今週は恒例の国連総会が始まる。トランプ氏にとってはこれが国連デビューだ。先ほどCNNがbreaking newsでトランプ氏の演説を生中継していた。確か、米国の国連総会演説は19日だったはず。一体何を喋るのかと思ったら、国連改革について用意された草案を読み上げていた。正直、これが全然面白くない。

ドナルド・トランプにはバージョン1.0(選挙キャンペーンモード)と2.0(統治行政モード)がある。前者には用意された草案がなく、彼の即興スピーチが主体。ツイッターもその一部だ。今回のトランプ氏は後者だから、当然即興は少ない。暴言を吐くトランプ氏に慣れてしまったことが、我ながら情けない。

今週筆者が最も気になったのはミャンマーのロヒンギャ迫害問題だ。ロヒンギャとは同国の西部ラカイン州に住んでいた少数派で、人口は110万程度、殆どがムスリムで、ミャンマーは彼らに国籍すら与えていないという。19世紀後半英国の植民地政策の一環でベンガル系労働者を移民させたのが始まりだそうだ。

数年前ミャンマーの首都ネピドーを訪問した際、地元のガイドに「これだけ近いのだからベンガル系のイスラム教徒のミャンマー人はいないのか」と聞いたら、答えが「いない」だったことをふと思い出した。当時は嘘だろうと思ったが、彼は正しかった。ロヒンギャはミャンマー国民ですらないのだから。

当然批判はスーチー女史に向かう。国家顧問という名の事実上の国家指導者だと思ったら、実は軍部の傀儡だった、となれば穏やかではないからだ。しかし、誰が彼女を非難できるだろうか。彼女については昔から毀誉褒貶があった。彼女は決してミャンマーのジャンヌダルクではない。これからもそうなのだ。

〇欧州・ロシア
20日にウクライナ大統領が同国への国連PKO部隊派遣につき国連で提案を行う。仏では12日に続き、21日にも労組連合が政府の労働改革に反対するストライキを実施する。22日には英首相がイタリアでEUとの関係について演説を行うそうだ。
いずれも重要な動きではあるが、今週のハイライトは何といっても24日のドイツ議会総選挙だろう。事前の予想では現与党であるキリスト教民主同盟の第一党の地位は変わりそうもなく、緑の党、左翼、右翼等どの政党が第三党となるかで連立政権の枠組みが変わるらしい。恐らくはメルケル首相の再選だろう。

〇東アジア・大洋州 
国連で21日に日米韓首脳会合が開かれる。韓国だけでなく、米国までもがフラフラしないよう、しっかり議論してもらいたいものだ。米政権はこれまでのところ北朝鮮問題では無難にやっているように見える。だが、心配なのはこれからだ。口では威勢が良いが、本当にタフになれるのか?祈るしかない。

〇南北アメリカ
トランプ政権は相変わらずだ。金正恩をロケットマンと呼んだのはご愛敬だが、15日朝のロンドン地下鉄テロにつき英当局未発表情報をツイッターに投稿し、英国官民から強く批判されている。直前に聞いた機密情報をすぐ喋ってしまう癖は直っていないようだ。昔日本にもそんな外相がいたことを思い出した。

〇中東・アフリカ 
トランプ氏の国連総会出席でもう一つ注目されているのが、イスラエル首相との会談だ。オバマ政権時代に両国関係は最悪だったが、今の関心は2015年のイラン核合意の行方である。米国務長官は、イランが技術的に核合意を遵守しているが、一方、地域で不安定化を促進する行動を強化していると非難した。
14日に米財務省は、核開発ではなく、ミサイル計画やサーバー犯罪関与を理由に、イラン人7人と同国企業2社を制裁対象者リストに加えた。イラン側はこれに猛反発しているが、恐らくトランプ政権の態度は変わらないだろう。その意味でもトランプ・ネタニヤフ会談の行方が気になるところだ。

〇インド亜大陸
12日からの安倍首相訪印では安全保障問題もさることながら、両国経済関係に関する合意が目立った。やはり、インドの最大関心は経済だ。今週はこのくらいにしておこう。

10-19日 対日理解促進交流プログラム・21世紀ユース日本通信使日本の大学生が訪韓
11-22日 国連貿易開発会議(UNCTAD)第64回貿易開発理事会(TDB)(ジュネーブ)
11-29日 第36回国連人権理事会(ジュネーブ)
12-18日 山口公明党代表がマトビエンコ・ロシア上院議長と会談のために訪ロ(モスクワ)
12日-12月中 第72回国連総会(ニューヨーク)
12-19日 堀井巌外務大臣政務官がオーストラリア、マレーシア及びラオスを訪問
12-21日 対日理解促進交流プログラム・日韓学術文化青少年交流事業団が訪韓
13-19日 堀井学外務大臣政務官がアゼルバイジャン及びトルクメニスタンを訪問
14-20日 ロシア軍がベラルーシで大規模演習
17-23日 河野外務大臣が国連総会へ参加するためにニューヨークを訪問
18日 ユーロスタットが8月CPI発表
18日 柳条湖事件から86年
18-19日 佐藤外務副大臣がオマーンを訪問
18-22日 安倍首相が国連総会出席のため訪米
18-22日 第35回ASEANエネルギー相会合(マニラ)
18-22日 第61回国際原子力機関(IAEA)総会(ウィーン)
18-23日 対日理解促進交流プログラム「環境資源を活かした先進的なまちづくりを学ぶ・日韓若者交流リーダー育成事業」日本の大学生等が韓国を訪問
18-10月6日 国際民間航空機関(ICAO)第212回Committee Phase(モントリオール)
19日 EU一般問題理事会(ブリュッセル)
19日 4-6月期の米経常収支(商務省)
19日 スー・チー・ミャンマー国家顧問が国民向けテレビ演説
19日 米大統領が国連総会で演説(ニューヨーク)
19-20日 米国連邦公開市場委員会(FOMC)
19-25日 第72回国連総会一般討論演説(ニューヨーク)
19-26日 対日理解促進交流プログラム「日ASEAN学生会議」の実施
19-28日 対日理解促進交流プログラム「未来につなぐ環境プロジェクト-福島の再生可能エネルギー事業に学ぼう-」韓国の大学生等が訪日(福島県)
20日 安倍首相が国連総会で演説
20日 包括的核実験禁止条約(CTBT)発効促進会議(ニューヨーク)
20日か21日 ロシア1-7月貿易統計発表
20-21日 第528回EU経済社会評議会(EESC)プレナリーセッション(ブリュッセル)
20-21日 外務省が復興庁等と共催で「ふくしま復興フェアin霞が関コモンゲート」開催
21日 日米韓三カ国首脳会談
21日 メキシコ7月小売・卸売販売指数発表
21-22日 APEC第11回防災担当高官会合(SDMOF11)(ベトナム・ビン)
22日 英首相が演説(イタリア・フィレンツェ)
22日 アルバ大統領選挙
22日 ソユーズ2.1b(ロシア測位衛星Glonass-M)宇宙基地(カザフ・バイコヌール宇宙基地)
23日 ニュージーランド総選挙
23-27日 北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉第3回会合開幕(カナダ・オタワ)
24日 ドイツ連邦議会(下院)選挙
24日 フランス上院選挙
24日 スイスで年金制度改革を問う国民投票
24日 ベルリンマラソン
24-27日 英国労働党大会(ブライトン)


【来週の予定】
25日 イラク・クルド自治区で分離独立を問う住民選挙
25日 IAEA理事会(ウィーン)
25日か26日 米・スペイン首脳会談(ワシントン)
25日か26日 ロシア8月雇用統計発表
25-28日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
25-26日 G7産業・デジタル担当相会合(イタリア・トリノ)
25-29日 国連人権理事会第18回「人権と多国籍企業及びその他の企業の問題」に関するワーキンググループ(ジュネーブ)
26-28日 WTOパブリックフォーラム(スイス・ジュネーブ)
26日 メキシコ8月雇用統計発表
26-29日 APEC女性と経済フォーラム(ベトナム・フエ)
27日 メキシコ8月貿易統計発表
29日 日中国交正常化45周年
29日 ブラジル8月全国家計サンプル調査結果発表
29日 ドイツ8月労働市場統計発表
28日 米国第2四半期GDP(確定値)発表
28-29日 G7科学相会合(トリノ)
29日 日中国交正常化45周年
29日 プロトンの打ち上げ(カザフ・バイコヌール宇宙基地)
29日 アリアン5の打ち上げ(仏領ギアナ基地)
30日 長征3B(航法測位衛星第三世代北斗2機)打ち上げ(四川省・西昌衛星発射センター)
30日 長征2D(地震電磁観測試験衛星等)打ち上げ(甘粛省・酒泉衛星発射センター)
30日 長征6(吉林一号)打ち上げ(山西省・太原衛星発射センター)
30日-10月1日 G7労働相会合(トリノ)
9月中 パキスタン中央銀行、金融政策決定会合
9月中 インド7月鉱工業生産指数発表
9月下旬 ヒジュラ暦(イスラム暦)新年
9月下旬 フランス2018年政府予算案・社会保障会計法案発表

(宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)

2017年9月19日(火) | [ ]

今週も日本では北朝鮮による6回目核実験の余波が続いたが、米国からの報道はカリブ海諸国から米国のフロリダ州を襲ったハリケーン被害の話ばかり。11日には国連安保理で新たな決議案が採決されるかもしれないというのに。やはり、世界中どこでも、国内災害ニュースが国際ニュースに優先するようだ。

現在報じられている「修正決議案」の内容は流動的。コメントするのは時期尚早だろうが、内容は見なくても見当が付く。中国が石油や石油精製品の禁輸を簡単に受け入れるとは到底思えないからだが、いずれ何らかの決議は採択される。決議が出来なければ、更に間違ったシグナルを送ることになるからだ。

今週気になった記事は北朝鮮のEMP(電磁パルス)攻撃に関するものだ。EMP兵器とは、核爆弾を上空で爆発させ、発生した電磁波で地表近くの電子機器などを大量の電流で破壊する能力を持つ兵器のことだ。北朝鮮が9月3日にEMP攻撃の可能な核弾頭を開発したと発表したため、ちょっとした騒ぎとなった。

確かに、日本での対策はまだ緒に就いたばかりだそうだが、理論的には昔から知られていた。何故今頃大騒ぎするのか、ちょっと不思議なくらいだ。欧米では北朝鮮によるEMP攻撃に懐疑的な声も少なくない。確かに実際に使われれば大混乱となる可能性は否定しないが、北朝鮮は本当に使うだろうか。

日本を例に考えよう。仮に日本上空でEMP攻撃を行えば、電力供給や交通網に大混乱が生じるだろう。だが、肝心の在日米軍にはある程度の防御手段があるはずだ。されば、こうしたマドロッコシイ攻撃より、直接米軍基地を核ミサイルで攻撃した方が手っ取り早い。技術的可能性と使用の蓋然性は違うのだ。

EMP攻撃に限らず、日本のメディアは北朝鮮の一挙手一投足に一喜一憂し過ぎるのではないか。このような未確認情報の垂れ流しや反復報道は、有事における日本社会、日本国民の対応能力を著しく低下させかねない。これでは北朝鮮側の思う壺ではないのか。徒に危機を煽る報道には十分注意が必要だ。

〇欧州・ロシア
欧州各国がようやく本格始動する。11日にはノルウェーの議会選挙、12日にはイタリア議会が選挙法改正案の原案を決定する。同日、フランスでは労組連合が政府の労働改革に反対しストライキを実施する。労働者にとってパラダイスは社会主義の中国ではなく、フランスであろう。

〇東アジア・大洋州 
上述の通り、11日にも北朝鮮に対する追加制裁決議が採択される可能性がある。もう一つの問題は北朝鮮の反応だ。これについても、ICBMの発射から新たな核実験の実施の可能性まで、あらゆる可能性が報じられているが、これも一喜一憂ではないのか。北朝鮮の核となるとマスコミは思考が一時停止する。

〇南北アメリカ
今週米国では、新たな巨大なハリケーン関連の報道で明け暮れた。今回はテキサス州ではなく、フロリダ州だったが、最も興味深かったのは米国の地方政府が数日前から「強制避難命令」を出していたことだ。これが出ると市民は避難する義務があり、逆に、当局は避難しなかった住民に対し責任を負わない。
命令発令後、市内に留まる住民がいれば、当局側は「彼らは自己責任であり、政府は救出しない」と明言していた。しかし、こんなことを日本の地方自治体関係者が言ったら大騒ぎになるだろう。良くも悪くも米国は徹底している。自己責任で行動する自由と救出される権利は共存し得ないのだ。

〇中東・アフリカ 
10日から20日まで、米軍とエジプト軍が共同軍事演習を実施する。エジプトといえば、最近米国が対エジプト軍事援助の減額や一部延期で大騒ぎになった国だ。あれだけ騒いでも、両国間の軍レベルの協力は意外にしっかりしているらしい。少しだけだが、ほっとした気分になる。

〇インド亜大陸
12日から安倍首相がインドを訪問する。また、12日にから始まる恒例の国連総会では日米印三国外相会談も検討されているという。当然議題の一つは北朝鮮問題となるらしい。今週はこのくらいにしておこう。

6-11日 フランシスローマ法王がコロンビアを訪問
6-14日 対日理解促進交流プログラム・中国高校生訪日団第1陣訪日
8-13日 河野外務大臣がカタール、ヨルダン、クウェート、サウジ及びエジプトを訪問
10-19日 対日理解促進交流プログラム・21世紀ユース日本通信使日本の大学生が訪韓
11日 「一帯一路」サミット(香港)
11日 ノルウェー議会選挙
11日 メキシコ7月鉱工業生産指数発表
11-16日 拉致議連・拉致被害者家族会などが訪米
11日か12日 ロシア第2四半期経済活動別GDP発表
11-14日 欧州議会本会議(ストラスブール)
11-14日 食品見本市「Fine Food Australia」(シドニー)
11-15日 APEC中小企業担当相会合(SMEMM)、関連シンポジウム(ベトナム・ホーチミン)
11-15日 国際原子力機関(IAEA)理事会(ウィーン)
11-22日 国連貿易開発会議(UNCTAD)第64回貿易開発理事会(TDB)(ジュネーブ)
11-29日 第36回国連人権理事会(ジュネーブ)
12日 マレーシア・ラザク首相が訪米
12日 ブルガリア・ラデフ大統領が国連総会に参加(ニューヨーク)
12日 ブラジル7月月間小売り調査発表
12日 フランクフルト国際自動車ショー開幕(一般公開は14-24日)
12日 米・アップルがイベント開催(午前10時、カリフォルニア州)
12日 日本政府と米・インディアナ州間の経済及び貿易関係に関する協力覚書に署名(東京)
12日 プロトン(通信衛星Amazonas5)打ち上げ(バイコヌール宇宙基地)
12-15日 国連児童基金(UNICEF)執行理事会 second regular session(ニューヨーク)
12-18日 山口公明党代表がマトビエンコ・ロシア上院議長と会談のために訪ロ(モスクワ)
12日-12月中 第72回国連総会(ニューヨーク)
13日 外務省と環境省及び国連広報センターが「気候変動シンポジウム」を開催(千代田放送会館)
13日 ソユーズFG(国際宇宙ステーション長期滞在ミッション用)打ち上げ(バイコヌール宇宙基地)
13-14日 第121回国際農業開発基金(IFAD)執行理事会(ローマ)
13-15日 第10回電子機器製造用SMT、テスト技術、機器、サポート産業展示会「NEPCON Vietnam 2017」(ハノイ)
13-16日 第11回国際石油・ガス産業展2017(ジャカルタ)
13-16日 第18回国際鉱業展2017(ジャカルタ)
13-16日 第17回国際プラスチック・ゴム産業展「VietnamPlas 2017」(ホーチミン)
13-17日 国際オリンピック委員会総会(リマ)
14日 米国8月消費者物価指数(CPI)発表
14日 中国8月固定資産投資、社会消費品小売総額発表
14日 EU司法・内務相理事会(ブリュッセル)
14-15日 シリア和平協議(アスタナ)
14-20日 ロシア軍がベラルーシで大規模演習
15日 ユーロ圏財務相会合(ユーログループ)(タリン)
15日 米国8月小売売上高統計発表
15日 ロシア中央銀行理事会
15日 長征11号打ち上げ(甘粛省・酒泉衛星発射センター)
17日 マカオ立法会選挙


【来週の予定】
18日 ユーロスタットが8月CPI発表
18-22日 第35回ASEANエネルギー相会合(マニラ)
18-22日 第61回国際原子力機関(IAEA)総会(ウィーン)
19日 EU一般問題理事会(ブリュッセル)
19日 4-6月期の米経常収支(商務省)
19-20日 米国連邦公開市場委員会(FOMC)
19-25日 第72回国連総会一般討論演説(ニューヨーク)
20日か21日 ロシア1-7月貿易統計発表
21日 メキシコ7月小売・卸売販売指数発表
21-22日 APEC第11回防災担当高官会合(SDMOF11)(ベトナム・ビン)
22日 アルバ大統領選挙
23日 シンガポール大統領選挙
23日 ニュージーランド総選挙
24日 ドイツ連邦議会(下院)選挙
24日 フランス上院選挙
24日 スイスで年金制度改革を問う国民投票
24-27日 英国労働党大会(ブライトン)

(宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)

2017年9月14日(木) | [ ]

9月3日昼過ぎ、北朝鮮が第6回目の核実験を「強行」した。広島出張中だったこともあり、これまで以上に強い怒りを覚えた。しかし、核実験の実施自体は驚くに当たらない。先代の金正日時代は2006、09、13、16年とほぼ三年おきの実施だったが、正恩時代では既に三回目。明らかに計画は加速されている。

正恩は一体何を焦っているのだろう。経済制裁が効いてDPRK(朝鮮民主主義人民共和国)の将来を悲観視するからこそ核開発を急ぐのか。それとも、核弾頭付きICBMの完成が間近となったので、加速させているだけなのか。筆者は正恩の空威張りに、徐々に追い詰められた独裁者の悲壮感の裏返しを見る。

これまで各当事者は合理的な判断を繰り返してきた。北朝鮮は核兵器保有国という「力の立場」からの米国との和平を望み、中国は緩衝国家DPRKを見捨てられず、韓国は半島が焦土となる戦争に踏み切れず、同じく軍事行動に踏み切れない米国は中国に対する経済制裁を通じて北朝鮮に圧力を掛けている。

筆者はこうした状況を「合成の誤謬」と呼ぶ。米国は今後も対話より圧力を重視していくだろう。トランプを囲む将軍たちは暴走などしない。軍人は戦争に最も慎重だからだ。最大の懸念は北朝鮮、というより正恩自身の「誤算」による朝鮮戦争の再勃発だろう。カギとなるのは北朝鮮軍の士気である。

誤解を恐れずに言おう。このまま北朝鮮包囲網が狭まり、原油供給まで制裁の対象となれば、状況は1940年代のABCD包囲網に似てくる。その時、北朝鮮軍は「国体護持」のため「最後まで戦う」のか、それとも、2003年のイラク軍のように、独裁者のために死ぬくらいなら、脱走と敵前逃亡を繰り返すのか。

後者であれば、米国による先制攻撃は成功し、戦意を失った北朝鮮軍は米軍の敵ではないだろう。だが、もし前者であれば、第二次朝鮮戦争は再び凄惨な戦場となる。北朝鮮の誤算は米国の「レッドライン」の読み違いで起きるが、米側に誤算が生ずるとすれば、それは北朝鮮軍の士気の読み違いかもしれない。

〇欧州・ロシア
6-8日にロシアとドイツを結ぶ天然ガスパイプラインNord Stream2計画について欧州委員会にロシアとの交渉権限を付与するか否かにつきEU外相会議が開かれる。7日には金融政策を議論するため欧州中銀の政策理事会がフランクフルトで開かれる。漸く欧州が仕事を再開したということか。

〇東アジア・大洋州 
6-7日にウラジオストクで東方経済フォーラムが開かれ、日露、露韓首脳会談が開かれる。日露については何度も会っているが、韓国新大統領が参加する露韓首脳会議は初めてだろう。4日には福建省アモイでBRICS首脳会議が開かれたが、さしたる成果はなかったようだ。一時は脚光を浴びたBRICSは今や黄昏なのか。

〇南北アメリカ
米国はテキサス州を襲ったハリケーンの話ばかり。降水量はテキサス州の一部で1250ミリを超えたという。このハリケーンは上陸後失速し湾岸寄りの地域にとどまったため、海面から湿気を吸い上げ内陸に雨を降らせる時間が長かったらしい。但し、地球温暖化の結果だと断言するのは時期尚早のようだ。

〇中東・アフリカ 
4日にイスラム教の「犠牲祭(Eidul-Adha)」が終わる。7日にはクウェート首長が訪米し米大統領と会談する。欧州は仕事を再開したが、中東の方はまだなのか、今週はあまり大きな動きがないようだ。

〇インド亜大陸
インド首相はBRICS首脳会議出席後、7日までミャンマーを訪問する。今週はこのくらいにしておこう。

8月29日-9月7日 対日理解促進交流プログラム・日韓学術文化青少年交流事業訪韓団
1-5日 北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉第2回会合(メキシコ市)
1-8日 佐藤外務副大臣がレバノン、バーレーン、アラブ首長国連邦及びオマーンを訪問
3-5日 第9回BRICS首脳会議(中国・アモイ)
4日 レーバーデー(労働者の日)でニューヨーク市場休場
4-7日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
4-9日 国連世界観光機関(UNWTO)第22回総会(四川省・成都)
4-10日 第49回ASEAN経済相会議(マニラ)
5日 国連世界観光機関(UNWTO)第106回執行理事会(四川省・成都)
5日 ブラジル7月鉱工業生産指数発表
5-6日 ブラジル中央銀行、金融政策委員会(Copom)
5日か6日 ロシア8月CPI発表
5-7日 高村総理特使がイランを訪問
5-7日 第27回経済フォーラム(ポーランド・クリニツァ・ズドルイ)
5-7日 インド・モディ首相がミヤンマーを訪問
5-11日 UNDP, UNFPA, UNOPS 執行理事会second regular session(ニューヨーク)
5-12月19日 国連行財政問題諮問委員会 fall session(ニューヨーク)
6日 ブラジル8月拡大消費者物価指数(IPA)発表
6日 米国7月貿易統計発表
6日 南アジア地域協力連合(SAARC)投資フォーラム2017(コロンボ)
6日 アリアン5(インテルサット37eとBSAT 4a)打ち上げ(仏領ギアナ基地)
6日 長征2D(ベネズエラの地球観測衛生VRSS-2)打ち上げ(甘粛省・酒泉衛生発射センター)
6-7日 東方経済フォーラム(ロシア・ウラジオストク)
6-7日 安倍首相が東方経済フォーラムに出席
6-7日 韓国・文大統領がロシア訪問及び露韓首脳会談
6-9日 豪州主催「拡散に対する安全保障構想」海上阻止訓練へ参加
6-11日 フランシスローマ法王がコロンビアを訪問
6-14日 対日理解促進交流プログラム・中国高校生訪日団第1陣訪日
7日 日露首脳会談(ウラジオストク)
7日 欧州中央銀行(ECB)定例理事会
7日 メキシコ8月CPI発表
7日 EU統計局(ユーロスタット)が第2四半期実質GDP成長率発表
7日 ハイレベルフォーラム「平和の文化」総会(ニューヨーク)
7-8日 フランス・マクロン大統領がギリシャを訪問
7-9日 SAARC貿易フェア2017(コロンボ)
7-9日 第13回国際トラベルエキスポホーチミン「ITE HCMC 2017」(ホーチミン)
8日 中国8月貿易統計発表
8日 日中国交正常化45周年記念式典(北京)
9日 中国8月CPI発表
9日 第74回ベネチア国際映画際授賞式
9日 北朝鮮建国記念日
9日 国連世界観光機関(UNWTO)第107回執行理事会(四川省・成都)
9日 プロトン(通信衛星Amazonas 5)打ち上げ(バイコヌール基地)
9-10日 第9回ジャカルタ日本祭2017


【来週の予定】
11日 「一帯一路」サミット(香港)
11日 メキシコ7月鉱工業生産指数発表
11日 ノルウェー議会選挙
11日か12日 ロシア第2四半期経済活動別GDP発表
11-14日 食品見本市「Fine Food Australia」(シドニー)
11-15日 APEC中小企業担当相会合(SMEMM)、関連シンポジウム(ベトナム・ホーチミン)
11-15日 国際原子力機関(IAEA)理事会(ウィーン)
11-29日 第36回国連人権理事会(ジュネーブ)
12日 マレーシア・ラザク首相が訪米
12日 ブルガリア・ラデフ大統領が訪米
12日 ブラジル7月月間小売り調査発表
12-15日 国連児童基金(UNICEF)執行理事会 second regular session(ニューヨーク)
12日-12月中 第72回国連総会(ニューヨーク)
13日 外務省と環境省及び国連広報センターが「気候変動シンポジウム」を開催(千代田放送会館)
13-14日 第121回国際農業開発基金(IFAD)執行理事会(ローマ)
13-15日 第10回電子機器製造用SMT、テスト技術、機器、サポート産業展示会「NEPCON Vietnam 2017」(ハノイ)
13-16日 第11回国際石油・ガス産業展2017(ジャカルタ)
13-16日 第18回国際鉱業展2017(ジャカルタ)
13-16日 第17回国際プラスチック・ゴム産業展「VietnamPlas 2017」(ホーチミン)
13-17日 国際オリンピック委員会総会(リマ)
14日 米国8月消費者物価指数(CPI)発表
14日 中国8月固定資産投資、社会消費品小売総額発表
14日 EU司法・内務相理事会(ブリュッセル)
15日 ユーログループ(タリン)
15日 米国8月小売売上高統計発表
15日 ロシア中央銀行理事会
17日 マカオ立法会選挙

(宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)

2017年9月 5日(火) | [ ]

9月1日にイスラム教の「犠牲祭(Eidul-Adha)」が始まる。イブラヒーム(アブラハム)が息子イスマイール(イシュマエル)を神への犠牲として捧げたことを記念する祝日だ。ヒジュラ暦12月10日から4日間続くが、同日はメッカ巡礼の最終日に当たる。多くのイスラム教徒は動物を生贄として捧げるという。

直前の8月27日、イラク軍は北西部タルアファルを「イスラム国」(IS)から奪還したと発表した。モスルを解放したのは7月だから、約一カ月でモスルからシリア国境へ抜ける中継地タルアファルまで来たことになる。米軍の支援を受けているとはいえ、イラク軍も漸く「軍隊らしく」なってきたということか。

外電によれば、掃討作戦開始時にタルアファル市街地にはIS戦闘員が最大2千人いたそうだが、彼らは疲弊していたようで、強い抵抗はなかったという。しかし、これでISが壊滅するとは到底思えない。残党はシリアに流れISの本体に合流するだろうから、シリアではまだ当分戦闘が続くだろう。

ISも重要だが、先週筆者が最も興味を持ったニュースは、8月22日、トランプ政権が人権侵害や北朝鮮との不適切な関係を理由に対エジプト援助の減額と一部延期を決定したのに対し、エジプト外務省がこれに強く反発したという記事だった。トランプ外交のお粗末さは別に今始まったことではないのだが・・・。

〇欧州・ロシア
欧州の長い夏休暇が終わり、今週からヨーロッパ人は仕事に復帰するようだ。28日には英国のEU離脱交渉が再開され、ロシア大統領がハンガリーを訪問、29日にはフィンランド大統領が訪米し、31日にはマクロン仏大統領がオランダ首相と会談する。
一方、27日の世論調査によると、マクロン大統領の仕事ぶりに不満を持つ有権者は7月の43%から57%に上昇、肯定的な評価も14%ポイント下がって40%となり、同大統領への支持が急速に下がっている。大統領は労働市場改革で議会と、予算削減では軍幹部とそれぞれ対立が深まっており、逆風が吹いたようだ。

〇東アジア・大洋州 
28日、韓国の国家情報院は、北朝鮮の豊渓里(プンゲリ)にある核実験場の坑道で「核実験の準備が完了した」と国会に報告したという。北朝鮮は昨年も建国記念日の9月9日に5回目の核実験を実施。韓国当局は、今年も強行するのではと警戒しているそうだ。毎度のことながら、誠にご苦労様である。
それにしても、短距離ミサイル発射は金正恩政権のジレンマの表れか、米国への過度の刺激を回避したのか、それとも「先軍節」に合わせた国威発揚なのか。米国を必要以上に刺激することは避けたいとの思いと、「先軍節」で何もしない訳にはいかないという国内事情があるのか、などと毎回毎回一喜一憂するのは如何なものか。北朝鮮ウォッチャーとは本当に大変なお仕事だと思う。

〇南北アメリカ
米南部テキサス州を襲った巨大ハリケーン「ハービー」は27日、熱帯低気圧となっていたが、テキサス州を中心に大洪水が発生し、米国第4の都市ヒューストン周辺で被害が拡大しているそうだ。この話を聞いて、12年前にニューオーリンズを襲ったハリケーン「カトリーナ」を思い出した。
当時は危機管理の失敗が政治問題化し、結局FEMA(連邦危機管理庁)の長官が更迭されたが、今回はどうか。トランプ政権の混乱ぶりが余りに酷いので、このくらいでは政治問題化しないということか。それとも、トランプ政権は意外に危機管理が上手なのか。筆者には良く分からない。

〇中東・アフリカ 
冒頭の対エジプト援助の続きだが、今回米国が供与中止・留保を決めた対エジプト援助の総額は約3億ドル。対外軍事融資は本年度分のうち6.6千万ドルを中止、昨年度分約2億ドルを留保。経済援助では昨年度分のうち3千万ドルを中止した。しかも、大統領の娘婿クシュナー顧問率いる米代表団のエジプト訪問直前に情報がリークされたのだから最悪のタイミングだ。
これに対し、エジプト政府は「長年の戦略的関係を正しく理解していないことを示す決定だ」と懸念を表明した。当然だろう。普通なら、米政府は国務省、国防省等あらゆるチャンネルを通じエジプト側に事前通報している筈だが、勿論トランプ政権にそんな芸当はできない。これではエジプトの面子丸潰れだ。

〇インド亜大陸
9月3日にスリランカが三週間にわたり軍事演習を実施する。興味深いことに、インドと中国がオブザーバーを派遣するのだそうだ。今週はこのくらいにしておこう。

18-30日 APEC第3回高級実務者会合(ベトナム・ホーチミン)
19-30日 第29回夏季ユニバーシアード競技大会(台北)
21-31日 国連包括的核実験禁止機関 準備委員会作業部会B及び非公式・専門家会議第49回会期(ウィーン)
27-29日 モラレス・グアテマラ外務大臣が訪日
28日 メキシコ7月貿易統計発表
28-29日 日伯経済合同委員会(ブラジル・クリチバ)
28-31日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
28日-9月1日 中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)北小委(韓国・釜山)
28日-9月3日 柔道・世界選手権(ブダペスト)
28日-9月8日 北方四島から医師の受け入れ
29日 外務省等がセミナー「自由貿易の意義とEPAの役割〜中小企業の海外販路開拓と地域振興のために〜」を開催(新潟市)
29-30日 APEC第3回高級実務者会合(SOM3)(ベトナム・ホーチミン)
29-30日 国連ウィメン執行委員会(ニューヨーク)
30日 米国第2四半期GDP(改定値)発表
30-31日 中根外務副大臣がアジア・中南米協力フォーラム(FEALAC)第8回外相会合に出席(韓国・釜山)
30日-9月1日 英・メイ首相が訪日
31日 インド第1四半期GDP発表
31日 ブラジル7月全国家計サンプル調査発表
31日 ユーロスタットが7月失業率発表
31日 7月の米個人所得・支出発表(商務省)
31日 PSLV-XL(インド航法測位衛星IRNSS-1H)打ち上げ(サティシュ・ダワン宇宙センター)
31日 ダイアナ英元妃死去から20年
31日 「中央アジア+日本」対話・第10回東京対話の開催
31-9月5日 サイン・マロ・パナマ副大統領兼外務大臣が訪日
9月1日 EU、掃除機に関する新たなエコデザイン要件とエネルギーラベル指令の適用開始
1日 米国8月雇用統計発表
1日 ブラジル第2四半期GDP発表
1日 アリアン5(インテルサット37eとBSAT 4a)の打ち上げ(仏領ギアナ基地)
2日 ウズベキスタン・カリモフ大統領死去から1年


<9月4-10日>
4日 レーバーデー(労働者の日)でニューヨーク市場休場
4-6日 国連世界観光機関(UNWTO)第22回総会(四川省・成都)
4-7日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
5日 ブラジル7月鉱工業生産指数発表
5日 国連世界観光機関(UNWTO)第106回執行理事会(四川省・成都)
5-6日 ブラジル中央銀行、金融政策委員会(Copom)
5日か6日 ロシア8月CPI発表
5-7日 第27回経済フォーラム(ポーランド・クリニツァ・ズドルイ)
5-11日 UNDP, UNFPA, UNOPS 執行理事会second regular session(ニューヨーク)
5-19日 国連行財政問題諮問委員会 fall session(ニューヨーク)
6-7日 東方経済フォーラム(ウラジオストク)
6日 ブラジル8月IPCA発表
6日 米国7月貿易統計発表
6-11日 フランシス法王がコロンビアを訪問
7日 ユーロスタットが第2四半期実質GDP成長率発表
7日 欧州中央銀行(ECB)定例理事会
8日 中国8月貿易統計発表
9日 中国8月CPI発表
9日 第74回ベネチア国際映画際授賞式
9日 国連世界観光機関(UNWTO)第107回執行理事会(四川省・成都)

(宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)

2017年8月29日(火) | [ ]

8月18日、遂にスティーブ・バノン首席戦略官が公式にホワイトハウスを去った。バノン氏は既に事実上辞職していたが、12日のバージニア州シャーロッツビルでの白人至上主義団体と反対派の衝突のため発表が遅れたという。これは日本にとって、世界にとって朗報なのか。筆者の見立てはこうだ。

まずは日本のメディアの論調だが、率直に言ってちょっと的が外れている。大見出しは「陰の大統領、バノン氏孤立の末」「トランプ氏最側近更迭」「外交安保娘婿らと衝突、政権にリスク」「トランプ主義支柱退場」等だったが、筆者はバノン氏だけに焦点を当てた分析では不十分だと考える。

そもそも、バノン氏は7日に既に職務を離れている。されば12日にトランプ氏が、「各方面の憎悪、偏見、暴力」を非難しつつ、白人至上主義の秘密結社クー・クラックス・クラン(KKK)やネオナチを名指しで批判しなかったことにバノン氏が関与したとは思えない。問題の本質はもっと別のところにあるはずだ。

勿論、バノン氏が極端な民族主義者であり、既得権層や中国のような外国を敵視する極右系の人物であることは事実だ。だが、彼は「陰の大統領」ではなかったし、最近急に「孤立」するようになった訳でもない。彼は昔から自らのイデオロギーに忠実な思想家・革命家であったし、これからもそうだろう。

問題はバノン氏ではない。ケリー首席補佐官や、娘婿クシュナー氏、コーン経済安全保障補佐官でもない。真の、かつ最大の問題はトランプ氏自身なのである。ケリー補佐官にバノン更迭を認めたのはトランプ氏だろうが、この事実こそトランプ氏がトランプ政権を自ら統制できていない証拠である。

〇欧州・ロシア
欧州大陸は今週も開店休業だが、21日にフランス政府関係者は労働組合と労働市場改革について協議を行う。なぜ、夏のバカンスの真っ最中なのか。本気で議論する気があるのかは疑問だが・・・。23-25日には仏大統領がオーストリア、ブルガリア、ルーマニアを歴訪する。少なくとも仏大統領は働いている。

〇東アジア・大洋州 
21日から米韓合同演習が始まるが、今回は規模をやや縮小したものの、基本的には机上演習だ。北朝鮮が大騒ぎするぐらいでビビってはいけない。北朝鮮は米韓演習のタイミングでミサイルを撃つのではない。1994年以来、核兵器搭載ICBMを完成させるための既存の計画に従い粛々と実験をしているだけだ。
誤解を恐れずに言えば、今回打つか、打たないかは大きな問題ではない。問題は日本列島越えのICBMを、グアムではなく、太平洋の真ん中に打ち込み、大気圏再突入の本格的実験に成功するか否かである。更に言えば、ミサイル防衛と同様、北のミサイルも本当に1万キロ飛ぶかどうかは二次的問題だ。
まずは、それらの能力を持つと相手に対し示すこと、そして、その相手国をして、そのような能力を敵が持っていると確信させることが大事だ。これこそが抑止力の本質である。勿論、本当に当たるかどうか、届くかどうかは重要だが、抑止論という観点からはそれは別の問題なのである。

〇南北アメリカ
ついでに言うと、バノン氏の誤算は少なくとも三つある。第一は、思想的に波長の合うトランプ氏がバノン氏ほどイデオロギー的ではなかったこと、第二に、バノン氏の独善的全能感により他の人間が馬鹿に見えて仕方がなかったこと、第三に娘夫婦がトランプ氏よりも遥かに賢く、現実主義者だったことだ。
いずれにせよ、バノン氏の更迭はトランプ政権の「終わり」の始まりとなるだろう。但し、「終わり」の「終わり」が何時になるかはまだ分からない。バノン氏は今後もトランプ氏を非難しつつ、支援し続ける。この二人は切っても切れない関係だ。次にホワイトハウスを去るのはケリー首席補佐官かもしれない。

〇中東・アフリカ 
この暑い中を米国の中東和平チームがイスラエルとパレスチナを訪問する。ヘッドが誰かは知らないが、本来ならトランプ氏の娘婿となってもおかしくないのだが。恐らく、彼はそれどころではないだろう。同チームはその後、サウジ、UAE、ヨルダン、カタルを訪問する予定だそうだ。

〇インド亜大陸
15日のインド独立記念日に際し、中国人民解放軍部隊がインド軍部隊と衝突し、投石騒ぎになったと報じられた。手を出したのは中国側だというが、それにしても懲りない連中だと思う。今週はこのくらいにしておこう。

18-30日 APEC第3回高級実務者会合(ベトナム・ホーチミン)
19-30日 第29回夏季ユニバーシアード競技大会(台北)
20-23日 ウズベキスタン・カミーロフ外相がインドを訪問
21日 色丹島、国後島及び択捉島から患者の受け入れ
21日 OPEC・非OPEC主要産油国が合同専門委員会会合
21日 米韓合同軍事演習「乙支(ウルチ)フリダームガーディアン」開始
21日 約1世紀ぶりの全米横断皆既日食
21-24日 自動車部品関連展示会「アフトメカニカ」(モスクワ) 
21-25日 中根外務副大臣がカザフスタン、タイ及びフィリピンを訪問
21-31日 国連包括的核実験禁止機関 準備委員会作業部会B及び非公式・専門家会議第49回会期(ウィーン)
22日 メキシコ第2四半期GDP発表
23日 メキシコ6月小売・卸売販売指数発表
23日 ロシア第1四半期対内外直接投資統計発表
23日 全国高校野球選手権大会決勝(甲子園球場)
23日 アンゴラ大統領選挙・国民議会選挙
23日か24日 ロシア上半期貿易統計、7月雇用統計発表
23-26日 自動車部品関連展示会「インテルアフト」(モスクワ)
23-27日 ネパール・デウバ首相がインドを訪問
24-25日 フランス・マクロン大統領がルーマニア及びブルガリアを訪問
24-25日 第19回日中韓3カ国環境大臣会合(TEMM19)開催(韓国・水原)
24-25日 第6回アフリカ開発会議(TICAD VI)閣僚級フォローアップ会合(モザンビーク・マプト)
25日 メキシコ7月雇用統計発表
25日 タイ・インラック前首相に対する最高裁判決
25日 ファルコン9(地球観測衛星Formosat5およびSherpa小型衛星搭載機構)打ち上げ(ヴァンデンバーグ空軍基地)
26-27日 ベネズエラで全国規模の軍事演習
27日 茨城県知事選挙

【来週の予定】
28日 PSLV-XL(インド航法測位衛星IRNSS-1H)打ち上げ(サティシュ・ダワン宇宙センター)
28日 メキシコ7月貿易統計発表
28-29日 日伯経済合同委員会(ブラジル・クリチバ)
28-31日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
28日-9月1日 中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)北小委(韓国・釜山)
29-30日 APEC第3回高級実務者会合(SOM3)(ベトナム・ホーチミン)
29-30日 国連ウィメン執行委員会(ニューヨーク)
30日 米国第2四半期GDP(改定値)発表
30日-9月1日 英・メイ首相が訪日
31日 インド第1四半期GDP発表
31日 ブラジル7月全国家計サンプル調査発表
31日 ユーロスタットが7月失業率発表
31日 7月の米個人所得・支出発表(商務省)
31日 長征3B(航法測位衛星第三世代北斗2機)打ち上げ(四川省・西昌衛星発射センター)
8月中 インド6月鉱工業生産指数発表
8月中 南スーダン・サルヴァ・キール大統領がスーダンを訪問
8月中旬 スーダン・アル・バシール大統領がロシアを訪問
9月1日 EU、掃除機に関する新たなエコデザイン要件とエネルギーラベル指令の適用開始
1日 米国8月雇用統計発表
1日 ブラジル第2四半期GDP発表
1日 アリアン5(インテルサット37eとBSAT 4a)(仏領ギアナ基地)

(宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)

2017年8月22日(火) | [ ]