今週は安倍晋三首相の欧州歴訪が予定されている。今回ほど欧州諸国首脳が、「日本の首相は何を言うか」に強い関心を持つことはなかったのではないか。混乱する米トランプ外交の中で、対アジア、対日外交だけが大きなサプライズもなく、まともに動き出しているように見えるからだ。

だが、個人的には先週15日のオランダ総選挙の結果の方に関心がある。日本の有力紙は蘭現与党が下院第一党を維持したことで、「オランダ『寛容』守る」、「右派阻止、EUから賛辞」などと手放しで評価していた。本当にそうなのか。先週指摘したように、オランダ与党はトルコとの軋轢を政治的に利用した。

あれだけの「劇場政治」をやったにもかかわらず、ルッテ首相率いる自由民主党は議席数を7も失った。逆に言えば、先週トルコが騒がなければ、もっと極右が台頭していたかもしれないのだ。政権与党は辛うじて主導権を維持した、と言えないこともない。事態はより複雑かつ深刻なのではないのか。

選挙といえば、26日に香港行政長官選挙が投開票される。中国指導部のお気に入り「本命」の前政務長官キャリー・ラム女史に反対する人が学生を中心に増えつつあると報じられた。気持ちは判るが、今の香港で真の民主的選挙が行われる可能性は限りなく低い。恐らく状況は今後更に悪化するのではないか。

〇欧州・ロシア
20日に日露2+2会合が開かれた。この数週間で米国の国防長官、国務長官が相次いで訪日し、今度はロシアだ。これで日露関係が進展するとは思えないが、こんな会合が開かれること自体、時代の流れを大いに感じる。領土問題とは別に、こうした日露対話を積み重ねることは、やはり重要だろう。

〇東アジア・大洋州
今週はアジアの域内外交が活発だ。19-22日にフィリピン大統領がミャンマーとタイを訪れ、イスラエル首相と5閣僚からなる代表団が訪中する。21-24日にはシンガポール首相がベトナムを訪問し、22-29日には中国の国務院総理がオーストラリアとNZを訪問、23日からは中国海南省でボーアオ会議が開かれる。
 
〇中東・アフリカ
25-26日にOPEC諸国が会合を開く。前回の会合で決めた減産を継続するか否かを議論するというが、シェール革命後の原油グラットの中で価格を高値安定させるのは難しい。このことは1980年代の経験で分かっている筈なのだが、大丈夫なのだろうか。
一方、22日には米国務長官がイスラム国打倒のため関係国との会合を主催するそうだ。それにしても、国務省職員は可哀想だと思う。副長官も次官も決まらず、国務省予算は大幅減。報道によれば、一部外国は国務長官をバイパスして、トランプ氏の娘婿に会おうとしているそうだ。国務省は未だ正常ではない。

〇南北アメリカ
今週はCNNを見ながらこの原稿を書いている。間もなくFBI長官が議会下院の情報委員会で証言し、その後、次期最高裁判事候補の議会承認手続きも動き始めるからだ。トランプ氏が「オバマ大統領がトランプタワーの盗聴を命じた」とツイートしてから2週間経った。米国内政の混乱はまだまだ続きそうだ。

〇インド亜大陸
中国国防部長がネパールとバングラデシュを訪問するが、一体何が目的なのだろう。ちょっと気になるところだ。今週はこのくらいにしておこう。

3月20日 EU雇用・社会政策・健康・消費者問題担当相理事会(健康相理事会非公式会合)(マルタ・バレッタ)
20日 ユーロ・グループ(非公式ユーロ圏財務相会合)(ベルギー・ブリュッセル)
20日 日露外相会談、日露外務・防衛閣僚協議「2+2」(東京)
20日 日独首脳会談(ドイツ・ハノーバー)
20日 東ティモール大統領選挙
20日か21日 ロシア1月貿易統計発表
20-21日 第5回アフリカCEOフォーラム(スイス・ジュネーブ)
20-23日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
20-24日 国際情報通信技術見本市「CeBIT 2017」(ハノーバー)
20-31日 日露さけ・ます漁業交渉
20日-4月3日 国連の先住民族に関する特別報告者がオーストラリアを訪問
21日 安倍首相、ユンケル欧州委員長、トゥスクEU大統領が会談
21日 日仏首脳会談(フランス・パリ)
21日 EU経済・財務相(ECOFIN)理事会(ブリュッセル)
21-23日 ベトナム国際加工・包装技術展(プロパックベトナム2017)(ホーチミン)
21-23日 ノルウェー王国のハラルド五世国王陛下がアイスランドのヨハネソン大統領と会合
21-25日 奥・井ノ上記念日本青少年国連訪問団が国連本部等を訪問(米国・ニューヨーク)
21-28日 対日理解促進交流プログラム「カケハシ・プロジェクト」米国大学生(ビジネススクール)が日本を訪問
22日 南ア2月CPI発表
22日 欧州中央銀行(ECB)政策理事会(非金融政策)(ドイツ・フランクフルト)
22日 日伊首脳会談(イタリア・ローマ)
22日か23日 ロシア2月雇用統計発表
22-29日 JENESYS2.0 中国青年公益事業交流団第2陣が日本を訪問(テーマ:体育・青少年教育、ボランティア、企業CSR・文化財保護)
23日 ECB一般理事会(フランクフルト)
23-24日 EU司法・内務相理事会(ブリュッセル)
23-29日 第28回アラブサミット(ヨルダン・アンマン)
24日 ロシア中銀理事会
24日 ローマ法王がEU各国首脳と会談(バチカン)
24日 メキシコ1月小売・卸売販売指数発表
25日 ローマ条約調印60周年記念日、非公式首脳会議(ローマ)
26日 ドイツ・ザールランド州議会選
26日 香港特別行政区行政長官選挙
26日 ブルガリア国民議会選挙
26日 千葉県知事選挙
26日 欧州各国が夏時間入り(英との時差は8時間、仏独伊とは7時間に縮小)
26日 ブルガリア国民議会選挙
26-28日 デンマーク王国フレデリック皇太子同妃両殿下が日本を訪問

【来週の予定】
3月27日 メキシコ2月貿易統計発表
27-28日 EU司法・内務相理事会(ブリュッセル)
28日 南ア第4四半期雇用統計発表
28日 メキシコ2月雇用統計発表
29日 タイ中銀、金融政策委員会
30日 米国2016年第4四半期および年間GDP(確定値)発表
30日 ブラジル1月月間小売り調査発表
30日 米国のティラーソン国務長官がトルコを訪問
30-31日 マニラ・インターナショナル・オートショー
30-31日 G7文化相会合(イタリア・フィレンツェ)
31日 ブラジル2月全国家計サンプル調査発表
最終週 アンゴラ中銀、金融政策委員会
上旬 ケニア中銀、金融政策委員会
上旬 メキシコ2月自動車生産・販売・輸出統計発表
下旬 マレーシア中銀、2016年年次報告発表(2017年経済見通しを含む)
下旬 ナイジェリア中銀、金融政策委員会
下旬 イランのローハニ大統領がロシア訪問
月内 EU南米南部共同市場(メルコスール)自由貿易協定(FTA)交渉ラウンド(アルゼンチン・ブエノスアイレス)
月内 アゼルバイジャンのアリエフ大統領がイラン訪問
月内 インド・ゴア州、マニプール州、パンジャブ州、ウッタラカンド州選挙
月内 パキスタン中銀、金融政策決定会合
月末 米国通商代表部(USTR)、外国貿易障壁報告書発表
4月1日 インド、物品・サービス税(GST)導入予定
1日 ユーラシア経済連合(EEU)関税領域へ持ち込む航空貨物に対する事前申告義務付け
2日 エクアドル大統領選挙決選投票(2月19日の選挙で当選者が出ない場合)
2日 アルメニア議会選挙
2-4日 中国清明節休暇

(宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)

2017年3月21日(火) | [ ]

最近の内外メディアの関心は珍しく「外交関係」に集中している。先週まで彼らの関心はクアラルンプール空港での金正男氏暗殺をめぐる北朝鮮とマレーシアの外交的報復合戦だった。ところが、今週の焦点はトルコとオランダの外交論争だ。それにしても、両国首脳が相手国を罵る光景は異様である。

事の発端は極右勢力の圧力に屈したオランダ政府がトルコ外相のオランダ入国を拒否したこと。同外相はロッテルダムで開かれる予定の在外トルコ人の集会に空路参加しようとしたが、オランダは国内の緊張を煽る可能性があるとして、同外相の搭乗機にロッテルダム空港への着陸許可を与えなかったという。

続いて、トルコの家族相がドイツから陸路で入国したが、同相はロッテルダムのトルコ総領事館前でオランダ当局により阻止され、何とドイツに追い返されたそうだ。オランダ首相府報道官によれば、同総領事館前に集まったトルコ系住民の抗議デモが暴徒化し、警察は放水でデモ隊を解散させたという。

この一連の事件でトルコ大統領はオランダを「ファシスト」、「ナチス」と罵倒し、現在海外で休暇中の駐トルコ・オランダ大使の帰国を当面は歓迎しないと発言。更に、オランダが家族相の追放について謝罪しない限り、外交的・政治的・経済的な報復も辞さないと表明したそうだ。事態は泥仕合となっている。

だが、一連の騒動に関する筆者の見方は冷めている。この問題はオランダ、トルコ両国にとって、外交ではなく、内政問題だからだ。オランダでは3月15日に総選挙が実施される。右派勢力から突き上げられている現与党としてはトルコに対し厳しい姿勢を示さざるを得ない。騒ぎは大きいほど良いのだ。

トルコ与党にとっても状況は同じ。同国では近く大統領への権限集中を認める憲法改正案の国民投票が予定されている。在外のトルコ人にも投票権があるので、トルコ与党が在欧州トルコ人有権者に対する働き掛けを強めたいのは当然だろう。どちらにとっても本質は外交ではなく、内政問題でしかない。

両国が外交問題を内政に利用しようとする以上、この問題に円満な解決などあり得ない。冷たい言い方だが、この問題は当分放っておくしかない。唯一明らかなことは、これによりトルコのEU加盟問題が事実上迷宮入りすること。トルコが欧州の一員となる可能性は完全になくなったということだ。


 
〇欧州・ロシア
14日にドイツ首相が訪米する。同首相と米大統領との関係は微妙であり、二人の会談結果はEUの将来を左右する、といっても過言ではない。少なくとも、トランプ政権の対欧州政策とEU諸国の対米政策の間には大きなギャップが存在する。今回の首脳会議の結果次第ではEUの将来を左右しかねないだろう。

〇東アジア・大洋州
今週はサウジ国王の日本・中国訪問と米国務長官の日中韓三国訪問が予定されている。サウジの大名行列はともかく、最近ワシントンでティラーソン国務長官の存在感が薄れつつあるとする報道が気になっている。今回のトランプ政権の最大の敗者は、もしかしたら米国務省かもしれないからだ。

〇中東・アフリカ
14日にカザフスタンのアスタナでシリア和平会議が開催される。ジュネーブでの会議とは別に、ロシア主導のこうした会議が開かれ続けること自体、シリア問題の将来にとっては良いニュースではない。米露間でシリアの将来に関する最低限のコンセンサスが生まれない限り、この種の会議は踊り続けるだろう。

〇南北アメリカ
報道によれば、最近訪米する諸外国外相は国務長官ではなく、トランプ氏の娘婿クシュナー顧問と会談することが少なくないという。これが事実であれば、いずれトランプ政権幹部の誰かが辞任に追い込まれる可能性がある。新政権幹部同士の権力闘争は誰かが犠牲者にならないと終焉しないからだ。

〇インド亜大陸
特記事項なし。

3月13日 ギリシャのニコス・コジアス外相が米国のワシントンを訪問
13日 フランスのジャン=マルク・エロー外務・国際開発大臣がストックホルムを訪問(スウェーデン)
13日 ウクライナのIvanna Klympush-Tsintsadze副首相がフィンランドを訪問
13日 ガーナのシェリー・アヨコー・ボチュウェイ外相が南アを訪問
13-15日 オランダのマキシマ王妃陛下がワシントンとニューヨークを訪問(米国)
13-16日 欧州議会本会議(フランス・ストラスブール)
13-16日 アジア最大規模の映像コンテンツ見本市「香港フィルマート」
13-16日 モザンビーク共和国のニュシ大統領が日本を訪問
14日 メキシコ1月鉱工業生産指数発表
14日 中国2月固定資産投資、社会消費品小売総額発表
14日 ドイツのメルケル首相が米国のトランプ大統領と会合(米国・ワシントン)
14-15日 米国FOMC
14-16日 アルメニアのサルグシャン大統領がロシアを訪問
14-18日 河井内閣総理大臣補佐官が米国を訪問
15日 オランダ下院選挙
15日 米国2月CPI、小売売上高統計発表
15日 薗浦外務副大臣が「アジア太平洋地域における統合イニシアティブに関するハイレベル対話」へ出席するため、ビニャ・デル・マールを訪問(チリ)
15日 米国連邦債務上限凍結が終了
15-17日 米国のティラーソン国務長官が日本を訪問
16日 ユーロスタット、2月CPI発表
16日か17日 ロシア1~2月鉱工業生産指数発表
16-17日 WTOサービス貿易理事会(スイス・ジュネーブ)
17日 CIS加盟国国際経済フォーラム、CIS経済理事会(ロシア・モスクワ)
17-18日 G20財務相・中央銀行総裁会議(ドイツ・バーデン・バーデン)
19-20日 EU雇用・社会政策・健康・消費者問題担当相理事会(雇用・社会政策・健康相理事会非公式会合)(マルタ・バレッタ)

【来週の予定】
3月20日 ユーロ・グループ(非公式ユーロ圏財務相会合)(ベルギー・ブリュッセル)
20日か21日 ロシア1月貿易統計発表
20日 東ティモール大統領選挙
20-21日 第5回アフリカCEOフォーラム(ジュネーブ)
20-24日 国際情報通信技術見本市「CeBIT 2017」(ドイツ・ハノーバー)
21日 EU経済・財務相(ECOFIN)理事会(ブリュッセル)
21-23日 ベトナム国際加工・包装技術展(プロパックベトナム2017)(ホーチミン)
22日 南ア2月CPI発表
22日 欧州中央銀行(ECB)政策理事会(非金融政策)(ドイツ・フランクフルト)
22日か23日 ロシア2月雇用統計発表
23日 ECB一般理事会(フランクフルト)
23-24日 EU司法・内務相理事会(ブリュッセル)
23-29日 第28回アラブサミット(ヨルダン・アンマン)
24日 ロシア中銀理事会
24日 メキシコ1月小売・卸売販売指数発表
26日 ドイツ・ザールランド州議会選
26日 香港特別行政区行政長官選挙
26日 ブルガリア国民議会選挙
26日 千葉県知事選挙
26-28日 デンマーク王国フレデリック皇太子同妃両殿下が日本を訪問

(宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)

2017年3月14日(火) | [ ]

北朝鮮が再び弾道ミサイルを発射。一方、マレーシアは在クアラルンプール北朝鮮大使を「ペルソナ・ノン・グラータ(PNG)」として国外追放した。おかげで本日は夜までメディアからの取材に忙殺された。幸い筆者はPNGとなった経験がない。久し振りに外交・領事関係に関するウィーン条約を読み直した。

マスコミの質問は様々だ。次は国交断絶なのか、北朝鮮大使が出国しなかったらどうなるのか、大使がいなくなったら大使館はどうなるのか、敷地内に隠れている二等書記官は逮捕できるのか、航空会社職員の逮捕はどうか、大使が国外退去期限ぎりぎりまで大使館にいたのはなぜか・・・。

国交といっても、外交関係を維持しながら臨時代理大使を置くことから、領事関係への格下げなど、様々な段階、態様があり得る。初めから「大使国外退去」か、「国交断絶」かの二者択一ではない。人と人との関係と同様、国と国の関係も様々な段階があるのだ。まあ、こんなこと知らなくても良いことだが。

更に、外交特権が派遣国と接受国との合意の産物であることも意外に知られていない。だから、接受国はPNGをいつでも一方的に、理由を明示せずに発動できる。PNG通告を受けた場合、ウィーン条約上、派遣国は「本国へ召還又は外交官任務終了」を行う義務がある。今回北朝鮮もこれに従ったのだろう。

派遣国がこの義務履行を拒否した場合、または「相当な期間内」にこれを行わなかった場合、接受国は対象者がもう「外交特権」を持たないと看做すことができる。その場合、違法行為などがあれば、一般の外国人と同様、接受国当局はその「元外交官」の身柄拘束などが可能となるはずだ。

ちなみに、PNGは「名誉」にも、「恥」にもなり得る。例えば、日本人の外交官が近隣の独裁主義国家でPNGとなった場合、マスコミは「恥ずかしいこと」と書くかもしれないが、筆者はそれを「勲章」と考える。その人物は相手が嫌がるほどの情報収集活動を行った立派な外交官だからだ。

さて、今回の北朝鮮外交官の場合はどうだろう。他人事ながら、実に心配だ。


 
〇欧州・ロシア
EU関係では今週は国際会議が目白押しだ。6日は外交理事会、7日は一般理事会、9日には欧州中銀理事会がそれぞれ開かれるのだが、筆者が関心を持ったのは9日の英連邦貿易相会合だ。イギリスはEU離脱後に英連邦加盟国との経済関係強化を図るのだろう。当たり前だが、英国のEU離脱は本気である。

〇東アジア・大洋州
7-8日にジャカルタで環インド洋連合首脳会議が開かれ、豪首相が参加する。オーストラリアがインド洋国家であることは例のマレーシア航空機消失事件で分かっていたが、実際に豪州はこの枠組みに積極的に参加していることが良く分かる。インド洋は重要であり、日本からは岸外務副大臣が参加する。
7日に中国の商務部長がフィリピンを訪問する。40もの共同プロジェクトに署名するという。比大統領の戦略は、今の中国とは戦わずに、経済的利益を取れるだけ取るというものだが、果たしてうまくいくのか。台湾も似たようなやり方で中国経済に取り込まれていったが、フィリピンは大丈夫か。心配だ。

〇中東・アフリカ
6日にインド・オマーンが共同軍事訓練を実施する。場所は不明だが、恐らくインド洋だろう。ここでもインドのインド洋に対する拘りが感じられる。一方、12日にはトルコ大統領がロシアを訪問する。最近のトルコの対露傾斜は顕著であり、中東地域での力のバランスを微妙に変える可能性がある。要注意だ。

〇南北アメリカ
先週火曜日に格調高い対議会演説を成功させたトランプ氏だが、土曜日には再び暴発した。何と「大統領選前に、オバマ大統領の指示でトランプタワーの電話が盗聴された」とツイートしたのだ。根拠は不明だが、米国大統領にはそのような権限はないという。やはり、トランプ氏は変わりそうもない。

〇インド亜大陸
6-8日にニューデリーで第19回「アジア安全保障会議」が開かれる。インドが主催する有名な国際会議だが、実は「アジア安全保障会議」はもう一つある。英シンクタンクIISSがシンガポールで開催する会議で、通常は「シャングリラ会議」と呼んで両者を区別している。今週はこのくらいにしておこう。

3月6日 EU外相理事会(ベルギー・ブリュッセル)
6日 EU農水相理事会(ブリュッセル)
6日 仏、西、独、伊の首脳がベルサイユで会合(フランス)
6日 NATOのストルテンベルグ事務総長がスウェーデンの防衛相と会合(ブリュッセル)
6-9日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
6-10日 国際原子力機関理事会(オーストリア・ウィーン)
6-15日 JENESYS2016 モンゴル訪日団が日本を訪問
7日 ブラジル第4四半期GDP発表
7日 ユーロスタット、第4四半期実質GDP成長率発表
7日 EU一般問題理事会(ブリュッセル)
7日 米国1月貿易統計発表
7日 オーストラリア連邦準備銀行理事会
7日 ミクロネシア連邦議会選挙
7日 南アフリカ共和国2016年第4四半期GDP発表
7日 岸外務副大臣が環インド洋連合首脳会合への出席のため、ジャカルタを訪問(インドネシア)
7日か9日 ロシア2月CPI発表
7-8日 エストニアのカリユライド大統領がフィンランドを訪問
7-9日 メキシコ総合食品見本市「Expo ANTAD 2017」(グアダラハラ)
7-14日 JENESYS2016 中国大学生訪日団が日本を訪問(テーマ:経済・経営,医学,法学)
7-14日 JENESYS2016 招へいプログラム(対象国:インド、シンガポール、東ティモール、ベトナム、ミャンマー、ラオス、第16陣)
7-19日 ジュネーブ国際自動車ショー(報道向けは7-8日、一般公開は9-19日)(ジュネーブ)
8日 中国2月貿易統計発表
8日 ブラジル1月鉱工業生産指数発表
8日、10日 WTO、日本に関する貿易政策レビュー(ジュネーブ)
9日 欧州中央銀行(ECB)政策理事会(金融政策)(ドイツ・フランクフルト)
9日 メキシコ2月CPI発表
9日 中国2月CPI発表
9-10日 欧州理事会(ブリュッセル)
9-10日 第15回「気候変動に対する更なる行動」に関する非公式会合(東京)
9-10日 トルコのエルドアン大統領がロシアのプーチン大統領と会合(ロシア・モスクワ)
9-23日 第329回ILO理事会(スイス・ジュネーブ)
10日 米国2月雇用統計発表
10日 ブラジル2月IPCA発表
10日 インド1月鉱工業生産指数発表
10日 ノルウェーのソニア王妃がフランスを訪問
12日 ホンジュラス大統領・国会議員・市長予備選挙
12-15日 サルマン・サウジアラビア王国国王陛下が日本を訪問
12-11月5日 米国で夏時間に移行

【来週の予定】
3月13-16日 欧州議会本会議(フランス・ストラスブール)
13-16日 アジア最大規模の映像コンテンツ見本市「香港フィルマート」
14日 メキシコ1月鉱工業生産指数発表
14日 中国2月固定資産投資、社会消費品小売総額発表
14-15日 米国FOMC
15日 オランダ下院選挙
15日 米国2月CPI、小売売上高統計発表
16日 ユーロスタット、2月CPI発表
16日か17日 ロシア1~2月鉱工業生産指数発表
17-18日 G20財務相・中央銀行総裁会議(ドイツ・バーデン・バーデン)
19-20日 EU雇用・社会政策・健康・消費者問題担当相理事会(雇用・社会政策・健康相理事会非公式会合)(マルタ・バレッタ)

(宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)

2017年3月 7日(火) | [ ]

日本のメディアはまだ金正男の暗殺事件を報じ続けている。「もう、そろそろ飽きませんか?」と聞いたら、「そうなんですけど、まだ(視聴率の)数字が出るんですよ」と関係者は本音を漏らした。正男の事件がそれほど興味深いのか、それとも、日本の視聴者のレベルがあまりに低いのか。前者を信じたいのだが。

2月23日、ワシントン近郊で開かれたCPAC(保守政治行動会議)なるイベントが注目された。トランプ政権の黒幕ともいわれるSバノン主席戦略官とRプリーバス首席補佐官が揃って出席したからだ。この二人、巷では「仲が悪く、対立している」と噂されてきたのだが・・・。

この御両人が一緒に壇上に登り、笑顔でお互いを賞賛し合ったのだから面白い。勿論、不仲説を一蹴するための政治ショーなのだが。それよりも筆者は二人、特にバノン氏の発言に注目した。詳細は今週木曜日産経新聞の筆者コラムを御一読頂きたい。バノン氏の動向には今後も目が離せない。

ちなみに、28日にはトランプ氏が当選後初めて米議会で演説する。例年のState of the Union演説に相当するものだろうが、内容は経済政策になるといわれる。今のマーケットはまだご祝儀市場のようだが、28日の経済政策発表が凶と出るか、吉と出るか。市場は決して甘くないと思うのだが。

〇欧州・ロシア
27-28日にロシア大統領がカザフスタン、タジキスタン、キルギスタンを歴訪する。三国とも中国のウイグル自治区と国境を接する中央アジアの国々であり、その戦略的位置付けは極めて重要だ。「一帯一路」には欠かせない国々だが、ここでのロシアの存在感は実に大きい。中国は一体どう巻き返すのだろう。
 
〇東アジア・大洋州
26-27日にインドネシア大統領が訪豪する。26日から3月1日まではサウジアラビア国王がマレーシアとインドネシアを訪問する。29日からASEANと中国の作業グループが南シナ海でのCode of Conduct(行動規範)について議論するが、恐らく進展はないだろう。
 
〇中東・アフリカ
相変わらず中東諸国の動きは鈍い。3月1日にはアルジェリア、エジプト、チュニジアの閣僚がリビア問題について話し合うというが、これら三国が集まったからといってリビア問題に進展があるとは思えない。何度も言うが、アラブ諸国の自己統治能力の欠如は昔から変わらないようだ。

〇南北アメリカ
27日に北朝鮮問題に関する六者協議について日米韓三国の担当局長クラスがワシントンで集まる。北朝鮮のミサイル発射と金正男らしき人物の暗殺を踏まえ、話すべきことは山ほどある。しかし、米国は国務副長官以下の幹部が未就任、韓国も大統領の外交は事実上止まっている。一体何を話すのだろうか。

〇インド亜大陸
3月1日にパキスタンで、インド大統領、トルコ大統領と中央アジア五カ国首脳が参加する首脳会議が開かれる。今週はこのくらいにしておこう。

2月27日 EU運輸・通信・エネルギー担当相理事会(ベルギー・ブリュッセル)
27日 WTO一般理事会(スイス・ジュネーブ)
27日 メキシコ1月貿易統計、雇用統計発表
27日 アルメニアのサルグシャン大統領がNATOストルテンベルグ事務総長と会合(ブリュッセル)
27日か28日 ロシア2016年貿易統計、1月雇用統計発表
27-28日 国際投資フォーラム「ソチ2017」(ロシア・ソチ)
27-28日 第10回日・ASEANテロ対策対話(マレーシア・クアラルンプール)
27-28日 ロシアのプーチン大統領がカザフスタン、タジキスタン、キルギスタンを歴訪
27日-3月2日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
27日-3月3日 第17回東アジア地域包括的経済連携(RCEP)交渉会合(神戸)
27日-3月24日 第34回国連人権理事会(ジュネーブ)
28日 米国2016年第4四半期および年間GDP(改定値)発表
28日 EU環境相理事会(ブリュッセル)
28日 英国商工会議所(BCC)年次総会(英国・ロンドン)
28日 金杉アジア大洋州局長が日米韓六者会合首席代表者会合に出席(米国・ワシントンDC)
28日 フランスのエロー外務大臣がインドネシアを訪問
28日-3月2日 経済社会理事会(ECOSOC)本会期(Operational activities for development segment)(米国・ニューヨーク)
28日-3月3日 デンマーク王国フレデリック皇太子同妃両殿下がサウジアラビアとカタールを訪問
28日-3月4日 香港国際ダイヤモンド・宝石&パール・ショー
28日-3月6日 天皇、皇后両陛下がベトナムとタイを公式訪問
3月1日 アルゼンチン通常国会開会式
1日 カナダ中銀、政策金利発表
1-2日 欧州議会本会議(ブリュッセル)
1-2日 第2回日・ASEANサイバー犯罪対策対話(クアラルンプール)
2日 ユーロスタット、1月失業率発表
2日 北アイルランド議会選挙
2日 ドイツのメルケル首相がエジプトのエルシーシ大統領と会合(エジプト)
2-3日 EU外相理事会(非公式会合)(マルタ・バレッタ)
3日 EU雇用・社会政策・健康・消費者問題担当相理事会(ブリュッセル)
3日 中国第12期全国人民政治協商会議第5回全体会議(中国・北京)
3-5日 パキスタン・オートショー(PAPS)(カラチ)
3-5日 スリランカ医療産業展(コロンボ)
5日 中国第12期全国人民代表大会第5回全体会議(北京)

【来週の予定】
3月6日 EU外相理事会(ブリュッセル)
6日 EU農水相理事会(ブリュッセル)
7日 ブラジル第4四半期GDP発表
7日 ユーロスタット、第4四半期実質GDP成長率発表
7日 EU一般問題理事会(ブリュッセル)
7日 米国1月貿易統計発表
7日 オーストラリア連邦準備銀行理事会
7日 ミクロネシア連邦議会選挙
7日か9日 ロシア2月CPI発表
7-9日 メキシコ総合食品見本市「Expo ANTAD 2017」(グアダラハラ)
8日 中国2月貿易統計発表
8日 ブラジル1月鉱工業生産指数発表
8日、10日 WTO、日本に関する貿易政策レビュー(ジュネーブ)
9日 欧州中央銀行(ECB)政策理事会(金融政策)(フランクフルト)
9日 メキシコ2月CPI発表
9日 中国2月CPI発表
9-10日 欧州理事会(ブリュッセル)
9-10日 第15回「気候変動に対する更なる行動」に関する非公式会合
10日 米国2月雇用統計発表
10日 ブラジル2月IPCA発表
12日 ホンジュラス大統領・国会議員・市長予備選挙
12-15日 サルマン・サウジアラビア王国国王陛下が日本を訪問

(宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)

2017年2月28日(火) | [ ]

金正男が暗殺されて、もう一週間経った。日本のメディアは連日これでもか、これでもかと未確認情報を垂れ流した。かく言う筆者も質問を受ければ、何か答えざるを得ない。あくまで仮説であって証明されたものではないと断っても、その部分は結局カットされてしまう。この種のコメントは意外に難しいのだ。

特に難しいのは、「なぜ今なのか」という問いだ。張成沢に連なっていたからこそ、金正男は中国にとって価値があった。されば、張が粛清されたことにより、金正男の価値は大幅に低下したはず。もう中国は金正男の護衛を止めていたのか。では何故今頃、中国は北朝鮮の石炭購入を止めたのか。疑問は多い。

筆者が最も気になるのは、トランプ政権が北朝鮮に如何なるメッセージを発したかだ。考えてみれば、新政権は選挙中から、世界中の国々、特に問題のある国々に対し、まずは挑発し、喧嘩を売って、圧力を掛けてから、交渉に持ち込み、妥協を探るような戦術的手法を模索してきたようにも見える。

中国も、日本も、NATOもそうだった。北朝鮮に対しても、昨年後半のオバマ政権時代から、やれ斬首作戦だ、外科的手術だなどという噂が流れていたが、トランプ政権はもっと過激なのだろうか。そういえば、米国が金正男を利用して北朝鮮転覆を考えているという噂すらあった。北朝鮮は過剰反応したのか。



〇欧州・ロシア
今週欧州は忙しい。20日に英上院はEU離脱法案を審議し、ユーロ圏諸国はギリシャ問題を討議し、米副大統領はブラッセルを訪問する。22日にはドイツ首相がIMF関係者と会談し、23日にはジュネーブでシリア問題の会合が再開される。特に、米副大統領のNATOに関する発言は要注意だろう。

〇東アジア・大洋州
今週はマレーシア発報道がアジアを駆け巡った。それにしても、北朝鮮の工作員がクアラルンプールにあれほど多数いたのかと思うと、日本だって他人事ではないということか。これまで北朝鮮と親しかったマレーシアが今回は筋を通そうとしている。自国内で工作員が暗殺したのだから当然なのだが・・・。

〇中東・アフリカ
今週の中東は静かだ。トランプ氏がイスラエル首相との会談でパレスチナ問題をユダヤ人国家とパレスチナ人国家の樹立により解決することを目指す「二国」解決策に拘らないと発言したのに、である。一方、国連安保理では米国の大使が米国の伝統的政策は「二国」解決策だと公言している。大丈夫なのか。
23日にはイランとサウジアラビアが会合を持つ。と言っても、内容はハッジ(聖地巡礼)の話だ。たかが巡礼、されど巡礼である。最近はイランからの巡礼者に対する差別などの問題もあると聞くが、このような機会に両国間の意思疎通が続くことを祈るばかりだ。

〇南北アメリカ
今週もトランプ政権は相変わらずだが、23日には国務長官と国土安全保障長官が揃ってメキシコを訪問するという。メキシコ国境の壁の問題は進展するかもしれない。この両長官なら、ある程度話が分かるだろうからだ。しかし、壁の問題はトランプ氏が一度喋り始めたら、ぶち壊しになりかねない、要注意だ。

〇インド亜大陸
22日にインドの外相が中国を訪問し、第一回目の中印「戦略対話」会合を開くという。何を話すのか、興味津々だが・・・。今週はこのくらいにしておこう。

2月20日 タイ2017年経済見通し発表
20日 ユーロ・グループ(非公式ユーロ圏財務相会合)(ベルギー・ブリュッセル)
20日 米国のマイク・ペンス副大統領がブリュッセルを訪問
20-21日 EU競争担当相理事会(ブリュッセル)
20-23日 WFP執行理事会(First regular session)
20-25日 米国の下院議員27人がインドを訪問
20日-3月10日 国際民間航空機関(ICAO)第210回Council Phase
21日 ロシア第3四半期外国直接投資統計発表
21日 EU経済・財務相(ECOFIN)理事会(ブリュッセル)
21日 ASEAN非公式外相会議(フィリピン)
21-22日 ブラジル中銀、Copom
21-23日 太陽エネルギー・エネルギー効率国際展示会(モロッコ・カサブランカ)
21-23日 インドのM Hamid Ansari副大統領がウガンダを訪問
21-23日 第24回アジア輸出管理セミナーの開催(東京)
22日 ユーロスタット、1月CPI発表
22日 メキシコ第4四半期GDP発表
22日 ISS無人補給機プログレスMS5(66P)(カザフスタンン・バイコヌール)
22日 「V4+日本」移民問題セミナーの開催(東京)
22日 フランスのエロー外務・国際開発大臣がアイルランドを訪問
22-26日 韓国最大級の住宅展示会「KOREA BUILD 2017」(韓国・高陽市)
23日 日本キューバ官民インフラ会議(ハバナ)
23日 国連主導のシリア和平協議(スイス・ジュネーヴ)
23日 米国のティラソン国務長官とケリー国土安保長官がメキシコ訪問
23-24日 FBCハノイ2017ものづくり商談会
24日 メキシコ12月小売・卸売販売指数発表
24日 ブラジル1月全国家計サンプル調査発表
25日 「JAPAN HOUSE フォーラム2017」の開催(東京)
26日-3月2日 中東地域食品産業見本市「ガルフード(Gulfood)2017」(UAE・ドバイ)

【来週の予定】
2月27日 EU運輸・通信・エネルギー担当相理事会(ブリュッセル)
27日 WTO一般理事会(ジュネーブ)
27日 メキシコ1月貿易統計、雇用統計発表
27日か28日 ロシア2016年貿易統計、1月雇用統計発表
27-28日 国際投資フォーラム「ソチ2017」(ロシア・ソチ)
27日-3月24日 第34回国連人権理事会
28日 米国2016年第4四半期および年間GDP(改定値)発表
28日 EU環境相理事会(ブリュッセル)
28日 英国商工会議所(BCC)年次総会(ロンドン)
28-29日 WTO知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS)理事会(ジュネーブ)
28日-3月2日 経済社会理事会(ECOSOC)本会期(Operational activities for development segment)
28日-3月4日 香港国際ダイヤモンド・宝石&パール・ショー
最終週 アンゴラ中銀、金融政策委員会
上旬 中国1月CPI、1月貿易統計発表
中旬 メキシコ12月鉱工業生産指数発表
中旬 南ア1月CPI発表
中旬 ナイジェリア1月CPI発表
下旬 ブラジル1月全国家計サンプル調査発表
月内 アゼルバイジャン・英国政府間委員会(経済協力)第2回会合
月内 ギニア市議会議員選挙
月内 ベラルーシのルカシェンコ大統領がウズベキスタン訪問
月内 ロシアのロゴジン副首相がインド訪問
月内 スペイン・セルナ勧業相がウクライナ訪問
月内 米国予算教書発表
月内 米国大統領経済報告書発表
2月か3月 ロシア・マトビエンコ上院議長がベトナム訪問
3月1日 アルゼンチン通常国会開会式
1日 カナダ中銀、政策金利発表
1-2日 欧州議会本会議(ブリュッセル)
2日 ユーロスタット、1月失業率発表
2日 北アイルランド議会選挙
2-3日 EU外相理事会(非公式会合)(バレッタ)
3日 EU雇用・社会政策・健康・消費者問題担当相理事会(ブリュッセル)
3日 中国第12期全国人民政治協商会議第5回全体会議(北京)
3-5日 パキスタン・オートショー(PAPS)(カラチ)
3-5日 スリランカ医療産業展(コロンボ)
5日 中国第12期全国人民代表大会第5回全体会議(北京)

(宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)

2017年2月21日(火) | [ ]