先週、例のトランプ政権の暴露本を漸く手に入れた。ワシントンに出張した知人が帰国直前空港の売店で最後のコピーをお土産に買って来てくれたのだ。310頁の大部を先ほど読み終えたが、政権の内情は予想以上に酷いようだ。バノン氏は「後悔している」と述べたそうだが、「後悔先に立たず」とはこのことだ。

日本で同書は「トランプ氏の大統領としての資質を疑問視する」内容と報じられたが、筆者が最も興味深く読んだのはトランプ政権内の力関係を描いた部分だ。これまで断片的に報じられてはいたが、こうして纏まった形で読んでみると、改めてトランプ政権が如何に「機能していないか」が実に良く判る。

要するに同政権は、S・バノン首席戦略官率いる「極右ナショナリスト」集団、大統領の娘婿夫婦が代表するニューヨーク富豪・民主党系「穏健派」集団とR・プリーバス首席補佐官が代表する「議会共和党主流派」集団という3つのグループが「空洞」である大統領を取り囲んでいたということだ。

同書によればバノンは「影の大統領」では決してなかったようだし、意外にも米内政については素人同然だった部分がある。他方、プリーバスも真の首席補佐官ではなかった。何のことはない、バノンがジャヴァンカ(ジャレッド+イヴァンカ)と呼んだ大統領娘婿夫妻が最も首席補佐官らしい仕事をしたのだ。

先週も書いた通り、同書の著者M・ウォルフ氏は毀誉褒貶相半ばするジャーナリストで、書かれた内容のどれが真実かは不明な点も少なくない。この暴露本については今週の産経新聞のコラムで詳しく取り上げたので、時間があればご一読願いたい。

もう一つの注目点は朝鮮半島の南北対話の進展だ。筆者は南北閣僚級会談の実現を驚かないが、成果については懐疑的である。北朝鮮のこの種の微笑作戦はこれが初めてではない。成功することを祈っているが、決して長続きしないだろう。理由は北朝鮮の真の意図が核問題の解決ではないからだ。

五輪と核開発は次元の異なる問題、核開発が戦略問題であるのに対し、五輪はあくまで戦術問題である。経済制裁が効き始めている現在北朝鮮は、是が非でも五輪を開催したい韓国の足許を見ている。核開発を断念することなく、米韓関係に楔を打ち込みつつ、政治的、経済的に利益を最大化したいのだ。

そうであれば、オリンピック、パラリンピックの終了後、全て元へ戻る可能性が高い。北は取れるものを取ったら、核兵器開発の完成に向け必要な実験を再開するだろうし、米国は対話が動かなくなった段階で種々の軍事演習を再開するからだ。仮に南北首脳会談を開いても、成果は戦術的なものとなろう。

〇欧州・ロシア
今週の欧州は外交のオンパレードだ。17日に安倍首相が東欧歴訪を終えて帰国する。同日、オーストリア首相がドイツを訪問しメルケル首相と首脳会談を行い、スペインのカタルーニャ州では新州議会が第一回会合を開く。17-18日にはクロアチア大統領がボスニアを訪問、18日には英仏首脳会談が開かれる・・・といった具合だ。
どれもルティーンの会合だが、新味があるとすれば20日にローザンヌで国際オリンピック委員会が南北朝鮮の代表と会合し、平昌への北朝鮮参加について話し合うことぐらいだろう。それにしても最近の韓国の前のめりは如何なものか?どうせ五輪が終わったら全てが元へ戻るだろうに・・・。

〇東アジア・大洋州
今回の北の目的は、①核兵器開発の継続、②当座の経済的利益の獲得、③米韓、日米韓の連携に楔を打ち込むことで、④戦略的生き残りの道を探ることだ。これに対し、韓国は外交安全保障政策よりも、国内政治上の利益を最大化しようとしているように思える。
具体的には、五輪大会の成功裏の開催、(中止に追い込まれれば、現政権への信頼は低下)、北との対話の再開だろう。対話を始めることで、核問題の解決に繋げたいのだろうが、北朝鮮は恐らくそう考えていない。されば、この対話が核問題の解決に繋がるとは到底思えない。

〇中東・アフリカ
14日からイラク議会が予算と選挙に関する審議を開始する。19日から米副大統領がエジプト、ヨルダン、イスラエルを訪問するが、トランプ政権のエルサレム首都認定で和平プロセスどころではないだろう。ペンス副大統領もご苦労様としか言いようがない。

〇南北アメリカ
15日に米加が共催で北朝鮮問題に関する国際会議を開くが、本当に大丈夫なのだろうか。韓国が前のめりで、北朝鮮がイニシャティブを採っている段階で、こんな国際会議を開いても、国際社会の不協和音が顕在化する恐れはないのか。米国がトランプ政権内の意見の相違を表面化させなければ良いのだが・・・。

〇インド亜大陸
15日にロシアのステルス型フリゲート艦4隻の対インド売却に関する交渉がインドで開かれる。17日にはインドの沿岸警備隊が日本の海上保安庁とインド洋で捜索救難訓練を実施する。今週はこのくらいにしておこう。

9-15日 対日理解促進交流プログラム・米国の若手研究者らを招へい(東京・熊本)
9-16日 対日理解促進交流プログラム・米国及びカナダ大学生などを招へい
9-18日 対日理解促進交流プログラム・韓国水原市大学生らが訪問(静岡県)
10-18日 対日理解促進交流プログラム・ソロモン、パプアニューギニア、フィジーの大学生らが訪日
10-18日 第2回ビエンチャンモーターショー(ミャンマー)
11-18日 河野外務大臣がミャンマー、アラブ首長国連邦及びカナダを訪問
12-17日 安倍首相がバルト3国と東欧(ブルガリア、セルビア、ルーマニア)歴訪
13-28日 北米国際オートショー(デトロイト)
14-15日 国際農業開発基金(IFAD)総務会第41回会合(ローマ)
14-16日 イスラエル・ネタニヤフ首相がインドを訪問
15日 安倍首相がセルビアを訪問、ブチッチ大統領と首脳会談(ベオグラード)
15日 北朝鮮の平昌冬季五輪参加に関連した南北実務会談(板門店)
15日 キング牧師生誕記念日で米市場休場
15-16日 アジア金融フォーラム(香港)
15-16日 日・エチオピア投資協定交渉第1回会合(エチオピア・アディスアベバ)
15-18日 フランシスコ法王がチリを訪問
15-18日 欧州議会本会議(ストラスブルグ)
15-18日 香港ファッション・ウィーク(秋/冬)(香港)
15-20日 中根外務副大臣がスペイン、イタリア及びアイルランドを訪問
15-2月2日 子どもの権利委員会 第77回会合(ジュネーブ)
16日 北朝鮮核問題に関する外相級会合(カナダ・バンクーバー)
16日 米・トランプ大統領とカザフスタン・ナザルバエフ大統領が首脳会談(ワシントン)
16日 芥川・直木賞発表
16-23日 対日理解促進交流・日本文化交流及び若手産業関係者交流をテーマにカンボジアとベトナムの大学生及び社会人が訪日
16-23日 対日理解促進交流プログラム・空手を学ぶ米国人大学生らが訪日
17日 阪神大震災から23年
17日 スペイン・カタルーニャ自治州新議会招集
17日 EU統計局が12月消費者物価指数(CPI)発表
17日 米地区連銀景況報告(ベージュブック)(FRB)
17日 イプシロンロケット3号機(高性能小型レーダ衛星)打ち上げ(内之浦宇宙空間観測所)
17-18日 中央アジア・コーカサス地域公館エネルギー・鉱物資源担当官会議を開催(イスタンブール)
17-18日 外務省と自治体共催・駐日各国外交団の富山県富山市及び石川県金沢市視察ツアー実施
17-18日 第531回EU経済社会評議会(EESC)本会議(ブリュッセル)
17-18日 クロアチア・グラバル=キタロビッチ大統領がボスニア・ヘルツェゴビナを訪問
18日 豪・ターンブル首相が来日、安倍首相と首脳会談(東京)
18-21日 フランシスコ法王がペルーを訪問
18-21日 二階自民党幹事長が特使としてインドネシアを訪問(ジャカルタ)
19日 長征11(吉林一号2機など)打ち上げ(甘粛省・酒泉衛星発射センター)
19-23日 米・ペンス副大統領がエジプト、ヨルダン、イスラエルを歴訪
20日 米・トランプ政権発足から1年
20日 エジプト・シシ大統領と米・ペンス副大統領が会談(カイロ)
20日 日・インドネシア国交樹立60周年式典、二階自民党幹事長らが出席(ジャカルタ)

【来週の予定】
22日 ユーロ圏財務相会合(ユーログループ)(ブリュッセル)
22日 欧州外相理事会(ブリュッセル)
22日か23日 ロシア・17年鉱工業生産指数発表
22-23日 米・ペンス副大統領がイスラエルを訪問
22-25日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
22-26日 UNDP /UNFPA /UNOPS執行理事会 第一定例会合(ニューヨーク)
22-27日 世界保健機関(WHO)執行理事会 第142回会合(ジュネーブ)
22-3月30日 ジュネーブ軍縮会議(CD) 第1会期(ジュネーブ)
23日 欧州経済・財務相(ECOFIN)理事会(ブリュッセル)
23日 第90回米アカデミー賞ノミネート作品発表
23-26日 第48回世界経済フォーラム年次総会(スイス・ダボス)
23-28日 北米自由貿易協定(NAFTA)第6回再交渉会合(カナダ・モントリオール)
24-26日 軍縮問題諮問委員会 第69回会合(ジュネーブ)
25日 外務省が「平成29年度地方連携フォーラム」を開催(三田共用会議所)
25日 欧州中央銀行(ECB)定例理事会(フランクフルト)
26日 インド共和国記念日
26日 米・17年第4四半期および年間GDP(速報値)発表
26日 アリアン5ECA(通信衛星SESなど)打ち上げ(仏領ギアナ基地)
26-27日 チェコ大統領選挙(決選投票)
27日 ホンジュラス大統領就任式(テグシガルパ)
28日 フィンランド大統領選挙
28-2月3日 グスタフソン国連食糧農業機関(FAO)事務局次長が訪日

(宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)

2018年1月16日(火) | [ ]

今週のワシントンはトランプ政権の内情暴露本の話で持ち切りだ。詳しくは関連報道を読んで頂くとして(筆者も未だ全文を読んだ訳ではない)、今週は同書をめぐる米国政界の動きについて触れたい。尤も、渦中の人であるSバノン氏は今や、同書への対応をめぐり「後悔している」と表明したそうだ。意外に骨のない男なんだな、と思う。

それはともかく、事の起こりは1月3日の英紙Guardianの記事だった。毀誉褒貶相半ばする米国人ジャーナリスト・マイケル・ウルフ(Michael Wolff)の著書『Fire and Fury: Inside the Trump White House』の概要が報じられたのだ。ウルフは同書でトランプ氏の大統領としての資質につき実に辛辣に描いている。

中でも強烈だったのが元最側近のスティーブ・バノン氏のコメントだ。バノン氏は引用される形で、「(トランプ氏の娘婿であるクシュナー氏と息子であるドナルドJRを含む)トランプ陣営幹部3人が昨年6月、トランプタワーの25階で、弁護士の同席もなく、外国政府関係者と会ったことは反逆的か非愛国的な行為だ」とまで言い放った。

これでワシントンは大騒ぎ、同書は即日売り切れの大ベストセラー。リベラル系メディアは鬼の首でも取ったようにトランプ政権批判を垂れ流した。そのバノン氏が7日、一転してトランプ一族との関係修復に動いたようだが、内容的には事実上の降伏に近い。やはり2018年には何が起きてもおかしくない、と見るべきなのだろう。

〇欧州・ロシア
7日から12日までドイツのCDUとSPDの連立協議が再開される。「まだやっているのか」というのが率直な印象だ。今年前半のEU議長国はブルガリアとなるが、その就任式典が11日からソフィアで開かれる。12-13日にはチェコ大統領選挙の第一回投票が行われるが、同国では先月、少数与党政権が発足したばかり。どうなるのか。
安倍首相は12日から17日まで東欧6カ国を歴訪する。具体的にはエストニア、ラトビア、リトアニアのバルト3国とEU議長国のブルガリアにセルビア、ルーマニアだ。ようやく日本の首相がこの地域を訪問する。これも長期政権でなければあり得ない現象である。最近この地域では中国の影響力が拡大しており、必要不可欠の訪問だろう。

〇東アジア・大洋州
9日に朝鮮半島で南北対話が予定されている。内容的には五輪参加選手団の話が中心で、和平に繋がるとは思えない。韓国は何が何でも平昌五輪を成功させたいという思いなのだろう。仮にすべてが上手くいっても、オリンピックが終われば北朝鮮は実験を再開する。核問題進展には寄与しないだろうが、ないよりはマシということだ。
8日から11日まで仏大統領が訪中する。同じく8日からインドの対外担当相がタイ、インドネシア、シンガポールを訪問するのも興味深い。一方、ロシアの極東艦隊が8日、ウラジオストクに帰還した。今回の航行先はブルネイ、カンボジア、ミャンマー、インドネシア、タイと中国だ。久し振りで散歩に出た犬と電柱の関係なのだろうか。

〇中東・アフリカ
8日にエジプトで大統領選挙等の日程につき発表がある。結局は現職大統領の再選なのだろうが、これでは1980年代以降のエジプトに逆戻りだ。さすがはエジプト、悠久の国ではある。12日は米国が対イラン制裁の適用除外を更新する期限だ。米対イラン政策に変更があるのか、イラン国内の反政府活動もあり、注目される。

〇南北アメリカ
冒頭ご紹介したバノン氏の「後悔・謝罪」発言の詳細を以下にご紹介する。内容的には実にお粗末なのだが、長いので全部は翻訳せず、概要のみ和訳してある。ご了承願いたい。
https://www.axios.com/scoop-bannon-sends-regret-to-trump-1515329924-dbfe9439-59e0-4773-8d3d-079e5ee2b493.html

(トランプJRは愛国者で良い人物である)
Donald Trump, Jr. is both a patriot and a good man. He has been relentless in his advocacy for his father and the agenda that has helped turn our country around."
(トランプ氏とその考え方に対する自分の支持は変わらない)
"My support is also unwavering for the president and his agenda -- as I have shown daily in my national radio broadcasts, on the pages of Breitbart News and in speeches and appearances from Tokyo and Hong Kong to Arizona and Alabama."
(自分はトランプ主義を世界に広めようとしている唯一の人間だ)
"President Trump was the only candidate that could have taken on and defeated the Clinton apparatus. I am the only person to date to conduct a global effort to preach the message of Trump and Trumpism; and remain ready to stand in the breech for this president's efforts to make America great again."
(ロシアゲートに関する自分のコメントは海軍時代の経験に基づくものだ)
"My comments about the meeting with Russian nationals came from my life experiences as a Naval officer stationed aboard a destroyer whose main mission was to hunt Soviet submarines to my time at the Pentagon during the Reagan years when our focus was the defeat of 'the evil empire' and to making films about Reagan's war against the Soviets and Hillary Clinton's involvement in selling uranium to them."
(自分の批判の対象はドナルドJRではなく、Pマナフォートに対するものだった)
"My comments were aimed at Paul Manafort, a seasoned campaign professional with experience and knowledge of how the Russians operate. He should have known they are duplicitous, cunning and not our friends. To reiterate, those comments were not aimed at Don Jr."
(トランプ政権にロシアとの「共謀」問題は存在しない)
"Everything I have to say about the ridiculous nature of the Russian 'collusion' investigation I said on my 60 Minutes interview. There was no collusion and the investigation is a witch hunt."
(ドナルドJRに対する不正確な報道への対応が遅れたことなどは遺憾に思う)
"I regret that my delay in responding to the inaccurate reporting regarding Don Jr has diverted attention from the president's historical accomplishments in the first year of his presidency."

敢えて長々と原文を引用したのは、他でもない。今もワシントンの住人がこの程度の低レベルコメントの応酬に一喜一憂していることを、読者の皆さんに知ってもらいたいからだ。バノンは本での発言自体を否定していない。トランプ陣営も和解の可能性については沈黙している。これで米国政治がまともに機能するはずはない。

〇インド亜大陸
特記事項なし。今週はこのくらいにしておこう。

1-31日 ダッカ国際見本市2018
7-14日 対日理解促進交流プログラム・ユダヤ系米国人一行が訪日(東京・京都)
8日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
8日 金杉アジア大洋州局長がソウルで韓国外交部東北アジア局長らなどと意見交換
8日 UNDP/UNFPA/UNOPS執行理事会Election of bureau(1meeting)(ニューヨーク)
8日 北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長誕生日
8-10日 仏・マクロン大統領が訪中
8-14日 佐藤外務副大臣がエクアドル及びメキシコを訪問
9日 南北高官級会談(板門店)
9日 EU統計局が11月失業率発表
9日 第1回目気候変動に関する有職者会合を開催(外務省)
9日 長征2D(高景一号03/04)打ち上げ(甘粛省・酒泉衛星発射センター)
9-12日 米家電・IT見本市「CES」開幕(ラスベガス)
9-15日 対日理解促進交流プログラム・米国の若手研究者らを招へい(東京・熊本)
9-16日 対日理解促進交流プログラム・米国及びカナダ大学生などを招へい
9-18日 対日理解促進交流プログラム・韓国水原市大学生らが訪問(静岡県)
10日 韓国大統領が年頭記者会見
10日 ノルウェー・ソールベルグ首相がトランプ大統領と会談(ホワイトハウス)
10日 中国・17年12月消費者物価指数(CPI)
10日か11日 ロシア12月消費者物価指数(CPI)発表
10-18日 対日理解促進交流プログラム・ソロモン、パプアニューギニア、フィジーの大学生らが訪日
10-18日 第2回ビエンチャンモーターショー(ミャンマー)
11日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
11日 日本政府がインド国民に対する短期滞在数次ビザの大幅緩和
12日 米国12月CPI、小売売上高統計発表
12日 インド11月鉱工業生産指数発表
12日 中国・17年通年と12月貿易統計(税関総署)
12日 UN-WOMEN執行理事会 Election of Bureau(1meeting)(ニューヨーク)
12日 UNICEF執行理事会 Election of Bureau(1meeting)(ニューヨーク)
12日 PSLV(Cartsat 2ER他)打ち上げ(サティシュ・ダワン宇宙センター)
12-13日 チェコ大統領選挙
12-17日 安倍首相が東欧6カ国歴訪に出発
13日 国連ウィメン執行理事会第1回定期会合(ニューヨーク)
13日 長征3B(航法測位衛星第三世代北斗2機)打ち上げ(四川省・西昌衛星発射センター)
13-14日 大学入試センター試験
13-28日 北米国際オートショー(デトロイト)
14日 サウジ・日本ビジネスフォーラム2018(サウジアラビア・リヤド)
14-15日 国際農業開発基金(IFAD)総務会第41回会合(ローマ)
14-16日 イスラエル・ネタニヤフ首相がインドを訪問

【来週の予定】
15日 キング牧師生誕記念日で米市場休場
15-16日 アジア金融フォーラム(香港)
15-18日 フランシスコ法王がチリを訪問
15-18日 欧州議会本会議(ストラスブルグ)
15-18日 香港ファッション・ウィーク(秋/冬)(香港)
16日 北朝鮮核問題に関する外相級会合(カナダ・バンクーバー)
16-23日 対日理解促進交流・日本文化交流及び若手産業関係者交流をテーマにカンボジア及びベトナムの大学生等が訪日
17日 ユーロスタット、12月消費者物価指数(CPI)発表
17日 米地区連銀景況報告(ベージュブック)(FRB)
17日 イプシロンロケット3号機(高性能小型レーダ衛星)打ち上げ(内之浦宇宙空間観測所)
18-21日 フランシスコ法王がペルーを訪問
19日 長征11(吉林一号2機など)打ち上げ(甘粛省・酒泉衛星発射センター)
20日 米・トランプ政権発足から1年

(宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)

2018年1月 9日(火) | [ ]

宮家邦彦の外交・安保カレンダー 2018#01(2018年1月1-7日)
謹賀新年、今年も本コラムを宜しくお願い申し上げる。今年こそは希望に満ちた2018年となれば・・と思いたいところだが、どうなることやら?昨年は年初からトルコとイラクでテロ事件が起きたが、今年は昨年末から続くイランの反政府デモが全土40以上の都市に拡大、一部が暴徒化して、既に20名以上の死者が出ているそうだ。

一方、アジアでは元旦に北朝鮮の金正恩党委員長が新年の辞を発表した。年の初めの試しとて、今回はその全文を読んでみた。日本語で9800字ほどの長い演説だが、1月2日には北朝鮮当局公式サイトに日本語版が掲載された。余程、我々に読んでほしいのだろう。 金正恩など北朝鮮の指導者が今何を考えているか知りたい向きには、ちょっと退屈だが、一読をお勧めする。

情報分析の基本は公開情報の読み込みだ。メディアは、「去年の特出した成果は国家核武力完成の歴史的大事業を成就したこと」であり、「核のボタンは机の上にある」などと米国を牽制する一方、「平昌五輪に代表団を派遣する用意もある」とも述べたなどと報じたが、演説を読めば、金正恩の関心が国民の生活水準にもあることが分かる。

昨年は予測不能と思われたことが次々と起きた。予測が外れたら、その理由を詳細に分析し、将来に備えるのがプロの最低限の責任だとも書いた。されば、今年も引き続き、筆者の課題は如何に「Unthinkable」を事前に予測できるかだろう。改めて、これから一年、お付合いをお願い申し上げる。

〇欧州・ロシア
欧州ではまだクリスマス休みの余韻なのか、EU関係の会議は始まらない。しかも、いわゆる「正教会」系のキリスト教では1月7日がクリスマスだ。ちなみに、この日程はエジプトやエチオピア等のコプト系クリスチャンも同様。欧州が本格的に動き出すのは1月中旬以降だろう。
ロシア関係では今年、「ロシアにおける日本年」及び「日本におけるロシア年」が相互に開催される。ロシアでは「政治、経済、文化など多くの分野で日本を紹介する行事が行われ、日露関係の更なる発展に寄与することが期待」されるそうだが、露大統領選挙が終わるまで大きな動きは期待できないだろう。

〇東アジア・大洋州 
3日、ワシントン発共同が、米ニュースサイトの報じた中国共産党の「極秘文書」なるものの内容を報じている。同文書は「北朝鮮の6回目の核実験直後の2017年9月」に作成され、中国共産党が「北朝鮮がさらなる核実験の中止を約束すれば中国は経済、軍事支援を拡大し金正恩政権の体制を保証する」との方針を決めたとしている。
元ネタを書いたのはBill Gertzという名物記者。彼はCIAなど諜報機関系にかなり強いが、同時に眉唾記事も多いことでも有名な保守系ジャーナリストだ。件の極秘文書のコピーも添付されているが、真偽は不明である。

〇中東・アフリカ
イランのデモは昨年12月28日に北東部マシャドで始まったらしい。事実であれば、実に興味深い。2009年の際の騒動の主体は都市のインテリ層だったが、今回は地方の庶民が動いた可能性がある。発端は生活レベル低下への不満だったらしいが、非難の矛先が1979年以来続くイスラム共和制にも向いたとすれば、新しい事態だ。
1979年の革命以来、治安当局は一貫して異論を弾圧してきたが、今回参加者は「独裁者に死を」などと気勢を上げ、最高指導者ハメネイ師を糾弾したという。同師は「敵が銃や金によってもめ事をつくり出そうとしている」と述べたが、仮に今回の騒動を鎮圧出来たとしても、対イラン経済制裁が続く限り、この種の騒動は続くだろう。

〇南北アメリカ
トランプ氏のツイートが止まらない。特に気になるのはパキスタンに対する厳しい非難だ。しかし、パキスタンがアフガニスタンで勢力を回復しつつあるターリバーンを支援しているのは公然の秘密。今更けしからんといわれても、パキスタンは勿論、米国務省の関係者も皆困るはずだ。パキスタンの面子を潰してどうするつもりだろう。
ちなみに、ターリバーンとはアラビア語のターリブ(学生、イスラム法学生・神学生)のパシュトゥー語の複数形だから、彼らはコテコテのパキスタン系である。これまでも米国はパキスタンの二枚舌を承知で付き合ってきたのに、突然経済援助を止めるなどといったら、喜ぶのは中国ぐらいだろう。やはりトランプ外交には限界がある。

〇インド亜大陸
特記事項なし。今週はこのくらいにしておこう。

1日 元日(米国祝日=NY市場は全て休場)
1日 北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長、新年の辞
1日 ユーラシア経済連合(EEU)関税基本法発効
1日 ロシアがユーラシア経済連合(EEU)議長国に
1日 タジキスタンが独立国家共同体(CIS)の議長国に
1日 「ロシアにおける日本年」及び「日本におけるロシア年」開始
1日 「日本・スペイン外交樹立関係150周年推進委員会」を設立
3日 米FOMC議事要旨(FRB)
3日 米国第115議会第2会期開会
3-7日 河野外務大臣がパキスタン、スリランカ及びモルディブを訪問
5日 米国11月貿易統計及び12月雇用統計発表

【来週の予定】
8日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
8日 UNDP/UNFPA/UNOPS執行理事会Election of bureau(1meeting)(ニューヨーク)
9日 EU統計局が11月失業率発表
9日 長征2D(高景一号03/04)打ち上げ(甘粛省・酒泉衛星発射センター)
10日 ノルウェー・ソールベルグ首相が米国・トランプ大統領と会談(ワシントン)
10日 PSLV(Cartsat 2ER他)打ち上げ(サティシュ・ダワン宇宙センター)
10-18日 第2回ビエンチャンモーターショー
11日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
11日 日本政府がインド国民に対する短期滞在数次ビザの大幅緩和
12日 米国12月CPI、小売売上高統計発表
12日 インド11月鉱工業生産指数発表
12日 UN-WOMEN執行理事会 Election of Bureau(1meeting)(ニューヨーク)
12日 UNICEF執行理事会 Election of Bureau(1meeting)(ニューヨーク)
12日 長征3B(航法測位衛星第三世代北斗2機)打ち上げ(四川省・西昌衛星発射センター)
12-13日 チェコ大統領選挙
13-28日 北米国際オートショー(デトロイト)
14-16日 イスラエル・ネタニヤフ首相がインドを訪問

(宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)

2018年1月 4日(木) | [ ]

宮家邦彦の外交・安保カレンダー 2017#52(2017年12月25-31日)
遂に2017年も最後の週となった。一年間ご愛読頂き、心から感謝申し上げる。編集部からは、今回は「国際情勢の今後を考える指針」を示す「2018年を占う」特集にせよと厳命されている。だが、そもそもこの時期、各メディアで「来年を占う」企画が掲載されるが、予測が当たった試しはない。

でも、ここで何か書かないと今年は終わらない。仕方がないので、今回は的中率が高かったと昨年一部で注目されたBusiness InsiderのMilitary & Defense Teamが行う予測をご紹介しながら、適宜茶々を入れることにした。後半に彼らの本文の要約を紹介し、筆者のコメントもカッコ内に記してある。

さて、その前に、まずは2017年全体を回顧しよう。今年一年間、筆者がスターウォーズ映画の題名を捩りつつ繰り返し述べてきたのは、次の3点だ。①今世界で覚醒しているのは正義の「フォース」ではなく、醜く不健全で破壊願望を伴う民族主義や大衆迎合主義が合体した「ダークサイド」である。

②逆襲しているのは単一の「帝国」ではなく、現状を不正義と考え、その変更を場合によっては、力を使ってでも実現しようとするロシア、中国、イランなどの「諸帝国」である。最近では、こうした動きにトルコという旧帝国も加わろうとしている兆候がある。

③今最大の脅威(メナス)は「ファントム・メナス」ではなく、北朝鮮などの「ヌークリア・メナス(核の脅威)」である。こうした傾向は2018年に深刻化することはあっても、改善することはないだろう。2016年のイギリスEU離脱、2017年のトランプ氏大統領就任などは、これを象徴する事件であった。

2018年の日本の課題は、こうした「ダークサイド」が日本でも拡大しないよう上手にコントロールしていくことだ。幸い、日本の大衆迎合主義には欧米のような差別的民族主義的イデオロギー的要素が少ない。このような健全な社会を如何に維持していくかを日本人は真剣に考える必要があるだろう。

それではBusiness InsiderのMilitary & Defense Teamの予測をご紹介する。原文はこちらで読める。
http://www.businessinsider.com/predictions-for-what-will-happen-in-the-world-in-2018-2017-12/#trump-will-remain-president-of-the-united-states-1

〇欧州・ロシア
プーチン大統領は再選挙に楽勝、ジョージアとベラルーシに向かう
ウクライナ東部での戦争は続く。ジョージアの南オセチアとアブハジアの共和国も引き続き守るだろう。 ロシア軍とベラルーシの軍を一体化するだろう。
【宮家コメント、以下同じ。こうした常識的な予測をされると、実に反論しにくい。プーチンは、母なるロシアが失った数十年(革命時代+ポスト冷戦時代)を取り戻すためなら何でもすると思う。】

〇東アジア・大洋州 
米国と北朝鮮は大規模戦争に突入しない
米国と北朝鮮は両者とも戦争になれば失うものが大きすぎる。世界の外交官の不安は頂点にまで達するが、最終的に大規模な戦争は勃発しないだろう。
【これも、実に常識的な予測だ。小競り合いはあっても、大戦争はないのだが、それでは北朝鮮で喰っている識者たちは商売上がったりだから、2018年も●●記念日に向けてミサイル発射だ、核実験だ、などという噂が乱れ飛ぶのだろう。】

中国は日本海(?)で軍事力を誇示する
中国のレトリックがますます独裁的になり、新しい航空母艦で、中国は西太平洋での海軍の軍事力を誇示することになるだろう。
【当たって欲しくはないが、恐ろしい予測である。但し、この人たちは日本海も、東シナ海も、あまり区別ができていないようだ。いずれにせよ、北朝鮮問題で一喜一憂するくらいなら、この問題を真剣に考えた方が建設的だと思うのだが。少なくとも中国は朝鮮半島情勢の動向に関係なく、南シナ海での計画を進めるだろう。】

〇南北アメリカ
トランプは米大統領であり続ける
トランプ氏の最側近がロシアゲートに巻き込まれる可能性はあるが、トランプ氏は来年も大統領であり続けるだろう。
【先日ワシントンに行ってみて感じたのがこれだ。トランプが立派な大統領でないことぐらい、米国人は判っている。問題はやはり大統領ポストが強力であり、議会の多数の支持のない不満だけでは大統領弾劾などできないのだ。】

トランプ政権外交安保人事大刷新の可能性?
米安全保障チーム内の関係は危険な状態が続く。 国務長官、NSC担当大統領補佐官を辞めさせたい「アメリカ・ファースト」支持者たちは引き下がらない。
【この点も、最近の週刊新潮コラムに書いた通りである。】

米軍の問題は継続する
米軍、特に海軍は、予防可能な事故を起こし続ける。作戦の速度は引き続き高いにも関わらず、不安定な資金供給によって軍が影響を受け続けるからだ。
【この予測というか指摘は重要である。もし、米軍、特に海軍が国防予算削減で訓練不足になってるのだとしたら、それが日本の防衛に及ぼす悪影響は計りしれないからだ。この予測は外れてくれることを祈るしかない。】

メキシコの流血事件は継続し深刻化する
あらゆる徴候が示しているのは、物事が良くなる前にメキシコでさらに悪化するというということだ。
【中南米は専門外だが、この保守的な予測が正しい可能性は高いだろう。】

マドゥロは悪化するベネズエラを引き続き指導する
米のベネズエラに対する制裁はマドゥロの支持層を分裂させるほどではない。 現在の状況を見る限り、マドゥロはどこにも行きそうにない。
【昔はベネズエラは豊かな良い国だったのになぁ!】

〇中東・アフリカ 
中東和平プロセスは一向に進展しない
イスラエルは入植地の建設を推し進め、パレスチナ人たちは、ハマスの武装集団と共闘するか、もしくは引き続き派閥争いに明け暮れるだろう。
【中東和平プロセスは当分瀕死状態であり、この指摘は保守的、楽観的ですらある。以下全てについて同様だが、筆者の中東に関する予測は概ね悲観的である】

シリアに平和が訪れる
7年にわたるシリア内戦は政治的な解決を見る。シリアでの派閥争いは続き、アサドは権力にしがみつくが、米国はこれに介入しないだろう。
【シリアに平和が来るということは、ロシアの勝ちということ。後世の歴史家は「シリアを失ったのはオバマ大統領」と言うだろう。】

サウジアラビアはイスラエルとの結びつきを強化する
ユダヤ国家とイスラム王国の間の文化的差異は間違いなく残るが、イスラエルとサウジアラビアが接近するのはイランに対抗するためである。
【これはもう予測ではなく、現実である。】

ISISは引き続き全世界で小規模な攻撃を繰り返す
幾度にもわたる頓挫の末、ジハーディスト集団は小規模なテロ集団へと変貌を遂げた。英仏、東南アジア、リビアやエジプトにおける活動が懸念される。
【これも実に陳腐な予測で、意味ある予測にはなっていない。】

米国はアフリカでの足跡を増やす
アフリカ大陸には既に6,000名の米部隊が展開しており、現地の軍を訓練し同盟国を支援する米国の役割はリスクの高いものへ至る可能性がある。
【これが実態のようだが、日本は勿論、米国でもあまり関心は高くない。】

ムハンマド・ビン・サルマーンMbSはサウジの改革を継続、王になる可能性も
彼は、イスラム原理主義者を軽視し、経済を活性化させ、サウジ文化を変える近代化を推し進めており、これが2018年に突然止まる理由はない。
【MbSはサウジ建国以来最大の変革をもたらそうとしているが、それが成功する保証などない。筆者はより悲観的である。】

イエメンの人道危機は悪化し続ける
サウジがなんらかの形で反乱勢力を鎮圧しない限り、彼らは爆撃と国境封鎖を続け、現状の人道危機は継続されるだろう。
【イエメン問題が解決することはまずない。】

クルド人は依然として自分たちの国家を持てない
クルド独立国家は地域に大きな頭痛をもたらす。 トルコ、イラン、そしてイラク連邦政府は皆、クルド独立国家と国境を接することに猛烈に反発している。
【クルド独立国家は夢である、夢だから良いのだ、実現すれば、夥しい数の犠牲者が出るだけだ。】

〇インド亜大陸
この予測集にはインド亜大陸関係が欠落している。やはりそうか、という感じだ。今年はこのくらいにしておこう。

17-25日 佐藤外務副大臣がモロッコ、南スーダン及びアルジェリアを訪問
18-25日 対日理解促進交流「カケハシ・プロジェクト」米国の高校生らを招へい
18-26日 対日理解促進交流「カケハシ・プロジェクト」米国大学生一行が訪日
19-25日 対日理解促進交流・静岡県・忠清南道考古学関係者友好交流推進事業で韓国の大学生らが静岡県を訪問
24-29日 河野外務大臣がイスラエル、パレスチナ、ヨルダン、オマーン及びトルコを訪問
25日 クリスマス(米国休場=為替、債券、株式、商品市場)
25日 河野外務大臣がイスラエルの首相とパレスチナの自治政府議長と会談
25-26日 第7回日中与党交流協議会(中国・アモイ)
26日 リベリア大統領選決戦投票
26日 長征11(科学教育衛星 淮安号恩来星)打ち上げ(甘粛省・酒泉衛星発射センター)
27日 メキシコ11月貿易統計発表
27日 ゼニート(アンゴラの通信衛星)打ち上げ(バイコヌール宇宙基地)
28日 二階自民党幹事長と井上公明党幹事長が中国要人と会談(北京)
28日 世界最小級ロケット・SS-520 5号機(超小型衛星TRICOM-1R)打ち上げ(鹿児島・内之浦宇宙空間観測所)
29日 ブラジル11月全国家計サンプル調査発表
12月末 ソユーズ2.1b(ロシア測位衛星)の打ち上げ(バイコヌール宇宙基地)

<来年第一週の予定>
1日 ユーラシア経済連合(EEU)関税基本法発効
1日 ロシアがユーラシア経済連合(EEU)議長国に
1日 タジキスタンが独立国家共同体(CIS)の議長国に
1日 「ロシアにおける日本年」及び「日本におけるロシア年」開始
1日 「日本・スペイン外交樹立関係150周年推進委員会」を設立
3日 米国第115議会第2会期開会
5日 米国11月貿易統計及び12月雇用統計発表

(宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)

2017年12月26日(火) | [ ]

先週はワシントンに出張して来た。本年6月に続き、キヤノングローバル戦略研究所が米国シンクタンク「スティムソン・センター」と共催でシンポジウムを開催したのだ。日本側研究者が複数の米論客と議論するこのシリーズは今回が4回目だが、毎回筆者のこだわりは日米で「日米関係以外の問題」を議論すること。今回のテーマは「トランプ外交一年を振り返る」だった。

筆者は「日米関係者の、日米関係者による、日米関係者のため」の会合などにあまり関心はない。この種の会合は「日米関係で喰っている人々」にお任せすれば良いとすら思っている。日米関係は大事だが、グローバルに見れば、欧州・中東・アジアという3戦域に対する米外交の優先順位を知る方が大事だ。

シンポジウムの概要は別途書いたのでここでは省略し、今回はワシントンの一般的印象を書こう。今回は珍しく、トランプ政権の関係者にも挨拶してきた。彼らは異質の人々だから通常のルートではアポイントなど取れそうもないと諦めていたのだが、今回はひょんなことからアポが取れた。実に幸運だった。

結論から言えば、対東アジア外交に関する限り、マクマスターNSC担当補佐官以下の国家安全保障会議スタッフが、前評判通り、非常に機能する実務能力を持つチームであることを確認できたということだ。長いトンネルの中で「光が見えた」ということか、日本にとってはまことに得難い存在ではある。

もう一人、名前は言わないが、某有力紙コラムニストで25年来の友人にも会えた。国際ベストセラー作家となった彼との友情が確認できたことは有難かった。経済の分野で続くグローバリゼーションと、政治レベルでのナショナリズム・ポピュリズムが衝突する時代になったという点で意見は図らずも一致した。

果たして「歴史は終わった」のか、「文明の衝突」は起きたのか、本当に「世界はフラット」なのか等についていずれ書く必要があるという点でも一致した。なるほど、米国でも似たようなことを考えている人はいるのだ。この点については日米欧でもっと議論を深める必要があるのではなかろうか。

〇欧州・ロシア
18日にオーストリアで中道右派の国民党と極右の自由党による連立政権が発足する。首相は国民党の若い党首だが、外相、国防相、内務相の主要ポストは自由党が獲得しそうだ。この国の極右は難民受け入れに強硬に反対でロシア寄りとされるが、こうして彼らが政権入りした以上、オーストリアとEUとの関係が気になるところだ。
気になるといえば、21日にスペイン・カタルーニャ地方で行われる選挙にも関心がある。20日にはドイツのキリスト教民主同盟など連立与党と社会民主党との連立協議は再び行われる。更に、22日からは統一ロシア党が来年の大統領選挙を前に党大会を開くそうだ。プーチン大統領支持を打ち出す出来レースとなるのだろうか。

〇東アジア・大洋州 
18日から中朝国境にある「友好橋」の「修理」が終わり再開されるという。丹東にあるこの橋が「修理のため」閉鎖されるなんて、ちょっと考えられない。中国側では北朝鮮との関係凍結などが喧伝されたが、要するに今回も完全な関係凍結には至っていなかったということか。別に驚かないが・・・。
19日から韓国外相が訪日する。1970年代の学生時代に訪韓した筆者は当時、「いずれ日韓外相が英語で話し合う時代は来るだろう」と直感したが、そういう時代がようやく近づきつつある。しかし、いつも思うことだが、時代は変わったが、韓国内政が相変わらずなのは仕方のないことなのか。

〇南北アメリカ
今回ワシントンで最も驚いたのは政治家のセクハラ疑惑がワシントン以外にも更に拡大しつつあることだ。日本でも実態は同じはずだが・・・。アラバマ州上院議員特別選挙で疑惑の共和党候補が惜敗し、上院の民主・共和議席数は51対49となった。但し、これでトランプ氏が直ちに窮地に陥るとは思わない。
ワシントンのもう一つの話題は共和党の減税法案で、法人税が大幅に引き下げられるという。トランプ政権と共和党指導部はクリスマス前に同法案を成立させたいようだ。しかしこうなると、マケイン上院議員など病気療養中の議員が二人もいる共和党は大変。若い議会スタッフとも会えたが、ご苦労様ですね。

〇中東・アフリカ 
米副大統領が19日から3日間、エジプト、イスラエルを訪問する。米国がエルサレムをイスラエルの首都と認定してから初めてとなるが、何か前向きな期待を持つのは難しい。イスラエルとの協調を確認する一方、アラブ諸国との関係修復を図るというが、そんなこと出来る筈はない。辛い旅になるだろう。

〇インド亜大陸
18日にパキスタンが中国との「経済回廊」の長期計画を明らかにするという。20-21日には中印国境協議が開かれる。先週の露印外相会談に続き、23日にはロシア副首相が訪印する。来週は本年第52号、あっという間に年末となった。今週はこのくらいにしておこう。

10-18日 JENESYS2017の一環及び日中国交正常化45周年記念事業で、香港・澳門高校生が訪日
12-20日 対日理解促進交流プログラム・日本の大学生らが韓国を訪問
14-21日 対日理解促進交流プログラム「カケハシ・プロジェクト」日系米国人一行が訪日
16-20日 南ア与党アフリカ民族会議(ANC)党大会・総裁選
17-25日 佐藤外務副大臣がモロッコ、南スーダン及びアルジェリアを訪問
18日 EU統計局が11月CPI発表
18日 EU運輸・通信・エネルギー担当相理事会(ブリュッセル)
18日 山田ブラジル大使と高瀬メキシコ大使による任国治安情勢講演会の開催(東京)
18日 北方四島における共同経済活動に関する局長級作業部会の開催(モスクワ)
18-19日 フランス・ルメール経済・財務相がロシアを訪問
18-19日 日・ヨルダン投資協定交渉第2回会合の開催(東京)
18-20日 日・ナイジェリア投資協定交渉第1回会合の開催(東京)
18-22日 UNCITRAL(国連国際商取引法委員会)第52回ワーキンググループV(倒産法)(ウィーン)
19日 EU環境相理事会(ブリュッセル)
19日 米・7-9月期経常収支(商務省)
19-20日 康京和韓国外交部長官が訪日し、河野外務大臣との日韓外相会談
19-20日 日中犯罪人引渡条約締結交渉第4回会合の開催(北京)
19-22日 平成29年度中南米大使会議の開催(東京)
19-23日 米・ペンス副大統領がエジプト、イスラエル、ドイツを歴訪
20日 メキシコ10月小売・卸売販売指数発表
20日 ジャパン・ハウス ロサンゼルスの一部を先行して開館
20日 外務省が「海外への徳島県の魅力発信」をテーマに「車座ふるさとトーク」を開催(徳島県・北島町立図書館)
20日 米・ペンス副大統領がエジプト大統領と会談
21日 スペイン・カタルーニャ州議会選
21日 米国第3四半期GDP(確定値)発表
21日 米・ペンス副大統領がイスラエル首相と会談(エルサレム)
21日か22日 ロシア1-10月貿易統計発表
21-22日 シリア和平協議(カザフスタン・アスタナ)
22日 メキシコ11月雇用統計発表
22日 英・ジョンソン外相がロシア・モスクワを訪問
22日か25日 ロシア11月雇用統計発表
23日 ファルコン9(イリジウム・ネクスト10機)打ち上げ(ヴァンデンバーグ空軍基地)
23日 H-IIAロケット37号機(気候変動観測衛星「しきさい」等)打ち上げ(種子島宇宙センター)
23日 長征2D(陸地探査衛星2号)打ち上げ(甘粛省酒泉衛星発射センター)

<25日-31日>
25日 クリスマス(米国休場=為替、債券、株式、商品市場)
25日 長征2D(高景一号03/04)打ち上げ(甘粛省・酒泉衛星発射センター)
26日 ゼニート(アンゴラの通信衛星)打ち上げ(バイコヌール宇宙基地)
26日 長征11(科学教育衛星 淮安号恩来星)打ち上げ(甘粛省・酒泉衛星発射センター)
27日 メキシコ11月貿易統計発表
28日 SS-520 5号機(超小型衛星TRICOM-1R)打ち上げ(鹿児島・内之浦宇宙空間観測所)
29日 ブラジル11月全国家計サンプル調査発表
12月中 中国中央経済工作会議(北京)
12月中旬 インド10月鉱工業生産指数発表

(宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)

2017年12月19日(火) | [ ]