6月12日に行われた米朝首脳会談から一週間経った。今も各国メディアはあの異様ともいえる余韻の中で侃々諤々の議論を報じ続けている。確かに個々の短期的結果は重要だろうが、筆者はあの米朝首脳会談が持つ中長期的インパクトにより関心がある。特に注目すべきは65年前の朝鮮戦争休戦協定ではないか。

朝鮮国連軍、朝鮮人民軍、中国義勇軍の司令官が署名したこの合意は朝鮮半島分断を固定化しつつも、東アジアに一定の安定をもたらした。その安定が日本の戦後復興、韓国の漢江の奇跡、中国の改革開放を可能にした。筆者が1953年体制と呼ぶこの安定の枠組は、今日までこの地域の平和と安定を支えてきたのである。

米朝首脳会談はこの1953年体制なる安定要素に如何なる影響を及ぼすのだろうか。これについて論じたのが今週木曜日の産経新聞コラムだ。詳しくは同コラムに譲るが、トランプ氏がそのことをどこまで理解した上で交渉を行っているのか、実に疑わしい。恐らく何も考えていないのではないか。

この調子でトランプ氏が衝動的外交政策決定を繰り返せば、恐らく、①米国の国際的影響力や指導力は地に落ち、②それを見て中露が狂喜乱舞し、③北朝鮮は核兵器開発を予定通り秘密裏に進め、④中東のテロリストたちは新たな作戦の準備を開始するだろう。

その時、⑤欧州、アジア、中東の同盟国は米国なき自由陣営を如何にグローバルレベルで維持するかについて最終的に合意できず、右往左往するだろうことは目に見えている。それでも共和党が大幅に議席を失う兆候はない。トランプ氏の支持率は下がるどころか、上昇すらしているという。

2020年にトランプ氏が再選されれば、こうした現状が更に4年続くことになる。米国の統治機構は既に確実に壊れ始めているが、トランプ氏の再選で米国が統治能力と政治指導力を不可逆的に喪失する可能性が一層高まるだろう。1953年体制が変質すれば日本の安全保障政策の見直しは必至だが、そうなっては最早手遅れなのだ。

〇欧州・ロシア
18日に英国議会上院がEU離脱法案を採決する。19日には仏独首脳が会合しEU改革案を話し合う。21日にはユーロ圏諸国がギリシャ債務問題を議論する。・・・要するに欧州は変わらないということか。それとも、ワールドカップの最中でそれどころではないということか。21日に韓国大統領が訪露する。文在寅大統領は必死だ。

〇中東・アフリカ
ラマダンは明けたが、イラク内政は混乱が続いている。5月の総選挙後の連立政権発足に向けた交渉が纏まらないのだ。アバディ前首相の「勝利連合(ナスル)」は第三党に後退し、代わってシーア派の非妥協的法学者ムクタダ・サドルの政党連合が第一党に躍進したのだから仕方がない。
昔からサドルは妥協を嫌う難しい政治家だったが、彼が第一党の代表となれば、政治が混乱するのも当然だ。新政権の課題が経済改革の推進や非効率補助金の廃止、腐敗利権ネットワークの解体という点でもイラクは全く変わっていない。いつになったらイラクに安定した新政権ができるのか。このままでは未来永劫難しいだろう。

〇東アジア・大洋州
今週も朝鮮半島では南北会合が目白押しだ。18日にはスポーツ交流について、22日には赤十字関連会合が開かれる。こうした会合が続く限り戦争にはならないが、同時に核兵器の開発も中止されないだろう。本当にこんなことを繰り返して成果が出るのだろうか。今は誰もこの正論を吐く勇気を持ち合わせていないようだ。

〇南北アメリカ
米中だけでなくトランプ政権の対外貿易戦争は今後も欧州や北アメリカで続きそうだ。6月22日には自動車関税に関するパブリック・コメントが締め切られる。最悪の場合、輸入普通車・トラックに高関税が課される可能性がある。
続いて30日には米財務省が投資制限の対象となる中国企業のリストを公表する予定だ。中国人に対するビザの制限、中国企業によるテクノロジー関連投資の制限などが検討されているという。
7月に入ると1日にカナダの対米国製品報復関税が発効し、同日にはメキシコ大統領選がある。その後もEUによる報復関税が発効しそうなので要注意だ。19、20日には通商拡大法232条に基づく自動車輸入に関する公聴会が開かれる。すべては中間選挙のためということだが、本当にそれだけで良いのだろうか。

〇インド亜大陸
特記事項なし。今週はこのくらいにしておこう。

11-29日 国際民間航空機関(ICAO)Council Phase 第214回会合(モントリオール)
18日か19日 ロシア第1四半期経済活動別GDP速報値及び1-5月鉱工業生産指数発表
18日 中国端午節(中国休日)
18日 韓国と北朝鮮がスポーツ協力で会談(板門店・平和の家)
18日 NATO加盟国国会議員会議代表団訪日の歓迎レセプション(飯倉公館)
18日 ソユーズ2.1b(ロシア測位衛星Glonass 756)打ち上げ(バイコヌール宇宙基地)
18-19日 EU農水相理事会(ルクセンブルク)
18-21日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
18-21日 ベナン共和国・アベノンシ外務・協力大臣が訪日
18-22日 国連世界食糧計画(WFP)執行理事会 年次会合(ローマ)
18-7月6日 国連人権理事会 第38回会合(ジュネーブ)
19日 日・インド次官級2+2対話を開催
19-20日 ブラジル中央銀行・金融政策委員会(Copom)
19-20日 国連ウィメン執行理事会 年次会合(ニューヨーク)
19-21日 国連経済社会理事会(ECOSOC)実質会期(ニューヨーク)
19-24日 ネパール・シャルマ・オリ首相が中国を訪問
20日 G20鉄鋼の過剰設備に関するグローバルフォーラム(フランス・パリ)
20日 米国・1-3月期(第1四半期)経常収支(商務省)
20日 長征3B(航法測位衛星第三世代北斗 2機)打ち上げ(四川省・西昌衛星発射センター)
20-29日 世界気象機関(WMO)執行理事会 第70回会合(ジュネーブ)
21日 ユーロ・グループ(非公式ユーロ圏財務省会合)(ルクセンブルク)
21日 黒海経済協力機構外相会合(アルメニア・エレバン)
21日 イングランド銀行(英中銀)金融政策委員会が金融政策と議事録を発表
21日 外務省主催・平成30年度第1回地域の魅力発信セミナーを開催(東京)
21か22日 ロシア1-4月貿易統計発表
21-22日 EU雇用・社会政策・健康・消費者問題担当相理事会(ルクセンブルク)
21-23日 韓国・文大統領がロシア訪問
22日 EU経済・財務相(ECOFIN)理事会(ルクセンブルク)
22日 OPEC定例総会(オーストリア・ウィーン)
22日 南北赤十字会談(北朝鮮・金剛山)
23日 沖縄慰霊の日
24-7月4日 第42回ユネスコ・世界遺産委員会(バーレーン・マナーマ)
24日 トルコ大統領選及び総選挙
24-26日 ニュージーランド・ファインフードショー「Fine Food NZ 2018」(オークランド)

【来週の予定】
25日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
25日 EU外相理事会(ルクセンブルク)
25日 EU環境相理事会(ルクセンブルク)
25日 メキシコ4月小売・卸売販売指数発表
25日 朝鮮戦争勃発から68年
25か26日 ロシア5月雇用統計発表
25-26日 アジアインフラ投資銀行(AIIB)年次会合
25-7月13日 国連国際商取引法委員会(UNCITRAL)第51回会合(ニューヨーク)
26日 EU一般問題理事会(ルクセンブルク)
26日 EU基本条約第50条(加盟国の離脱)に関する一般問題理事会(ルクセンブルク)
26日 米国連邦議会予備選挙(コロラド、メリーランド、ニューヨーク、オクラホマ、ユタ)
26日 小笠原諸島返還50周年
26日 メキシコ5月雇用統計発表
27日 欧州中央銀行(ECB)政策理事会(非金融政策)(フランクフルト)
27日 メキシコ5月貿易統計発表
27-29日 軍縮問題諮問委員会 第70回会合(ニューヨーク)
28日 ECB一般理事会(フランクフルト)
28日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
28-29日 欧州理事会(ブリュッセル)
28日 米国第1四半期GDP(確定値)発表
28日 一帯一路サミット(香港)
28-29日 欧州理事会(ブリュッセル)
29日 米国5月個人所得・支出(商務省)
29日 ブラジル5月全国家計サンプル調査発表
29日 ファルコン9(スペースX社商用補給機ドラゴン15号機)打ち上げ(ケープカナベラル空軍基地)
7月1日 オーストリアがEU議長国に就任
1日 米国大統領貿易促進権限(TPA)法による米大統領の通商権限期限(議会が承認した場合には2021年7月1日まで延長可)
1日 メキシコ大統領選及び連邦上院下院選

(宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)

2018年6月19日(火) | [ ]

今週の焦点は何といってもシンガポールで行われる米朝首脳会談の行方だろう。これほど紆余曲折のあった首脳会談も珍しいと思うが、とにかく開催は明日に迫っている。一時はこの原稿を首脳会談終了後に書くことも考えたが、それでは本コラムの趣旨に反する。考え直して、やはり通常通り、月曜日中に書き上げることにした。

明日起きることを大胆にも予測するとは筆者も良い度胸だが・・・。仕方がない、やってみよう。結論から言えば、6月12日の米朝首脳会談は第一ラウンドで、結果は10対6で金正恩委員長の粘り勝ちとなる可能性が高い。北朝鮮の非核化については玉虫色のまま、戦争状態終結などに関する象徴的な合意だけに終わるかもしれない。

かなり保守的な見方だが、首脳会談が始まる前までに流れた情報が正しいとすれば、ある程度の予測は可能だ。今後の米朝交渉が最終的に成功するか否かは「お手並み拝見」である。衝動的に考え行動するトランプ氏だから何が起きてもおかしくないとの意見もあるが、トランプ氏はそれほど知的レベルが低いとは思わない。

彼の悪癖は知的レベルとは全く別の次元の問題である。例えば、ご本人は交渉の達人を自負しているようだが、トランプ氏は「交渉」というより「興行」、すなわち「見世物」の達人ではないのか。これまで上手く行っているように見えるのは、ビギナーズ・ラック(初心者の幸運)に過ぎないのではないか。

外交交渉の観点から見ると、トランプ氏のやり方には疑問が少なくない。例えば、トランプ氏はこんな交渉上の初歩的ミスを犯しているように見える。
①最後の切り札を最初に切る(相手が望むものを与える前に譲歩させるのが常道だ)
②直感に頼り、衝動的に決断する(普通首脳会談前には数カ月の準備期間を置く)
③交渉内容を喋り過ぎる(外交には適度の沈黙と秘密が必要だ)
④経済利益が戦略利益を代替すると考える(豊かさのための核兵器放棄はない)
⑤自分は特別な能力を持つと過信する(独り善がりは禁物だ)
⑥最初から通訳が同席するだけの一対一会談を行う(誰が記録を取るのか)

このようなスタイルで交渉する外国政府の高官がこれまで全くいなかったとは言わない。また、筆者が関与した交渉が全て成功した訳でもないので、断定的なことは言いたくない。しかし、筆者の経験から言えることは、少なくとも外交交渉の世界で、この種の交渉スタイルによって成功した交渉者は殆どいないということだ。

更に、トランプ政権の外交安保チームは本当に機能しているのだろうか。ポンペイオ国務長官、ボルトン国家安全保障担当補佐官、マティス国防長官の間には温度差があると報じられるが、果たして本当にそうか。首脳会談に最も前向きだったのは、実はトランプ氏自身ではないのか。筆者の分析が間違っていることを祈るばかりだ。

〇中東・アフリカ
14日前後にラマダン月が終わる。これから中東はお祭りである。実質的な動きはないだろう。トルコの総選挙は24日だが、既に在外トルコ人有権者の投票は始まっているようだ。

〇欧州・ロシア
12-13日に英国議会下院がEU離脱法案を審議・採決する。14日にはサッカーのワールドカップ・ロシア大会が始まる。そこでロシア大統領とサウジ皇太子の会談が行われるらしい。サッカーの政治利用とは思わないが、プーチンもなかなかやるわい。

〇東アジア・大洋州
米朝首脳会談以外の目ぼしい動きとしては、恒例の日米印三カ国海軍による合同演習が今週開催される。11日には中国人理科系留学生に対するヴィザ(STEM、科学・技術・エンジニアリング・数学)の要件が変更される。韓国では米朝首脳会談の翌日13日に絶妙のタイミングで地方選挙がある。

〇南北アメリカ
12日には米連邦議会議員選挙の予備選挙がメーン、ネバダ、ノースダコタ、サウスカロライナ、バージニア各州で行われる。

〇インド亜大陸
特記事項なし。今週はこのくらいにしておこう。

4-12日 国連貿易開発会議(UNCTAD)貿易開発理事会 第65回会合(ジュネーブ)
4-8月24日 「国連アフリカ施設部隊早期展開プロジェクト」第5回訓練開始(ナイロビ)
5-14日 対日理解促進交流プログラム・日韓学術文化交流事業訪日団として韓国の小中高の若手教員らが来日
11日 EU運輸・通信・エネルギー担当相理事会(ルクセンブルク)
11日 メキシコ4月鉱工業生産指数発表
11日 ノルマンディ4カ国(ドイツ・フランス・ウクライナ・ロシア)外相協議(ベルリン)
11日 H-IIAロケット39号機(情報収集衛星レーダ6号機)打ち上げ(種子島宇宙センター)
11-13日 包括的核実験禁止条約機関準備委員会(CTBTO)作業部会A及び非公式・専門家委員会 第53回会合(ウィーン)
11-14日 欧州議会本会議(ストラスブール)
11-14日 UNICEF執行理事会 年次会合(ニューヨーク)
11-29日 国際民間航空機関(ICAO)Council Phase 第214回会合(モントリオール)
12日 米朝首脳会談(シンガポール)
12日 米国5月消費者物価指数(CPI)発表
12日 米国連邦議会予備選挙(メーン、ネバダ、ノースダコタ、サウスカロライナ、バージニア)
11-12日 マハティール・マレーシア首相が来日(12日に国会で講演)
12-13日 米国連邦公開市場委員会(FOMC)
12-14日 国連経済社会理事会(ECOSOC)実質会期(ニューヨーク)
12-14日 米ゲーム見本市「E3」開幕(ロサンゼルス)
13日 韓国第7回全国同時地方選挙
13日 ブラジル4月月間小売り調査発表
13-16日 ニュージーランド酪農業祭「Fieldays」
14日 南北将官級軍事当局者会談(板門店)
14日 中国5月固定資産投資、社会消費品小売総額発表
14日 米国5月小売売上高統計発表
14日 欧州中央銀行(ECB)政策理事会(金融政策)(ラトビア・リガ)
14日 ペガサスXL(ICON)打ち上げ(マーシャル諸島クェゼリン)
14日 クック諸島議会選挙
15日 G20エネルギー移行担当相会合(アルゼンチン・バリローチェ)
15日 EU5月CPI発表
15日 ロシア中央銀行理事会
17日 コロンビア大統領選(決選投票)
17日 ソユーズ2.1b(ロシア測位衛星Glonass 756)打ち上げ(バイコヌール宇宙基地)

【来週の予定】
18日か19日 ロシア第1四半期経済活動別GDP速報値発表、ロシア1~5月鉱工業生産指数発表
18日 中国端午節
18-19日 EU農水相理事会(ルクセンブルク)
18-21日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
18-22日 国連世界食糧計画(WFP)執行理事会 年次会合(ローマ)
18-7月6日 国連人権理事会 第38回会合(ジュネーブ)
19-20日 ブラジル中央銀行、Copom
19-20日 UNウィメン執行理事会 年次会合(ニューヨーク)
19-21日 国連経済社会理事会(ECOSOC)実質会期(ニューヨーク)
20日 G20鉄鋼の過剰設備に関するグローバルフォーラム(フランス・パリ)
20日 長征3B(航法測位衛星第三世代北斗 2機)打ち上げ(四川省・西昌衛星発射センター)
21日 ユーロ・グループ(非公式ユーロ圏財務省会合)(ルクセンブルク)
21日 黒海経済協力機構外相会合(アルメニア・エレバン)
21か22日 ロシア1-4月貿易統計発表
21-22日 EU雇用・社会政策・健康・消費者問題担当相理事会(ルクセンブルク)
22日 EU経済・財務省(ECOFIN)理事会(ルクセンブルク)
22日 OPEC定例総会(オーストリア・ウィーン)
24日 トルコ大統領及び議会選挙
24-26日 ニュージーランド・ファインフードショー「Fine Food NZ 2018」(オークランド)

(宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)

2018年6月12日(火) | [ ]

6月4・5日東京で開かれた国際会議で話す機会があった。詳細は今週の産経新聞コラムをお読み頂きたいが、主催は米シンクタンクCSISの太平洋フォーラム、多摩大学のルール形成戦略センターと在京米国大使館。参加した理由は同ファーラムとセンターの関係者が友人であり、テーマが「インド太平洋」であったことだ。

各国からアジアの専門家が数十人集まったが、日本人よりも米豪NZやASEAN諸国など外国人参加者の方が多く、モデレーターも米国人だったから、まるでハワイかサンフランシスコで会議しているような雰囲気だった。日本で開かれるこの種のシンポジウムとしては、実に多様性に富んでおり結構楽しめた。

「インド太平洋」なる概念は2017年11月、初のアジア歴訪中にトランプ氏が再三言及し、翌月には米国の国家安全保障戦略にも記載されるなど、同概念は今や米国の公式政策にもなっている。だが、その意味は、目的は、実現可能性は、などと皆で議論していくうちに、これらが意外に詰まっていないことが明らかになった。

誰が言い出したにせよ、近年アジア太平洋なる概念が浮上した意味は、現状で米国が単独で、もしくは既存の同盟システムのみで、地球規模で拡大する中国の自己主張を抑止できなくなりつつあるということだ。だが、こうしたインド太平洋なる概念は日本の安全保障にとって必ずしも十分なものではない。

日本の生存は東京からインド洋だけでなく、湾岸地域までのシーレーンの維持に大きく依存している。ところが、アジア専門家の多くは中東に関心がなく、中東専門家はアジアに関する知識が乏しい。アジア専門家だけでインド太平洋地域などという地域際的問題を戦略的に考えることには限界があることを今回も痛感した次第だ。

一方、北朝鮮問題は最近ようやく方向性が見えてきた。要するにトランプ氏も正恩氏も、理由は完全に異なるが、シンガポールで首脳会談をやりたくて仕方がないのだ。そうであれば会談の結果も自ずから見えてくる。要するに、中途半端な会談継続に合意するのだろう。その意味で米朝に関する限りサプライズは減ったといえるだろう。

その意味で今週最も驚いたのはシリア大統領北朝鮮訪問に関する北朝鮮国営メディア報道だ。バッシャール・アサド大統領が北朝鮮を訪問し金正恩党委員長と会談する意向を明らかにしたそうだ。実現すれば、金委員長が自国内で初めて開催する首脳会談になるというが、金正恩は何らかの高揚感に酔っているのではないか。

それにしても不思議だ。シリア大統領といえば米国が打倒を宣言した新「悪の枢軸」の頭目であり、自国民に対して化学兵器を使用した悪漢(昔は必ずしもそうではなかったのだが)でもある。北朝鮮とシリアは長年の友好国で、最近軍事協力関係を強化しているとはいえ、米朝首脳会談の前にこれを発表するとは良い度胸だ。

こうした金正恩の高揚感が吉と出るか、凶と出るかはわからない。事実は小説より奇なりという格言を地で行くような最近の国際情勢の新展開は実に興味深い。今こそ己の歴史の大局観を試す絶好の機会である。今週はこのくらいにしておこう。

3-5日 EU農水相理事会 非公式会合(ソフィア)
3-5日 フィリピン・ドゥテルテ大統領が韓国を訪問
3-8日 ウガンダ・クテサ外務大臣が来日
4日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
4日 BRICS外相会議およびIBSA外相会議(南アフリカ)
4日 ファルコン9(通信衛星SES12)打ち上げ(ケープカナベラル空軍基地)
4-5日 EU司法・内務相理事会(ルクセンブルク)
4-8日 UNDP/UNFPA/UNOPS 執行理事会 年次会合(ニューヨーク)
4-8日 国連食糧農業機関(FAO)理事会 第159回会合(ローマ)
4-8日 国際原子力機関(IAEA)理事会(ウィーン)
4-8日 台湾軍、民間人・企業初参加の実弾訓練
4-9日 秋篠宮ご夫婦が米・ハワイを訪問
4-12日 国連貿易開発会議(UNCTAD)貿易開発理事会 第65回会合 (ジュネーブ)
4-8月24日 「国連アフリカ施設部隊早期展開プロジェクト」第5回訓練開始(ナイロビ)
5日 米国連邦議会予備選挙(アラバマ、カリフォルニア、アイオワ、ミシシッピ、モンタナ、ニュージャージー、ニューメキシコ、サウスダコタ)
5日 ブラジル4月鉱工業生産指数発表
5日 露・プーチン大統領がオーストリア訪問
5日 日米文化教育交流会議第28回日米合同会議の開催(ワシントンD.C.)
5日 長征3A(気象衛星 風雲二号)打ち上げ(四川省西昌衛星発射センター)
5日か6日 ロシア5月CPI発表
5-6日 WTO知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS)理事会(スイス・ジュネーブ)
5-6日 イノベーションビジネス商談会「Innovfest unbound 2018」(シンガポール)
5-7日 佐藤外務副大臣が米国・ハワイを訪問
6日 米国4月貿易統計(2017年の年間補正も)発表
6日 ソユーズFG(国際宇宙ステーション第56次および第57次長期滞在ミッション用ソユーズ)打ち上げ(バイコヌール宇宙基地)
6-7日 「第59回海外日系人大会」及び「ハワイ移住元年者150周年記念式典」(ハワイ)
6-9日 フランス・マクロン大統領がカナダを訪問
7日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
7日 安倍首相が米・ワシントンを訪問し、日米首脳会談
7日 プーチン大統領による「ダイレクト・ライン」(国民との直接対話)実施
7日 EU第1四半期実質GDP成長率発表
7日 メキシコ5月CPI発表
7-8日 EU運輸・通信・エネルギー担当相理事会(ルクセンブルク)
7-9日 ベトナム国際フィルム・テレビテクノロジー展「Telefilm-Vietnam International Exhibition」(ホーチミン)
8日 ブラジル5月拡大消費者物価指数(IPCA)発表
8日 中国5月貿易統計発表
8日 日中の海空連絡メカニズムの運用開始
8-9日 G7首脳会議(カナダ・シャルルボワ)
9日 中国5月CPI発表
9-10日 上海協力機構首脳会議(中国・青島)
10日 スイス、金融システム改革案などをめぐって国民投票

【来週の予定】
11日 EU運輸・通信・エネルギー担当相理事会(ルクセンブルク)
11日 メキシコ4月鉱工業生産指数発表
11日 H-IIAロケット39号機(情報収集衛星レーダ6号機)打ち上げ(種子島宇宙センター)
11-14日 欧州議会本会議(ストラスブール)
12日 米朝首脳会談(シンガポール)
12日 米国5月消費者物価指数(CPI)発表
12日 米国連邦議会予備選挙(メーン、ネバダ、ノースダコタ、サウスカロライナ、バージニア)
12-13日 米国連邦公開市場委員会(FOMC)
13日 韓国第7回全国同時地方選挙
13日 ブラジル4月月間小売り調査発表
13-16日 ニュージーランド酪農業祭「Fieldays」
14日 中国5月固定資産投資、社会消費品小売総額発表
14日 米国5月小売売上高統計発表
14日 欧州中央銀行(ECB)政策理事会(金融政策)(ラトビア・リガ)
14日 ベガサスXL(ICON)打ち上げ(マーシャル諸島クェゼリン)
15日 G20エネルギー移行担当相会合(アルゼンチン・バリローチェ)
15日 EU5月CPI発表
15日 ロシア中央銀行理事会
17日 コロンビア大統領選(決選投票)
17日 ソユーズ2.1b(ロシア測位衛星Glonass 756)打ち上げ(バイコヌール宇宙基地)

(宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)

2018年6月12日(火) | [ ]

たった一週間でこれほど首脳会談の日程が二転三転した例は記憶にない。北朝鮮が「首脳会談を受け入れるべきか再考せざるを得なくなる」と述べたのは5月16日。22日には米韓首脳会談冒頭取材でトランプ氏が「米朝首脳会談が実現しなくても構わない」とまで文大統領の目前で言い切った。これで文氏の面子は丸潰れだろう。

二日後の24日、トランプ氏は首脳会談中止を通告しつつも会談開催の可能性も排除しないという実に奇妙な書簡に署名した。金正恩氏は26日に南北首脳会談開催を求め、南北首脳が再び板門店で会談した。トランプ氏の発言も再び前向きとなり、現時点では6月12日に米朝首脳会談が開かれる可能性が再び浮上している。

それにしても、トランプ政権の意思決定過程は一体どうなっているのだろう。同政権の外交安保チームは本当に機能しているのだろうか。ポンペイオ国務長官、ボルトン安保担当補佐官、マティス国防長官の間で温度差があり、現時点ではホワイトハウスにいるボルトンが主導権を握っていると報じられるが、果たして本当にそうなのか。

朝鮮半島の専門家は内心当惑していることだろう。一体何が起きているかについては、トランプ政権の高官ですら100%フォローできていないのだから。それでも、限られた情報の中でコメントしなければならない。こういう時は、誰が読み誤った、いや誰が反撃したなどという奇を衒ったトンデモ分析が乱れ飛ぶことも少なくない。

まずはトランプ外交の評価から。24日の会談中止を伝えるトランプ書簡の英語は「小学生レベル」だと筆者の帰国中の娘婿が嘆いていた。同感だが、文書にするだけまだ良い。内容は現在のトランプ政権外交安保チームの最大公約数なのか。首脳会談に最も前向きなのは、実はトランプ氏自身であることも忘れてはならない。

金正恩は外交上手という分析があるが、果たしてそうか?朝鮮半島の外交は伝統的に「全方位外交」という名の「冊封・朝貢外交」だった期間が長い。考えてみれば、現在の北朝鮮外交も様々な勢力の間で巧みにバランスを取っている。外交巧者というよりは、外交的失敗を犯さないよう必死に立ち回っているように見えるのだが。

続いて中国だが、22日の米韓首脳会談冒頭でトランプ氏は「(5月8日の)第二回中朝首脳会談の後、金正恩の態度は微妙に変わった」「中国については気に入らない」などと述べている。これってまさか諜報機関からのブリーフィング内容ではないだろうな。それを喋るとすれば、とんでもない大統領だ。そうでないことを祈るしかない。

そもそもメディア上の通説は、北朝鮮が「中国の後ろ盾を得てより大胆」になったことで米朝首脳会談開催が危うくなったというものだが、これも本当にそうなのか。金正恩の基本的政策は当初柔軟だったが、中国と話しただけで「態度が変わった」とでも言うのか。根拠は何だろう。金正恩とその知恵袋を過小評価するのは危険だ。

過去数週間の間に、米朝首脳会談を題材とした政策シミュレーションを何度か実施してきたが、そこから推測できることは、米朝間の妥協や相互理解の可能性など決して容易でないということ。ボクシングに例えれば、今は第三ラウンドだが、このところ試合の展開が極めて速く、ラウンドの長さも増々短くなっている印象がある。

しかも、独裁的な指導者が事実上の担当官となって外交を動かしている点では米朝とも似たり寄ったり。どうやらこの試合、最終の十ラウンドまでドタバタが続くのではなかろうか。そうした懸念は日本だけでなく、韓国や中国も同様に感じているはずだ。恐ろしい程の予測不能性の中で行われる多国間外交は実に久し振りではないか。

〇中東・アフリカ
イランはEUに対し、いわゆるイラン核合意(JCPOA)の将来に関する新たな計画を5月末までに提示するよう求めているそうだ。しかし、コンセンサスがないと動けないEUがそんなに早く結論を出せるとは到底思えない。やはり、JCPOAは風前の灯なのだろうか。

〇欧州・ロシア
ようやくイタリアで新政府が決まったかと思ったら、やれ空中分解だ、年内に新たな選挙実施だなどと言っている。ローマは相変わらずだ。フランスでは鉄道改革問題でまた抗議運動が燃え盛っている。5月30日、ギリシャでは相変わらず緊縮財政問題でストライキがある。米国の鉄鋼アルミ関税のEUに対する免除は6月1日に失効する。

〇東アジア・大洋州
5月31日にロシア外相が訪朝するという。ついにロシアも動き始めたか。29日からインド首相がインドネシアとシンガポールを、ベトナム国家主席が訪日を、それぞれ予定している。6月1日から恒例のシャングリラ国際安保会議がシンガポールで開かれ、2日からは米商務長官が訪中する。

〇南北アメリカ
今週一週間はブラジルでトラック運転手がストライキを予定している。6月1日には米国が正式に鉄鋼アルミに対する追加関税を発動する。更に、トランプ政権は自動車に対しても安全保障上の理由で新たな関税を考えているらしい。これで米国の国内産業が強くなることはないのに。トランプ氏の政策は増々悪循環に陥り始めたようだ。

〇インド亜大陸
パキスタンで7月の総選挙に向けた準備が始まった以外に特記事項なし。今週はこのくらいにしておこう。

14-6月29日 ジュネーブ軍縮会議(CD)第二部(ジュネーブ)
21-6月18日 第14期第5回ベトナム国会開会
25-6月1日 岡本外務大臣政務官が中国及びフランス訪問
27-6月2日 APEC観光担当相会合(ポートモレスビー)
28日 EU外相理事会(ブリュッセル)
28日 メキシコ4月雇用統計発表
28日 アンゴラ大統領がフランスを訪問
28日 米・戦没将兵追悼記念日(為替、債券、株式、商品市場が休場)
28日か29日 ロシア第1四半期貿易統計発表
28-29日 EU競争担当相理事会(ブリュッセル)
28-29日 世界保健機関(WHO)執行理事会 第143回会合(ジュネーブ)
28-31日 欧州議会本会議(ストラスブール)
28-6月1日 APEC観光担当相会合(ポートモレスビー)
28-6月8日 国際労働機関(ILO)国際労働総会 第107回会合(ジュネーブ)
28-6月8日 核兵器用核分裂性物質生産禁止条約(FMCT)に関するハイレベル専門家準備グループ 第二回会合(ジュネーブ)
29日 ブラジル4月全国家計サンプル調査発表
29-30日 ブラジル投資フォーラム(サンパウロ)
29-6月2日 クアン・ベトナム社会主義共和国主席が訪日
30日 米・ペンス副大統領がブラジルを訪問
30日 ブラジル第1四半期GDP発表
30日 米国第1四半期GDP(改定値)発表
30日 ベージュブック(FRB)
30-31日 第25回カスピ海石油ガス国際会議(アゼルバイジャン・バクー)
31日 ユーロスタット、4月失業率発表
31日 米・4月個人消費支出(PCE)物価指数(商務省)
31日 インド第4四半期GDP発表
31日 ロシア外相が北朝鮮を訪問
31日 PSLV(地球観測衛星BlackSky Global1)打ち上げ(サティシュ・ダワン宇宙センター)
31日 ファルコン9(通信衛星SES12)打ち上げ(ケープカナベラル空軍基地)
31-6月1日 長崎大主催の安全保障会合(モスクワ)
31-6月2日 G7財務・開発担当相・中央銀行総裁会合(カナダ・ウィスラー)
6月1日 米国5月雇用統計発表
1-3日 アジア安全保障会議(シャングリラ会合)(シンガポール)
2日 長征2D(高分六号と珞珈一号 01,02)打ち上げ(甘粛省・酒泉衛星発射センター)
3日 スロベニア議会選挙
3日 金井宣茂さんがロシア・ソユーズ宇宙船でカザフスタンの草原地帯に帰還

【来週の予定】
4日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
4-5日 EU司法・内務相理事会(ルクセンブルク)
4-8日 UNDP/UNFPA/UNOPS 執行理事会 年次会合(ニューヨーク)
4-8日 国連食糧農業機関(FAO)理事会 第159回会合(ローマ)
4-8日 国際原子力機関(IAEA)理事会(ウィーン)
4-12日 国連貿易開発会議(UNCTAD)貿易開発理事会 第65回会合 (ジュネーブ)
4-8日 台湾軍、民間人・企業初参加の実弾訓練
4-9日 秋篠宮ご夫婦が米・ハワイを訪問
4-8月24日 「国連アフリカ施設部隊早期展開プロジェクト」第5回訓練開始(ナイロビ)
5日 米国連邦議会予備選挙(カリフォルニア州ほか7州)
5日 ブラジル4月鉱工業生産指数発表
5日 オーストラリア準備銀行理事会
5日か6日 ロシア5月CPI発表
5-6日 WTO知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS)理事会(ジュネーブ)
5-6日 イノベーションビジネス商談会「Innovfest unbound 2018」(シンガポール)
6日 米国4月貿易統計(2017年の年間補正も)発表
6日 ソユーズFG(国際宇宙ステーション第56次および第57次長期滞在ミッション用ソユーズ)打ち上げ(バイコヌール宇宙基地)
7日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
7日 メキシコ5月CPI発表
7日 ユーロスタット、第1四半期実質GDP成長率発表
7-8日 EU運輸・通信・エネルギー担当相理事会(ルクセンブルク)
7-9日 ベトナム国際フィルム・テレビテクノロジー展「Telefilm-Vietnam International Exhibition」(ホーチミン)
8日 中国5月貿易統計発表
8日 ブラジル5月IPCA発表
8-9日 G7首脳会合(カナダ・シャルルボワ)
9日 中国5月CPI発表
10日 スイス国民投票

(宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)

2018年5月29日(火) | [ ]

5月16日、北朝鮮は予定されていた南北閣僚級会談を中止すると発表した。更に、北朝鮮外務次官は同日談話を発表し、もし米国が「我々を追い詰め、我々が核兵器を放棄するのを一方的に要求するなら、我々は協議への関心を失い、予定されているDPRKと米国の首脳会談を受け入れるべきか再考せざるを得なくなる」とも述べた。

これまで、米朝首脳会談の実現と成功に文字通り「前のめり」だった韓国政府は勿論、我が国の一部メディアや研究者たちも右往左往し始めている。筆者も、「どうせ、こうなることは判っていた」などと偉そうなことを言うつもりはない。だが、これまで異常なほどの楽観論を報じてきたジャーナリストには良い意味で「お灸」だったかもしれない。

幸い筆者は3月にこう書いた。「気の早い内外メディアはもう会談場所の予測を始めているが、本当に米朝首脳会談が実現するかは「お手並み拝見」。英語の格言に「悪魔は詳細に宿る」というのがある。トランプ氏に関する限り、あれだけ衝動的に決めたものは、同じく衝動的に中止される可能性がある。これだけは忘れてはならない。」

また、4月にも、「北朝鮮が容易に核兵器開発を断念するとは思えない。一定期間経過後は希望が失望に変わり、信頼が不信に急変する時が来る可能性も十分あるだろう。」と書いてきた。これからも米朝首脳会談には紆余曲折があるので、流言飛語に惑わされず、素人の俗説に付和雷同しないことが大事である。

明22日にはワシントンで米韓首脳会談が開催される。NYTによれば、トランプ氏は米朝首脳会談が失敗するリスクについて側近や同盟国と検証し始めたらしい。何を今更という感じだが、トランプ氏にとっては米朝首脳会談の成功でスポットライトを浴びることが最大の目的。最近の北の発言で会談が失敗する可能性を理解したのだろう。

やはり、「あれだけ衝動的に決めたものは、同じく衝動的に中止される可能性がある」ということに尽きる。ポイントは米韓首脳会談だ。この会談で韓国大統領はトランプ氏を再説得できるだろうか、それとも、ここでトランプ氏の韓国、特に文大統領個人に対する信頼は完全に消失してしまうのだろうか。22日は要注意である。

〇中東・アフリカ
5月6日、9年ぶりの総選挙が行われたレバノンでは組閣作業が難航していたが、21日が組閣期限となる。今後は臨時政府を組織し、その下で更なる組閣作業が行われるらしい。サウジが支援するハリーリ現首相続投の可能性が高いが、イランもヒズボッラを通じて影響力を行使している。組閣が円滑に進まない理由はこれだ。

〇欧州・ロシア
21日にもイタリアでようやく新政府が決まりそうだ。まあ、あのイタリアだから不思議はない。最大の問題は新政権がより反EU的姿勢を示す可能性があることだろう。21日にはイラン核合意についてイラン外務次官とEUとの協議がウィーンで行われるそうだ。しかし、米国抜きかつ、このレベルで会合しても進展はないだろう。
25日にはユーロ圏諸国がギリシャ問題を協議する。いつまでこんなことを続けるつもりだろう?今週もロシア外交が活発だ。22日にロシア大統領がインド首相、ブルガリア大統領と、24日からは仏大統領と日本の安倍首相とそれぞれロシアで会談する。日仏首脳は25日にサンクトペテルブルグでの国際経済フォーラムに参加する。

〇東アジア・大洋州
23日から北朝鮮がプンゲリの核実験場を閉鎖する式典取材も含め、米英中露韓の記者団の入国を許すそうだが、報道によればトンデモナイ金額になるらしい。2月の五輪参加の場合もそうだったが、最近の北朝鮮は何でもカネ、カネ、カネだ。そういえば、筆者が米国シンクタンクの訪朝団に参加した時も、高額を請求された覚えがある。
今週にも日本が米国の鉄鋼アルミ関税に関し具体的な対抗措置を発動する旨WTOに通知する可能性がある。それにしても、ジュネーブのWTOで貿易交渉実務を担当した経験のある筆者にとっては、最近のWTOの体たらくが残念でならない。やはりコンセンサスでしか決まらないWTOに中国を加盟させたこと自体が間違いだった。

〇南北アメリカ
特記事項なし。

〇インド亜大陸
上述の通り、インド首相が訪露しプーチン大統領と首脳会談を行う以外には特記事項なし。今週はこのくらいにしておこう。

14-6月29日 ジュネーブ軍縮会議(CD)第二部(ジュネーブ)
16-22日 水鳥防災担当国連事務次長補兼事務総長特別代表の訪日
19-26日 河野外務大臣がブラジル、アルゼンチン、米国及びメキシコを訪問
20-26日 佐藤外務副大臣がバルバドス、ドミニカ国及びアンティグア・バーブーダ訪問
20-27日 2018年度中国社会科学院青年研究者代表団第1陣の訪日(日中植林・植樹国際連帯事業)
21日 G20外務相会合(ブエノスアイレス)
21日 ロシア・インド首脳会談(ロシア・ソチ)
21-22日 国連経済社会理事会(ECOSOC)実質会期 ハイレベル・セグメント(ニューヨーク)
21-26日 世界保健機関(WHO)世界保健総会 第71回会合(ジュネーブ)
21日-6月18日 第14期第5回ベトナム国会開会
22日 EU外相理事会(ブリュッセル)
22日 米韓首脳会談(ワシントン)
22日 米国連邦議会予備選挙(アーカンソー州ほか2州)
22日 メキシコ3月小売・卸売販売指数発表
22日 タイのクーデターから4年
22-23日 EU教育・若年・文化・スポーツ相理事会(ブリュッセル)
23日 メキシコ第1四半期GDP発表
23日 ファルコン9(イリジウム・ネクスト5機等)打ち上げ(ヴァンデンバーグ空軍基地)
23-25日 国連世界観光機関(UNWTO)第108回執行理事会(マドリード)
23-25日 北朝鮮が核実験場廃棄を公開(豊渓里)
24日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
24日 ユーロ・グループ(ブリュッセル)
24日 EUエネルギー・インフラ・フォーラム(コペンハーゲン)
24日 FOMC議事録(FRB)
24日 バルバドス議会選挙
24日 ファルコン9(通信衛星SES12)打ち上げ(ケープカナベラル空軍基地)
24-25日 オランダ・ルッテ首相がインドを訪問
24-26日 サンクトペテルブルク国際経済フォーラム(サンクトペテルブルク)
24-27日 サイゴン国際オートテックおよびアクセサリー展2018「Saigon Autotech 2018」(ホーチミン)
25日 EU一般データ保護規則(GDPR)の適用開始
25日 EU経済・財務省(ECOFIN)理事会(ブリュッセル)
25日 中絶合法化を問うアイルランド国民投票
25日 メキシコ4月貿易統計発表
25日 安倍首相がサンクトペテルブルク国際経済フォーラムに出席
25日か28日 ロシア4月雇用統計発表
25-26日 APEC貿易担当相会合(パプアニューギニア・ポートモレスビー)
25-29日 二階自民党幹事長が中国を訪問
26日 日露首脳会談(モスクワ)
27日 コロンビア大統領選
27日 長征4C(嫦娥四号中継通信衛星Queqiao等)打ち上げ(四川省西昌衛星発射センター)
27日-6月2日 APEC観光担当相会合(ポートモレスビー)

【来週の予定】
28日 EU外相理事会(ブリュッセル)
28日 メキシコ4月雇用統計発表
28日 アンゴラ大統領がフランスを訪問
28日 米・戦没将兵追悼記念日(為替、債券、株式、商品市場が休場)
28日か29日 ロシア第1四半期貿易統計発表
28-29日 EU競争担当相理事会(ブリュッセル)
28-29日 世界保健機関(WHO)執行理事会 第143回会合(ジュネーブ)
28-31日 欧州議会本会議(ストラスブール)
28-6月1日 APEC観光担当相会合(ポートモレスビー)
28-6月8日 国際労働機関(ILO)国際労働総会 第107回会合(ジュネーブ)
28-6月8日 核兵器用核分裂性物質生産禁止条約(FMCT)に関するハイレベル専門家準備グループ 第二回会合(ジュネーブ)
29日 ブラジル4月全国家計サンプル調査発表
29-30日 ブラジル投資フォーラム(サンパウロ)
29-6月2日 クアン・ベトナム社会主義共和国主席が訪日
30日 米・ペンス副大統領がブラジルを訪問
30日 ブラジル第1四半期GDP発表
30日 米国第1四半期GDP(改定値)発表
30日 ベージュブック(FRB)
30-31日 第25回カスピ海石油ガス国際会議(アゼルバイジャン・バクー)
31日 ユーロスタット、4月失業率発表
31日 米・4月個人消費支出(PCE)物価指数(商務省)
31日 インド第4四半期GDP発表
31日 PSLV(地球観測衛星BlackSky Global1)打ち上げ(サティシュ・ダワン宇宙センター)
31日 ファルコン9(通信衛星SES12)打ち上げ(ケープカナベラル空軍基地)
31日-6月2日 G7財務・開発担当相・中央銀行総裁会合(カナダ・ウィスラー)
6月1日 米国5月雇用統計発表
1-3日 アジア安全保障会議(シャングリラ会合)(シンガポール)
3日 スロベニア議会選挙

(宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)

2018年5月22日(火) | [ ]

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