領がインドネシアを訪問
20日 中国・習近平国家主席がパキスタンを訪問
20日 春の園遊会(日本・赤坂御用地)
20日 ソユーズFG(Soyuz-FG)の打ち上げ(午後4時13分、カザフスタン・バイコヌール宇宙基地)
20日 長征7(CZ-7)の打ち上げ(中国海南省・文昌衛星発射センター)
20日か21日 ロシア1~2月貿易統計発表
20-21日 G20財務省・中央銀行総裁会議(米・ワシントン)
20-21日 イタリア・ジエンティロー二首相がカナダを訪問
20-22日 クラスノヤルスク経済フォーラム(ロシア)
21日 天皇退位の有識者会議が最終報告書公表
21日 メキシコ3月雇用統計発表
21-23日 IMF・世界銀行春季総会(ワシントン)
22日 米・ペンス副大統領がオーストラリアを訪問
23日 名古屋市長選挙投票(日本・名古屋)
23日 フランス大統領選第1回投票 (フランス)

【来週の予定】
24日か25日 ロシア3月雇用統計発表
24-25日 スペイン・ラホイ首相がブラジルを訪問
24-27日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
24-28日 第156回国際連合食糧農業機関(FAO)理事会(ローマ)
25日 EU一般問題理事会(ルクセンブルク)
25日 香港3月貿易統計発表(香港)
25-26日 EU環境相理事会非公式会合(バレッタ)
26日 メキシコ2月小売・卸売販売指数発表
26日 欧州安全保障協力機構(OSCE)のザニエル事務総長がロシア訪問
26-27日 欧州議会本会議(ブリュッセル) 
26-27日 日銀金融政策決定会合
26-27日 第6回モスクワ国際安全保障フォーラム
26-27日 EU防衛相理事会非公式会合(バレッタ)
26~29日 第30回ASEAN首脳会議(フィリピン・マニラ)
27-28日 安倍首相がロシアを訪問、首脳会談(ロシア)
27日 欧州中央銀行(ECB)政策理事会(独フランクフルト)
27日 アフガニスタン・ガーニ大統領がインドを訪問
27日 メキシコ3月貿易統計発表
28日 ブラジル3月全国家計サンプル調査発表
28日 米国第1四半期GDP(速報値)発表
28日 イギリス1~3月期GDP(速報値)発表
28日 ロシア中央銀行理事会
28-29日 EU外相理事会非公式会合(バレッタ)
28-29日 ローマ法王がエジプトを訪問
29日 EU首脳会議でイギリス離脱交渉指針を採択
30日 ジャパン・ハウス サンパウロの開館(ブラジル・サンパウロ)
30日 自動車F1ロシアGP決勝(ロシア・ソチ)
下旬 北朝鮮の核問題をめぐる日米韓の6カ国協議の首席代表会合(東京)

(宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)

2017年4月18日(火) | [ ]

先週は久し振りに中東と東アジアで危機が同時に発生した。6-7日の米中首脳会談二日前にアサド政権が化学兵器を使用。トランプ政権は直ちにこれをレッドライン越えと断じ、フロリダでの米中首脳会談夕食会直後に、トマホークによるシリア空軍基地攻撃が発表された。評論家冥利に尽きるとはこのことだ。

それにしても、中国の国家主席は運が悪いとしか言いようがない。詳しくは今週の産経新聞コラムと来週の週刊新潮コラムをお読み頂きたいが、習主席が世界の指導者としてトランプ氏と堂々と渡り合う、こんな姿を世界に印象付ける絶好のチャンスが対シリア攻撃決断で台無しになったのだから。

中国側は在米大使がトランプ氏の娘婿を通じ、「新型大国関係」、「一帯一路」、台湾を含む中国の「核心的利益」について何とか米国の同意・了解を得ようと必死で根回しを行っていた。正直なところ、筆者も一時は「トランプ政権が中国側の攻勢に屈するかもしれない」と心配したこともあった。

ところが蓋を開けてみたら、今回米側は完全ゼロ回答。それどころか、夕食の際トランプ氏は、「長時間議論を交わしたが今のところ成果は全くなし」と述べた。こんな失礼な話は聞いたことがない。習氏もただ笑っているように見えた。勿論、あの場面が中国のテレビで報じられることは決してないだろうが。

トランプ氏の短気とお説教嫌いは有名であり、独首相が難民問題でトランプ氏と話した後、トランプ氏は報道陣から促されても独首相との握手を拒否し続けたというエピソードがある。似たような話だが、中国の要人は話が長い。「壊れた蓄音機」と同じ。一度スイッチが入れば10-15分は話が止まらない。

こんな長話をトランプ氏が我慢できるとは思えない。「長時間議論し成果ゼロ」とは実に正直なコメントだったのではないか。しかも、その直後にトランプ氏は習氏に対シリア空軍基地攻撃を内々伝え、夕食後にこれを正式に発表した。中国人だったらやはりメンツを潰されたと思うのではないだろうか。

〇欧州・ロシア
10-11日にイタリアでG7外相会議がある。ロシアが参加してG8になった途端、G7/8は機能しなくなり、逆に一時はG20が注目を浴びるようになった。しかし、これだけ中露が悪さをするようになると、G7の重要性が再び認識されるようになったのは実に皮肉である。
米国務長官はこの後、11-12日にロシアを訪問する。一時はトランプ政権との蜜月も噂されたプーチン政権だが、シリアの化学兵器使用後、対米関係は冷戦終了後最悪の状態に陥っている。露大統領と近いと言われる米国務長官はこうした状況をどう立て直すのか。要注目であろう。

〇東アジア・大洋州
10-14日に中国の北朝鮮核問題特使が韓国を訪問し、北の核計画とTHAAD問題を議論するという。11日は北朝鮮の最高人民会議が開かれる。米海軍の空母打撃群は南シナ海から北上し北朝鮮に向かう。米国の典型的な「show of force」政策復活か。それともトランプ氏の衝動的気紛れか。北は必ず何かやるだろう。
15-25日に米副大統領が韓国、日本、インドネシア、豪州を訪問した後、ハワイに立ち寄るそうだ。ペンス副大統領は知日派だそうだが、アジアをもっと良く知ってもらった方が良い。これからトランプ氏に何が起こるか分からないだけに、この種の副大統領外遊は極めて重要である。

〇中東・アフリカ
米国の大統領がレッドラインを越えたと言ったら、強制行動を行う必要がある。それをしなければ、米国はもはや大国ではなくなるからだ。その意味でシリアの「化学兵器使用にトマホーク59発」は米国内では概ね高く評価されている。今見ているCNNではこの攻撃の合法性に関する議論が続いている。
驚くのは、米国の弁護士や元検察官が合衆国憲法の解釈や連邦議会の宣戦布告権限の話を、あーでもない、こーでもないと議論するのだが、誰一人として国連憲章や国際法の話はしないことだ。こんな基本的な議論が完全に抜けているのに、誰もそのことを指摘しない。これが米国の真髄なのだろうか。

〇南北アメリカ
対シリア攻撃決定の際、バノン首席戦略官は反対したという。彼はNSCの常任メンバーから外れ、影響力が低下したと報じられた。他方、トランプ氏は今回の攻撃に賛成した娘婿のクシュナーとバノンに対し、仲直りを命じたともいわれる。
筆者の見立ては、トランプが引き続き選挙モードと統治モードの間を「行ったり来たりする」というものだ。そうであれば、今回はNSCが統治モードを強めただけで、トランプ政権全体では、引き続き選挙モードの頭目であるバノン氏を切れないと思う。今後ともホワイトハウスの人事には目が離せない。

〇インド亜大陸
9-12日に豪州の首相がインドを訪問中だ。今週はこのくらいにしておこう。

4月6-11日 ミャンマー・ティン=チョウ大統領が中国を訪問
8-11日 滝沢外務大臣政務官がイタリア・ローマを訪問
9-10日 G7エネルギー相会合(ローマ)
9-12日 岸田外務大臣がG7外相会合のためイタリア・ルッカを訪問
10日 IMFの世界経済見通し発表(午前9時)
10-11日 G7外相会合(イタリア・ルッカ)
10-11日 第120回国際農業開発基金(IFAD)理事会 (ローマ)
10-12日 欧州議会委員会会議(ベルギー・ブリュッセル)
10-13日 第12回日中韓自由貿易協定(FTA)交渉会合開催 (東京)
10-16日 スリランカ・ウィクラマシンハ首相が訪日
11日 2025年国際博覧会(万博)の大阪誘致を閣議了解(日本)
11日 メキシコ2月鉱工業生産指数発表
11日 北朝鮮最高人民会議(平壌)
11-12日 ブラジル中央銀行、金融政策委員会(Copom)
12日 米・ティラーソン国務長官がロシアを訪問
12日 ブラジル2月月間小売り調査発表
12日 北大西洋条約機構(NATO)事務総長と米大統領が会談(ホワイトハウス) 
12日 インド2月鉱工業生産指数発表(インド)
12日 中国3月消費者物価指数(CPI)発表(中国)
12日 中国3月生産者物価指数(PPI)発表
13日 米国3月生産者物価指数(PPI)発表
13日 中国第1四半期貿易統計発表(中国)
13-16日 インターナショナルICT(情報通信技術)EXPO(香港)
13-17日 皇太子さまが外交樹立60周年でマレーシアを訪問
14日 聖金曜日による米国の株式・債権市場休場
14日 米国3月消費者物価指数(CPI)、小売売上高統計発表
14日 アフガニスタンに関する国際平和会議が開催(ロシア)
15日 北朝鮮の故金日成主席生誕 105周年
16日 熊本地震本震から1年
16日 トルコ大統領の権限強化に向けた憲法改正めぐり国民投票(トルコ)
16日 米・ペンス副大統領が韓国を訪問
16日 韓国の客船「セウォル号」沈没から3年

【来週の予定】
17日 ネパール・バンダリ大統領がインドを訪問
17日か18日 ロシア第1四半期鉱工業生産指数発表
18日 文部科学省の全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)(日本)
18-19日 米・ペンス副大統領が訪日
19日 アトラス(オービタル社商用補給機)打ち上げ(米・ケープカナベラル空軍基地)
19-21日 国際連合経済社会理事会実質会期 (ニューヨーク)
19-28日 上海モーターショーが開幕(一般公開は21日から)
19-5月3日 第201回ユネスコ執行委員会 (パリ)
20日 ソユーズFG(Soyuz-FG)の打ち上げ(午後4時13分、カザフスタン・バイコヌール宇宙基地)
20日 中国・習近平国家主席がパキスタンを訪問
20日か21日 ロシア1~2月貿易統計発表
20-21日 G20財務省・中央銀行総裁会議(米・ワシントン)
20-22日 クラスノヤルスク経済フォーラム(ロシア)
21日 メキシコ3月雇用統計発表
21-23日 IMF・世界銀行春季総会(ワシントン)
23日 名古屋市長選挙投票(日本・名古屋)
23日 フランス大統領第1回投票 (フランス)
23日 長征7(CZ-7)の打ち上げ(中国海南省・文昌衛星発射センター)

(宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)

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